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1.兎と狼

「ま、落ち着いて聞きたまえ。……このままでは、この街は滅亡する!」


「は、はぁ……」


 目の前で真剣な顔をして話すのは、この学校に先日転校してきた大邦浜(おおくにはま)かぐや。


 同級生である彼女に突然、放課後に学校の屋上に来る様に命じられ、命令通りに出頭した俺、吉弔谷(きっちょうたに)白兎(びゃくと)は、開口一番、そんな事を言いつけられた。


「ワケが分からない、という顔をしているね」


「そりゃあ、そうだろうよ。なんで突然そんな事言い出した? M◯Rごっこなら他をあたってくれ。こう見えて、俺は意外と忙しいんだ」


 俺の言葉に、かぐやは愉快そうに笑った。


「ハッハッハ。相変わらずだ君は。面倒嫌いの怠け者。まあ、これからする話を聞けば、やる気も起こるだろう」



挿絵(By みてみん)


 眼鏡越しに真紅の瞳を輝かせ、長い黒髪をいじりつつ、彼女は、そう胡散臭い事を言う。美人だが胡散臭い彼女を、俺は怪訝な顔をしながら眺めた。


「ま、話くらいは聞いてやろう」


「そうこなくちゃ」


 美人の転校生殿は、ニヤリと笑うと口を開いた。


 さて、どうしてこんな流れになったのか。俺は現在までの流れを簡単に回顧した。



 ***



 俺の名前は、吉弔谷(きっちょうたに)白兎(びゃくと)飛輝鐘(ひきがね)高校に通う高校一年生。


 俺の容姿は、名前通り、白色の長い美しい髪と、赤い月を思わせる、真紅の瞳がチャームポイント。かなり華奢で小柄な体型と、自分で言うのもなんだが整った顔は、そのへんの美少女より美少女していて、一見、美幼女にすら見える容姿。いやぁ、昨今の反ルッキズム的主張に全力で反骨精神を見せるかの様な外見。この美しい容姿を与えてくれた神と両親に感謝。


 あ、ちなみに男だ。美少女だと思った? 残念でした。


 そんな俺が暮らす街は、ド田舎という訳では無いが、都会とはお世辞にも言えないって感じで、緑の多い(オブラートに包んだ言い方)住宅地って感じだ。


 そんな田舎の一角、我らが吉弔谷家における朝の光景は、中々に騒々しい。


(しろ)ちゃ〜ん。朝だよ~。お〜き〜て〜」


「白ちゃん」という、親しい人間のみに許している愛称を耳元で囁いてきたのは、俺の血の繋がらない姉。俺と同い年で、灰髪をツインテールにした、青い瞳の女性である。その容姿は狼を連想させる、凛としたものの、どこか仄暗ささを感じさせる姿だ。


「あと一時間……」


「五分十分どころか、がっつり延長してきたねぇ」


挿絵(By みてみん)


 寝ぼけ眼の俺の言葉に、彼女、吉弔谷(きっちょうたに)愛狗(あく)は困った様な顔をしつつ、同時に色っぽい表情を浮かべた。


「早く起きなきゃ、いたずらするぞ〜?」


「ん」


「……起きないって事は、襲われても良いって事だね?」


 愛狗姉はそう言うと、俺の布団の中に入ってきた。そのまま、俺に抱きついて、ズボンの中に手を突っ込んで……。


「……おい、俺より数時間生まれが早いだけで姉を名乗る我が義姉よ。流石にそれは一線超えてると思うんだ」


「口では拒絶しつつも、白ちゃん、大きくしてるよ〜?」


「男は朝は誰でもそうなるんだよ」


「確かに私が触るだけじゃあ、不公平だ。よし、白ちゃんも、私の体を揉んだり吸ったり挿れたりして良いよ?」


「言語は通じるのに、絶妙に会話が成り立って無いの、勘弁して欲しいんだがなぁ」


 俺は、彼女の手を振りほどくと、ゆっくり起き上がる。勘弁してくれ、この様子だけ見れば、完全に女子高生が幼女に強制わいせつをしている色々とアカン光景だ。


 自慢にもならないが、俺は親父が大学に通っている時に、当時彼女だった母さんを妊娠させて出来た子だったりする。


「子供はめちゃくちゃ可愛いよ。……それはそれとして、育児はめちゃくちゃ大変よ。私達も実家との関係が険悪だったら、詰んでいたわ。しょっちゅう身体を壊すやら、夜中、中々寝てくれないやら、各種手続きやら。だから、白兎、愛狗。彼氏彼女は作っても良いし、最悪手を出しても良いけど、避妊だけはしっかりしてね? ……いや、ほんと、これはあなた達の為よ?」


 俺を生んだ事で、元々ミュージシャン志望で、歌で名をあげるという夢を諦めた母さんは、俺達きょうだいによく言っている。義姉は、それを忠実に守って、いつの間にか口に避妊具を咥えている。親の言う事を良く聞く良い子ちゃんだこと……。


「分かった、分かった。とにかく、起きれば良いんだろ?」


「起きなくても良いよ?」


「流石にこの状況で寝れるほど、図太い神経して無い」


「しゃぶるだけ。せめてしゃぶるだけさせて」


「どこをだよ。この下半身と脳が直結している馬鹿姉め」


「馬鹿というのは、向上心の無い奴を言うと、かの『こころ』でも言ってるよ? 私は、白ちゃんを振り向かせる為の向上心の塊だから、その定義には当てはまらない」


「黙らっしゃい。夏目漱石を汚すんじゃありません」


「えーい。すばしっこい兎ちゃんめ! 大人しく狼に食べられなさい!」


「食べるって性的な意味でだろ」


 その後、俺は彼女に視姦されつつ、学校の制服に着替えた。いくら部屋から追い出そうが、構わず侵入してくるので、最近は諦めて、構わず毎朝彼女の前で脱いでしまう。……このまま露出癖に目覚めたらどうしようか……。


先日現代恋愛ジャンルでランキング入りして、最高に調子に乗った作者が勢いで始めたラブコメもの。最初の方だけ毎日更新。後は書き上がり次第のまったり進行ですので続きは気長に待ってね。


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