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第十一話 空の底へ 2

「まさかエメリッドで暴走しかけていたとは」


 シェンクは、ミーラミルという小さな葉野菜の入ったスープに、フラネーロのパンを浸して食べている。フラネーロのパンは非常に硬いので、スープに浸して食べるのが一般的だ。


「その件の前に、私の『封紋』が消えてたの。予定より少し早かったし、ちょうどやりたいことがあったからエメリッドから出た、っていうのもあるけどね」


 エンリは左腕の世界渡航許可証ワールドパスを見せる。シェンクは、以前その下に幾何学模様が書かれていたことを思い出す。


「なるほどな。不思議な一致で、お前もエメリッドを出たわけだ」


「……当初は、ナップ村に直接行くつもりだったわ。ここには来る予定はなかった」


「まあ、どちらにせよカレンヴァーザに来た時点で、使いをやってお前をここに呼ぶつもりだったから、その辺は諦めろ」


「やっぱり、ローブの男については知らないのね?」


「くどいな。それとも、まだあっちを疑ってるのか?」


「逆よ。あなたでもないなら、『彼』しか思い浮かばない。でも、その可能性を考え始めると、最悪の状態を想定しないといけない」


「封紋が消え、各地で魔法による反社会的攻撃テロリズムが発生し、残された証拠品にアンサヴァス教団員の服、ねぇ。出来すぎて、逆に怪しくなくなるくらい、揃いすぎてる」


「明日でいいわ。一緒に行ってくれない? 三大魔女が一人、深淵の魔女であるシェンク様」


「やめろ! お前にそんな呼ばれ方をされる言われはない! 時代と場所が違えば、お前がそう呼ばれてもおかしくないはずなんだぞ!」


「私は罪人。あなたは聖者。*筋書き*はそれでいいの」


 エンリの言葉に、既に食事を終えていたシェンクは立ち上がって背を向けた。


「……明日、朝にもカレンヴァーザを『止める』準備に入る。いつもの部屋が空いていたはずだ。使え」


「ありがと。そうさせてもらうわ」


 エンリは、残っていたスープを飲み干すと、パルティナと一緒に席を立った。


「明日、よろしくね」


「先に言っておくが、一人で行こうとは思わないことだ」


「なんの話?」エンリはとぼける。


「ふざけるなよ。今度ばかりはきちんと三大魔女の仕事をさせろ、って言ってるんだ。またお前ひとりで突っ走ろうもんなら、誰も後始末してやらんからな」


 シェンクの目には、隠そうともしない怒りと厳しさがあふれている。一片の冗談も含まれていないようだ。


「一人で行くも何も、私だけじゃあカレンヴァーザは止められないし。私もあの時と違って、もう十分な力が出せなくなってるから、今回は素直にここに来たまでよ」


「どうだか」


 それだけ言うと、シェンクは食堂から退席していった。


「さ、パルティナ。私たちも行きましょう」


 慣れた動きでエンリはシェンクの出た出口とは別の扉から食堂を出る。


 廊下の窓から見える外の様子では、既に日が落ちていた。だが、廊下は理動具によって作られた弱々しい光で照らされていた。エンリ達はその薄暗い廊下をすいすい進み、『客間』と書かれた扉をなんの躊躇もなく開ける。


 既に掲げられている理動具の明かりが、部屋を明るく照らしている。以前に使っていたままの部屋が、そこにあった。


「あるじ様は、過去にここで暮らしておられたのですか?」


「まあ、そうね。あの頃はもっとたくさんいた、けどね」


「よければ、そのお話を聞かせてください。あるじ様の人となりを知ることは、人に近づくことになりますか?」


「……そうね、面白い話じゃあないかもしれないわよ?」


 そう言いながら、エンリは悪戯っぽい笑顔を作りながら始まった話は、夜中エンリが眠気に負けるまで続いた。


 パルティナは、そんな主をベッドに寝かしつけると、不思議と外に出たくなり、部屋から静かに外へと出た。


 周囲を観察すると、先日までいたセマンデル大陸よりも魔素の濃度が濃く、いかにして魔女が生まれたのかも想像に難くないと感じた。


 また、理道を極めんとする者が多く存在したと言われているカレンヴァーザにおいて、魔素が多いということは利点しかない。むしろ、そんな環境だからこそ理導師りどうしが生まれたり魔女が生まれたりしたのだろう。


