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悪役令嬢の懺悔〜後編〜

結論から言えば、最終学年は彼女のシナリオ通りの事が起きた。苛めは自作自演するとは思わなかったが·····

わたくし達は断罪され、わたくしは僻地の修道院に追放された。実際は公爵領地で休暇を満喫していたけど。


1年後イリーニアから、全て終わり運命から解放されたと連絡がきた。そこから3日間、義兄に悟られないように連絡を取り合い、王宮で冤罪を訴えた。映像を見せられた彼等の驚愕からの茫然自失状態には少し胸がすいた。王太子と義兄の排除の為とはいえ、学園での屈辱は忘れられるものではない。


邸に帰りわたくしと義兄はお父様の執務室に連れて行かれた。義兄はずっと震えている。あれだけわたくしを罵倒してきたのだもの。自分がどうなるか、不安になるのもわかるわ。


お父様が養子縁組を解消したと義兄に伝える。

「お前に奴隷の焼印を押し、鞭打ち50回の後この邸の下男として働け」

その言葉を聞いて椅子から落ちるように床に跪いた。

「許して下さい!あの女に騙されたんです!!王太子の命令に逆らえなかっただけなんです!どうか焼印だけは―――」

「黙れ。これは決定事項だ。わが公爵家は被害者であると同時に加害者でもある。示しををつけねばならん。」

お父様は取り付く島もない。それに筆頭公爵家が訴えたので、一番重い処罰をしなければならない。


その後、義兄は額に焼印を押され王都の広場で鞭打ちされた。筆頭公爵家の嫡流の娘を陥れたらこうなると、王都中に知らしめた。


冤罪事件の3日後、わたくしは子爵令嬢に会った。

何もかも諦めた彼女から、今回の件の動機を聞き、彼女も被害者である事を知った。欲ではなく生の為に必死だったのだろう。子爵家でも夫人の苛めに耐えていたと報告されている。

話している間中彼女の目には恐怖が消えることはなかった。


わたくしが一生知ることがないものだ。



邸に帰りお父様に彼女を逃がして欲しいと頼んだ。

「お前の気持ちもわかるが、それはできん。」

「彼女が牢で死んだことにして、彼女のうけるはずだった罰を子爵にうけさせるのです。それなら皆納得するでしょう。」

「何故、あんな女に·····わかった。」

お父様には彼女の気持ちなど、わからないでしようね。わたくしにも本当にはわからない。だってわたくし達は貴族だから。

わたくしがしている事はただの偽善で、ほかの貧しい国民全員を助ける事は出来ない。

だけど彼女のあの恐怖がこびり付いた眼を、忘れる事も出来ないのよ。


わたくしは侍従に金貨の入った袋とストレリチアを刺繍したハンカチを持たせた。


彼女を毒婦と言うのは簡単だ。でも子爵の欲望の駒にされ、上を目指すしかなかった彼女を、わたくしはいつも軽蔑の眼差しで見ていた。彼女からすれば貴族は全て悪魔に見えていただろうに·····


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