41.閑話 いわゆるラスボスチラ見せ回
飛輝鐘市の某所
私、平常世はある場所に向かっている。足取りは軽い。贅肉の一切乗っていない、痩せすぎな私の身体もいつも以上に軽く感じる。
それはそうだ。学校の厄介な連中を粛清出来たのだ。正義は成された。夕暮れの日が私によくやったと褒めている様に感じられる。
「まだだ、まだ足りない」
まだ、私にはやる事は沢山ある。その為にもここで満足してはいけない。理想的な優しい世界を作るまで、歩みを止める訳にはいかない。
私はとあるアパートの一室の前に来ると、合鍵で鍵を開け、中に入る。果たして、中には一人の男性がベッドで寝ていた。中肉中背で、無精ひげを生やした中年男性だ。
「……おかえり。首尾はどうでしたか?」
「はい。大多部先生、凄い効果です。この魔法は。二日連続で社会のゴミを排除できました。3年のゴミ不良は、取り巻きに重傷を与えたうえで精神病院送り。評判の悪いクソ不良3人組は、死後の世界という異次元に送られました」
「そうかそうか。ついに完成しましたな。それに、それを使いこなせているあなたも見事だ」
男はそう言って満足そうに笑った。
「流石、古代の邪悪なる神格を身に宿す少女。俺の教えた魔法を完璧に使いこなせている。それにNSクロスロードの花粉の効果も上々……」
そう言って、男はベッドに寝ころびながら脇に置いていたパソコンに、何やら文字を打ち込んでいた。
私の愛しい人。私の救世主様。これが私の目の前で寝ている男性の評価だった。
大多部勝。元高校教師で、凄く有能なマッドサイエンティストで、私をクソみたいな環境から救い出してくれたお方。私が絶対の忠誠を誓う相手。そして、同時に私を神と崇めている人。
傍から見たら、何とイカれた奴らなのだろうと思われるだろう。だが、私達はこの歪な関係が心地よくて仕方ない。
先生。顔はイケメンなんだから、髭を剃ればもっと格好良くなるのに、とも思うが、変なところで面倒臭がりなのはこの人の特徴だ。
部屋に入る。果たして髭とは対極的に部屋は綺麗に掃除されていて、そういう所はマメな性格だという事が伺える。この二面性がこの人がこの人たる所以である。
そして、その部屋の一角。壁の一面に写真が張り付けてある。被写体は全て女学生で、全員犯された形跡が見て取れた。犯人、および撮影者は、無論、目の前の人だ。
私はそれを見つつ疑問を感じる。
写真の中の女の子達は皆、何故泣いているのだろう?
先生に抱いていただけるなんて、これ以上名誉な事はないのに。
そんな背景の写真に疑問を持っていると、大多部先生はニコニコと笑みを浮かべつつ、私をベッドに座る様に促してくる。
「詳細を教えてくれませんか? より、これを完璧なものにするのに必要だ。更に多くの人を操る事も出来るようにしたいです。……次はそれこそ、常識改変もののエッチな漫画みたいに、飛輝鐘高校の校則を書き換えて、変態校則ばっかりにしてやるのも面白いかも。ハハハ……」
そんな風にうそぶきつつ、銀色のナスの様な花の標本を丁寧に手に取り、眺めながら、先生は聞いてくる。
「詳細については報告しますが……先に私の事を可愛がってくれませんか? ……ずっと、お預けされていたので、そろそろしんどいです」
学生服のスカートを持ち上げて下着を見せつつ、誘惑する。先生はそれを見て、ニヤニヤと笑みを浮かべながら私をベッドに押し倒す。そのまま、彼は私の唇にキスを落とす。舌を絡ませ合う、とびきりエッチなやつだ。
「そこまで言われたら、仕方ない。神のお世話も神に仕えるもののとして、当然ですから」
「沢山、可愛がってくださいませ」
不穏な空気を漂わせながら、日は暮れていった。