 パルティナは、少し歩くことにした。


 外の空気は、冬らしく澄み渡る冷気が周囲を包み込んでおり、雲さえあれば雪が降ってもおかしくないほどの冷たさだ。


 だが、パルティナはそれを感じることはできない。彼女にはまだ、気温を感じる機能が備わっていないのだ。


「……あとどれくらいで、私は人間になれるのでしょうか」


 こういうつぶやきも、人になるには必要だ、とエンリに教わった。


 自分に足りないものを口で、言葉で表現する。明確な目標をもって行動することで、それに近づく。会話をすることも近道だが、答えが出るまで自問自答することも、また近道である、とも教わった。


「……ほう、人工生命体ゴーレムが人間になりたいとは、どういう思想概念を組み込まれたのですかな?」


 突然の声に驚いたパルティナは、声のした方へ体ごと向き直る。


 そこには、夕方ごろに彼女たちをこの建物へ案内した人工生命体ゴーレムが立っていた。明かりの灯った理動具を持っていたので、見回りの途中だったのだろう。


「あなたは自立思考型の人工生命体ですか?」


「ワタクシは、シェンク様に作っていただいた元人間で、バレイと申します」


 パルティナは驚いた。まるで、*自分と正反対の存在*に出会った気がしたからだ。


「この大陸カレンヴァーザには、もう好んで移り住もうという人間は居りませんから、あの方の世話ができる人間は、必然的に減ってゆくだけになってしまうのです。この屋敷も広く、魔女であるシェンク様を滞りなく仕えることができる人間は、もういないのです。だから、ワタクシがお願いして、朽ちぬ体を頂いたのです」


「価値観の違い、というものでしょうか」


 パルティナは、そんなバレイの言動を否定とも肯定とも取れない言葉で返す。


「朽ちること、死ぬということは命ある者にしかできないことです。また、死を選ぶことができるのは、命ある者の中でも人間だけです。限りある生を、限界まで生き抜く命の輝きは、何物にも代えがたいものである、と教わりました。だから、人間は素晴らしい存在である、とも。私は、命の限界がない存在です。だから、素晴らしさを理解することができません」


 バレイは、それを聞いて満足そうに微笑んだ。


「それはそれは、正しいことだと思います。ただ、あくまで『あなたにとって』正しいことです。ワタクシにとって命とは、ワタクシの生きる意味とは、私自身の中にはないのです。ただ、自身の価値観を他人に強制したり、他人の価値観を無理やり自身に塗り替える必要はありません。それが一番『正しくないこと』です」


 バレイは、手元の明かりを顔が見える位置まで持ち上げると、パルティナを照らした。


「あなたのご主人様が来られてから、シェンク様は久しぶりにお笑いになられた。あんな笑顔をされたのは、久方ぶりでございます。やはり、こんな大陸でくすぶるような方ではないのですが、お役目がある以上、シェンク様はここを離れようとはされません」


