37.2日連続の……
愛狗姉も姫様も美味しそうに(?)俺の弁当を食べている。喜んでくれたようで何よりだ。やはり善行をすると気分が良い。
心なしか、涙目になっている気もするが……泣くほど美味いという事だろう、とプラスに受け取っておいた。なんでも都合よく捉えるプラス思考は生きる上で実際大事。
「おや……あれは?」
何となくそういう雰囲気になったので、ガンダ〇シリーズにおける最強総舵手について議論をしつつ、3人で食事をしていると、見覚えのある顔が屋上にやってきた。ちなみに、姫様も割とガノタだった様で、普通に俺達と自然に会話が出来ている。
「……ありゃあ、朝の不良連中だな」
どこかで見たと思ったら、朝、平常世さんをいじめていた不良3人組が屋上へやってきた。朝見た時は、見るからに柄の悪そうな雰囲気だったが、心なしか今は少し具合が悪そうに見える。顔は青白く、目は焦点があっていない。
「……あんまり目を合わさない様にしよ?」
「ああ。もしもまた危害を加えようとしたら、私の雷魔法でなんとかするけど、あんまりこれは人前で使いたくない」
愛狗姉と姫様も彼らを視認したのか、警戒しつつ言った。幸い、3人衆は俺達に目もくれずに、ふらふらといずこかに歩いて行く。
目は合わせない様にしながら、目線だけで俺は3人を追う。なんだか、様子がおかしい気がする。ヒクイドリと戦った昨日の今日だけに、つい警戒をしてしまう。
「……?」
3人はそのまま、屋上の端にたどり着いた。そのまま3人はおもむろに転落防止用のフェンスをよじ登り始めた。3mはあるはずだが、3人はフェンスの格子に器用に足を引っかけて、どんどん登っていく。
「は? えっ? は?」
非現実的な光景に、思わず素っ頓狂な声を出した。あまりにも自然に危険な行為を行うので、脳の処理が追い付いていないというべきか。それは愛狗姉と姫様も同じ様で、2人とも困惑の声を上げている。
すると、一番先頭の不良少年が、フェンスの上に到達し、そのまま躊躇いも無く、下へ飛び降りた。
「おいおいおい?!」
この学校は4階建てなので、屋上は5階相当の高さである。全高およそ15m前後。ガノタ的には丁度、R〇-78-2の全高より一回り低い高さと言えば、イメージしやすいかもしれない。
ともかく、そんな高さから落下したら無事では済むまい。にもかかわらず、彼はごく自然に、地面に向けてダイブした。残りの二人も最初に飛び降りた男を追うように、フェンスを乗り越え、頭から地面に向かって落ちていった。
俺も走っていって止めようとしたが、フェンスにたどり着く前に、3人は地面へのダイブを敢行したのだ。俺達以外にも何人か屋上に人はいたが、彼らもこの光景を見た様で、たちまち阿鼻叫喚になった。
パニック状態の屋上を尻目に、恐る恐る、俺が顔を覗かせ地面を見ると、頭からいったのだろう、地面には赤い染みが広がっていた。手足はおかしな方向に折れ曲がり、頭は……とてもではないがここで描けない様な状態になっていた。
「……」
「……」
「……」
愛狗姉と姫様もそれは見たのだろう。全員誰も口を聞かない。
「あれだね。この屋上、呪われているのかもね……」
辛うじて、姫様が冗談めかした事を言った。軽口を言って場を和ませようとしたのかもしれないが、俺達は全く笑えなかった。
誰かが呼んだのだろう。何人か教員が屋上に駆けつけてくる。また、地上でも、同じ様に人が集まって来た。それからはもう、ただひたすらの混乱である。
この飛輝鐘高校は決して頭の良い学校とは言い難いが、さすがに通常時は連日警察が来る程、治安は悪くない。校門の前に何台もパトカーが止まっている光景は、非日常的だ。
俺達は目撃者として、2日連続で教師と警官から事情聴取を受ける事になったのだった。




