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君しか見えない  作者: 燃える手羽先
2/2

新学期

 俺の学校は、周りにビルや高い建物が無く、住宅街の中にあるような所だ。

 特に都会という訳では無いが、決して田舎ではない。

 全校生徒も600人近く、まぁまぁでかいと思う。


「誰に話しかけてんの?」


「へっ!?」


 俺の隣にいた桜が話しかけてきた。


「俺今口にしてた?」


「うん!周りから見たらちょっと…結構キモかったかも。


「フォローするかと思ったのに、その言い方はどうなの?」


 微笑みながら俺の心をえぐってくる桜の言い方に苦言を呈した。


「まぁまぁ。いつもの事だし周りもなんとも思ってないよ。」


 そう言って桜は周りを指さす。

 俺はその綺麗な指先を見ると、俺を周りにいた何人かが見ていた。

 哀れみの目で。


「全然なんとも思ってないことはない目をしてるよ!俺を哀れんでるよ!」


 俺がそう叫ぶと、周りの人らが一歩俺から離れた。

 そして、俺は叫んだことによってか冷静になり、周りの声が聞こえ始めた。


「またか…。」

「ちょっと可哀想だね…。」

「あぁ、ちゃんと自分を見れてないんだな。」


 などなど。

 だー!俺に同情するな!


「そんなからかうなら先に行くぞ。」


 俺がそうぶっきらぼうに言って歩き始めると、後ろからとことこ追いかけてくる気配がした。


「もう、拗ねなくてもいいのに。」


「拗ねてない。」


 俺がそれを言うと、桜は何も言わずにただただ笑っていた。

 俺はそれに何故かムカついたので、それ以上桜を見ないで、さっさと学校へ向かった。

 それに何を思ったか分からないが、今度は何も言わずに俺の隣まで来ていた。

 それから10分ほど歩いただろうか。

 学校入口付近まで近づいていた。


「涼ー?」


 そこで、俺は後ろから声をかけられた。

 その声は女子にしたら低い方のカッコイイボイスでお馴染みの、俺の幼馴染だ。

 冬原雪ふゆばらゆき。成績は平均ぐらいだが、体力テストでは、桜に次いで2位という好成績。2位だが、桜が規格外なだけで、雪も充分化け物だ。

 雪と桜は見た目に関してもこの学校で2大美女という称号が設けられている。

 俺は、桜の彼氏だし、雪は幼馴染で何かと周りからの目が俺に突き刺さる。

 桜がかわいい系としたら、雪はサバサバ系だ。

 よくわかんないけど。

 綺麗な茶髪に、誰もがスタイル抜群と言うだろうスタイル。

 多分街中で見たら同級生とは思えないだろう。


「よう。朝練か?」


「まぁね。一日でも無駄に出来ないからさ。」


 雪は、陸上部エースで、県大会優勝するくらいの実力の持ち主だ。


「そうか。それはそうと、なんで桜には挨拶しないんだ?」


「えへへー。涼、私は大丈夫だよ。」


 俺がそう言うと、桜は謙遜したように体の前で手を振った。


「…。おはよう。桜。」


「おはよう、雪!」


 桜は、笑顔で、雪の顔は、朝日にかぶさってよく見えなかった。

 この二人は、元々仲が良かったんだけどな。

 いつの日からか、こんな距離感になってしまった。

 まぁ、雪が一方的に距離を置いてるようにしか見えないんだけどな。

 桜はそんなに気にかけていない。

 さて、こんな校門付近でこんな空気感は悪目立ちするから、さっさと中へ入ろう。


「もうちょっと桜と仲良くしてほしいんだけどな。」


「ふん。別に、涼には関係ないでしょ。」


「ははは。まぁまぁ。新学期だしいい顔して始業式を迎えましょう。」


 そう言って、桜は俺達の会話を終わらせた。



ーーーーーーーーーーーーー



「俺は2ーDか。桜と雪は?」


「…。」


「なんだよ、そんな睨んで。変な顔でもしてたか?」


「なんもない。…私も同じクラス。」


 雪は、睨んでいた顔をやめ、俺と同じクラスであることをバラした。


「お、また一緒か。よろしくな。」


 俺がそう言っても、雪は何も反応せず顔を背けた。

 ただそれだけで俺から離れた訳ではない。

 雪は、美人なのもあって友達があまり―


「ふぐっ。」


「失礼なこと考えてたでしょ。」


 その性格が治ったら、もっと友達が出来るんじゃないんですかね!?

 俺もその考えはやめ、さっきからにこにこと、俺らの会話を見ていた桜に話しかける。


「で、見守ってた桜はどこなんだ?」


「あ、私?私はなぜか知らないけど、私の名前がなかったの。」


「は?まじかよ。俺が先生に聞いてくる!」


「いえ、大丈夫よ。私が聞いてくるから、あなた達は先に教室に行っててちょうだい。」


 そう言うと、桜はかけ足で職員室へと向かった。

 んー、なんであんなに急いんでだ?


「ま、いいか。行こうか、雪。」


「ふん。…馬鹿。」


「聞こえてるんですけど?」


 その問いに何も答えずに雪は俺を置いてさっさと教室へ向かってしまった。


「あー。何か言ったかなー?俺。」


 新学期だと言うのに、不安しかないのだった。

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