 バレイは、パルティナの目の部分を強く見つめながら話す。パルティナには目はないが、自身に力強い視線を送られているというのだけは、なんとが理解できた。


「ワタクシには、身の回りのお世話以外の力はありません。どうか、お二方の力になってくださいませ」


 バレイは深く、深くパルティナに頭を下げる。彼なりの思いの表れなのだろう。


「もちろんです。私は、まだあるじ様に教わることが多すぎますので」


 まだ朝が来るまで時間がある。パルティナは、もう少し人について考えることにした。




     *   *   *




 空全体が白み始めた頃、エンリは目を覚ました。


 もともと早起きだったことと、気持ちが昂っていたことも理由としてあるだろうが、一番は、完全に疲れが取れたことだろう。


 なじみの食事と、生まれた場所の水は体に合うというが、長くそれらを摂取していなかったからか、昨日の食事が妙においしく感じたのもそのせいだろうとエンリは想像する。


 部屋を出ると、そこにはパルティナが立っていた。


「お、おはようパルティナ。 ……なにしてるの?」


「おはようございます、あるじ様。少し考え事をしていました」


「いくらあなたが人の体でないとはいえ、休まきゃだめよ」


「大丈夫です。むしろ、色々なことが私の中で理解を得ました」


 確かに、パルティナの声はここに来る前よりもいくらか人間らしい話し方になっているような気がした。何を得たか、までは分からないが、きっと彼女の中で新しい出会いがあったのかもしれない。


「おお、もう起きておられましたか、エンリ様」


 パルティナと話をしていて気が付かなかったが、バレイが近くまで来てエンリに声をかけた。


「朝食には少し早いかもしれませんが、準備ができておられるのでしたら食堂へ置いてくださいませ。シェンク様ももう起きていらっしゃいますので、お二人が揃い次第食事を用意いたします」


「ありがとう。準備をしたら向かうわ」


 エンリはそれだけ伝えると、バレイは一礼して戻っていった。


 それを見送ると、エンリは部屋に戻って出発の準備をする。


 防寒具はさることながら、これから向かう先は、恐らくは魔法なしでは厳しい戦いになるかもしれない場所。エンリは、もしものための準備もしておく。


「さあ、行きましょう」


 エンリは、腰の鞄の位置を整えながら、パルティナを連れて食堂へと向かった。


 昨日通った道を辿って食堂へと入ると、すでに朝食の用意が整っていた。


「今日は早いな。もう少しねているものと思っていたが」


 奥の席からシェンクが声をかける。まだ食事に手を付けていなかったが、その通る声は明らかに一仕事終わらせてきた感を受ける。


「もしかして、準備してきてくれた?」


「当たり前だ。相手の本丸に乗り込むんだぞ。今度もお前に全部持っていかれるのだけはこちらとしても避けねばならん。精々、三大魔女の汚名を返上できるくらいには活躍しないとな」


「名誉な称号だと思うけど。世界三大魔女」


 エンリは、座りながらシェンクを軽くなじる。


「王魔戦争を終わらせる口実として作った、虚偽の名誉はもうたくさんだ。実際はまだ主犯は生きているし、今もこうして俺たちが見張ってる」


「でも、うまく行けば今日で終わるかもしれないわ」


 二人は運ばれてきた焼きたてのケルパ・パンをちぎって、暖かいホマメ魚のスープに浸して食べる。魚のうまみが柔らかいパンに染みてとてもおいしい。


 少しの時間、二人は静かに食事をした。微かに食器と食器が奏でる音が、広い食堂に幾度となく響き渡る。それは、自分以外のものと共に食事を摂るときにのみ聞くことができる、心地よい響きであった。


