45.鮫のターン!
それからなんやかんやあって、うちの両親と(当然の如くいすわっている姫様も含め)俺達は昼食を終え、いよいよ別れの時がやって来る。ちなみに最後の昼飯はそうめんだった。
「という訳で行ってくる。何かあれば報告しなさい。報連相は基本だ」
「元気にしてるのよ。お金は大切にね、夜更かしし過ぎちゃ駄目よ。あんまり口うるさい事言いたくないけど、勉強もしなさいね。特に白は理数系!」
「皆まで言わなくても分かっているよ」
うちの車の窓越しに、ありがちな会話をする。うちの車で東京まで行き、東京支部の施設に車を置いて管理を任せ、研究所の所有するヘリコプターで、問題の離島までいくらしい。その感じだと、なかなか簡単に帰るのは難しそうだ。
「愛狗ちゃんは、白が台所に入らない様にしっかり見張っていてね」
「勿論! こっちも命は惜しいから!」
愛狗姉の言葉に、うんうんと頷く翠姉ちゃんと姫様。なんだ我が母ながら失礼な。俺だって料理くらい出来るというのに。
「…………お白、何度も言うが、もうやっちゃうのに関しては、我々も諦めている。何なら、俺は3日我慢が続けば御の字と見ている。くれぐれも、避妊はしっかりとな。……高校生で父になるのは色々と覚悟がいるぞ」
「はいはい。ご忠告ありがとう。……俺、そんなに信用無い?」
「だって俺と稲の子だし……ねぇ?」
「……まぁ、万一の事があれば、連絡するさ」
そんなやり取りをしたあと、父母は窓を閉めて車を発進させた。あとに残されるのは俺達子世代だけになる。
「さて、親父達も行った事だし、何をしようか」
「はいはい! 白ちゃん、セッ」
「やめないか!」
ド直球の下ネタを言いそうになった愛狗姉を制止する。勘弁してくれ。本作は一応全年齢版なんだから。というか、親父達がいなくなった直後にこれである。先が思いやられるなぁ。
「はいはい! シド、ロマンティクス!」
「だからガンダ〇ネタが分からない人には通じにくい下ネタ言うのをやめないか!」
この時点で残っている読者の時点で、ネタが分かる人の方が多いと思うが、一応念のため。どうしよう、うちの両親というストッパーが外れたせいか、うちのヒロイン達のIQが一気に下がった気がする。
「……白兎よ。昨日の協定で、今日は儂とデートをする予定の日じゃったよな」
「そういえばそうだね」
「ここは王道のショッピングデートとかはどうじゃ? 儂もPC関係のものや漫画関係のものが見たくての。近所のショッピングモールなら、バスで20分くらいじゃ」
そう提案してくる翠姉ちゃん。ああ、こういう時に彼女がボケに回らなくて助かる。最年長故の落ち着きというやつだろうか。
「あぁ、愛狗ちゃん、かぐや姫。お主らも付いてきて良いぞ? まぁ、白兎の隣りは儂が頂くがのぅ! お主らは3歩後ろから、離れて儂らがいちゃつくのを眺めているが良い!」
そう言って、2人を煽る翠姉ちゃん。2人はギリギリと歯を食いしばりつつ嫉妬の念を表に出しているが、これに関しては昨日4人で決めた事なので反故にも出来ず、幸い、それ以上の修羅場にはならなかった。
「よし、そうと決まればバス停にGO! じゃ」
目を輝かせて言う翠姉ちゃん。この場面だけ切り取れば、完全に遠足前日の女子小学生である。かわいい。
彼女は俺の腕に抱き着くと、まるで、この男は自分のモノだと言わんばかりにすりすりと頭を擦り付けてくる。マーキングを思わせるそれはしばらく続く。
「白兎はこれから1日、儂のものじゃ! 2人には残念じゃが、年上の大人の魅力でメロメロにしてやろうぞ」
この外見で大人の魅力云々言っているのはツッコミ待ちだろうか……?
なお、煽られた愛狗と姫様二人が、割と洒落にならない殺気を出していたのは言うまでもない。