 食事を終え、ポカートの原種にあたるポカニオ茶の苦みを懐かしんでいるところで、シェンクが席を立った。


「それを飲み終えたら、正面玄関を出たところで待っていてくれ。俺も最後の準備をしてからそっちにいく」


「わかったわ」


 見ると、既にバレイの姿がなかった。恐らくまた彼が送ってくれるはずだろう。


 エンリは、少し冷め始めたポカニオを飲み干すと、席を立ち、パルティナと一緒に外へ出た。


「忘れ物はございませんか?」


 馬車の扉を開けながら、バレイが声をかけてきた。


「強いて言うなら、色々忘れてきたわ」


 エンリとパルティナは、開けられた扉から馬車に乗りこみながらそう答えた。


 それを聞いたバレイは顔をしかめながら「よろしいのですか?」と返す。


「いいの。もう、昔の事ばっかりだし。私は、最後の望みを叶えるためには、忘れなきゃいけないこともあるって分かったから」


 そこまで言うと、バレイも笑顔になって、


「はい。それは大切なことです」


 バレイは静かに扉を閉める。ほどなくしてシェンクもやってきたので、向かい側の席に座ってきた。


「ここからオルトゥーラまで、そんな時に時間はかからない。着いたらすぐに止める魔法に入るが、いいな?」


「……ええ。もちろん」


「分かった」シェンクは後ろを向き、「バレイ、いいぞ。出発してくれ」と御者のバレイに声をかける。


 再び馬車は揺れることなく動き出し、出発していった。


「すぐに着く。降りる準備もしておけよ」


 滑るように走る馬車の中から見る景色は、エンリにとっては懐かしいはずなのに、どちらかというと新鮮な景色に見えた。


「この辺って、私がいたころに比べるとどれくらい変わったのかしら?」


 何気なく呟いた言葉に、シェンクは意外そうに答えた。


「そうだな…… 人がいなくなってからはまるで百年単位で時間が経ったかのような錯覚に陥るほど、植物が人の生活圏に浸食していった。太陽が近いせいもあって、使われない建物の風化がとてつもなく早い。俺も昔は他の大陸にいたが、ここの浸食の進み具合はさすがカレンヴァーザ、と言わんばかりの速さだ。ただ、今から向かうオルトゥーラ、さらにその真ん中の城の残り方は異常だ。五十年前当時のまま、今も残り続けている」


 話をしている間に、馬車はオルゼンを出た。街並みは遠く離れていき、街道の石畳はさらに荒れたものになる。馬車は揺れないが、逆に揺れないことに不安になる。


 オルトゥーラへはもう少しかかる。これはエンリ自身の経験がもたらす距離感からくるものだ。なんせオルゼンは、もともと行商人のための宿場町だった。オルトゥーラに一番近いからこそ、交通の拠点として栄えたし、戦争が終わった後も、戦闘の中心地から近いその街に、シェンクは居を構えたのだから。


「……どうして、戦争が始まったんだろう」


「知るか。解決しない悩みは捨てろ。今は必要ない」


 シェンクは、エンリには辛辣だ。その理由はエンリ自身知っているし、シェンクがそうするのは優しさの裏返しであることも知っている。


「さ、もうすぐ着く。降りるぞ」


 シェンクの言葉通り、パルティナと降りる準備を整えるのとほぼ同時に到着する。


 そこは、かつて王魔戦争の最終戦闘地、王都オルトゥーラの中心であり、象徴でもあった『オルンカート城』の南正門前。


「恐らく、『底』の影響を受けてるんだろうな。時間の進み方がまるで違う」


 周囲をよく見ると、直前までの景色は草が生い茂っていたり、木の枝ぶりにまとまりがなかったりと、人の手が入っていないことが良く分かる状態であったにもかかわらず、オルンカート城周辺に近づけば近づくほどに、ただ人がいなくなっただけのような、最近まで人がいたかのような不思議な感覚をエンリは覚えた。


「……確かに、戦争のちょっと後にも来たはずだけど、その時の記憶とさほど変わらないのは、不気味に感じるわ」


 ぐるりと周辺を見渡したシェンクは、そのまま何も言わずに門をくぐり、城内部へと入っていく。エンリも、少し遅れて中へと入っていった。


 かつて世界最大の軍事国家として名を馳せたオルンカート城は、侵入者である彼女たちを静かに歓迎した。


 エンリの身長の何倍もある大きな柱は天井もない場所でただただ空を支えるためだけに何本も直立しており、自然と正面以外の視界を遮る構造になっている。


 ほぼ正方形の石畳は土が空を見ることができないようなくらいに美しく敷き詰められ、建物に入るまでの僅かな距離ですら、植物が生息することを許さない。


 ただ、城内部へと繋がる扉はうっすらと開いており、さらには咎める兵士も置かれていないために、エンリ達は誰にも止められることなく中へと入っていった。


 さすがに内部は薄暗く、所々開いた天井の穴から漏れ入る太陽の光だけが内部を照らす光源となっている。


 シェンクは、勝手知ったる我が家のようにズンズンと進んでいく、エンリも知らないわけではないが、それでも経過した時間が脳内の記憶をすり減らしているためか、何度も足元を確認しながら進む。


 正面の広い階段を上り、踊り場を抜けてさらに上へと上っていく。謁見の間だった大広間を抜けてベランダに出る。


 ベランダの左右には階段があり、それをさらに上っていくと、かつては屋根があり広い部屋があったと思われる青天井の屋上庭園が顔を出す。


「ふん、やはりあの時のままだな」


 シェンクは庭師が手入れをしているかのような、美しい庭園の周囲にある東屋の一つに入り、設置されていたと思われる理動具を操作する。


「エンリ、開けるぞ」


 すると、庭園全体に理道による反応光があちこちに走り、庭園がその床ごと消え去る。エンリ達が床があった場所を覗き込むと、下にあった謁見の間が見えた。


「すぐ下が見えたわ。ちゃんと今も機能しているみたいね」


「よし、じゃあいったんカレンヴァーザ大陸を切り離すか」


 シェンクは再び理動具を操作し、もう一度庭園がある状態まで戻した。だが、庭園全体に描かれた反応光はそのままだ。


 シェンクは東屋から出ると、杖を取り出して庭園の中心へと向かう。


「時界ずらしの魔法、大丈夫? 代わろうか?」


 エンリの提案に、シェンクは笑顔で答えた。


 庭園の中心に立ったシェンクは、両手を空へと掲げたのち、杖を東に向けてから魔法を唱え始めた。


「……日の出たる東より、かの力を伝えゆけ。時を跨ぐその先に、我らの求める姿と成れ。南に行くは狭間の流れ。自然の力と反するならば、かの力は北へ進まん。西へ向かうは定めの流れ。其に逆らうは神すら咎めよ。すべての道を止め行くならば、此はこの世の理より外れ、其のものごとの界を得よ」


 魔女が、圧縮言語を使わずに魔法を使うことは稀ではあるが、無いわけではない。それがどんな時なのかと言うと、魔法を行使する場所や、通常の詠唱そのものが儀式的な意味を持ち、必要とされる場合である。


 シェンクは、もともとの美しい声に併せて、自身の守り子にも同じ魔法を唱えさせた。幾重にも重なったその声は、美しい多重唱歌となって城全体に響き渡っていった。


 その歌に合わせてか、カレンヴァーザの東の山からうっすらと青い光が灯る。その光はどんどん高く高く伸ばしてゆく。空の上まで昇り切ると、今度は北の山のほうからも同じような光が放たれる。同じように西、南と青い光が空へと昇る。


 そのまま光を追って空を見上げると、ちょうどオルンカート城の真上でそれぞれの光が交差するのが見えた。だが、その瞬間にカレンヴァーザ全体が、同じ青い光に包まれた。


「……さあ、これでいいだろう」


 シェンクは庭園中央から離れ、再び東屋に向かう。


 先ほどと同じように理動具を操作する。庭園が掻き消え、また大きな穴が開いた。


 だが、今度は下の謁見の間が見えたと思ったら、それすら消えて、一階の通路まで見えた。


 さらに穴の進行はそこで収まらず、どんどんと穴は下へ下へと広がっていく。


 最終的に消えた庭園の先は、大陸を貫くほどの大穴が開いたはずであるが、その先に現れたのはただただ暗い、暗黒へと続く穴となった。


「さあ、終焉守よ。戦争を真に終わらせるため、一仕事しに行くか」


 三人は、お互いに視線を交わした後、その暗黒の大穴へと身を投じた。

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