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第80話 勝て!

展開が遅くてすみません。

原稿作業が秋口からずっと続いてまして、

なかなかWebの方の作業が捻出できず……(他の作品の更新もあってなかなか)。

来月いっぱいまで状態が続きそうなので、2月はクオリティアップのため、

お休みをいただくかもしれません。ご了承下さい。


 バラバラになった馬車。


 その側には、馬が横倒しになって、足をバタバタ動かしていた。


 そして突然地面に叩きつけられた誘拐犯たちだ。


「まさかお前がやったのか、ルーシェル」


 信じられないという顔で、ロラン王子は僕の方を向く。


 その表情には、その瞳には、祭りの時に出会ってから初めて恐れのような感情が滲んで見えた。


 僕は少し逡巡した後、素直に答える。


「そうです」


 僕は頷く。


「お前を助けるためだ。感謝しろ」


 一国の王子に対して、まさしく上から目線でユランは言った。


 沈黙が続く。


 正直どう反応すればいいかわからない。


 ユランのように胸を張ればいいのか。それとも、そっとこの場から立ち去るべきか。


 フレッティさんの時や、グラヴィス父上の時のようにうまくいかない時もある。


 カリム兄さんがいつか言ったように、僕の力は強さを超えて、歪なのだ。


「あの……ロラン王子…………」



 てめぇ、よくもやりやがったな。



 ロラン王子ではない。


 振り返ると、数人の誘拐犯が立ち上がるところだった。


「こいつら、まだ意識が……!」


「ほう……。まだ刃向かう気があるのか」


 ロラン王子が反射的に構えれば、戦い大好きなユランは目を細めて笑う。


 さすがはプロだけはある。あの一瞬で、落下で受ける衝撃を最小限に留めたのか、あるいは魔法で軽減したのだろう。


 とは言っても、立ち上がったのは馬車にいた半分ぐらい。


 これなら僕とユランで十分いける――と言いたいところだけど、1人実力が頭抜けている人がいる。


 【予知】を使った時に、僕とロラン王子を殺そうとした暗殺者だ。


 一際強い血臭をまき散らし、赤黒い肩当てと黒装束に身を纏った男はゆっくり僕たちとの距離を縮めてくる。


「気を付けよ、ルーシェル。あいつは、余の護衛騎士たちを一瞬にして屠った男だ」


 ロラン王子の護衛の騎士を……。


 なるほど。確かにそういう雰囲気は持っている。


「ユラン、他は任せていけるね」


「我は全員相手でもいいぞ」


 ユランは笑うけど、僕は頭を振った。


「あまり時間をかけてられない。他の仲間がやってくる可能性もあるからね」


 馬車に二重トラップを敷くような相手だ。


 トラブルが起こった時に、仲間と連絡する手段を確保していないわけがない。


 すでに連絡がいっていると考えて行動するべきだ。


 僕が今するべきは、一刻も早くロラン王子を連れて、レティヴィア家に帰りつくこと。


 一先ず屋敷に帰れば、彼らも追ってこないはず。


 この考えを僕は【念話】でユランに伝える。


 最初渋っていたけど、最終的にユランは納得してくれた。


「頼んだよ、ユラン」


「仕方ないのぅ」


 僕はロラン王子に魔法で防御壁を作る。


「ロラン王子はここでじっとしていて下さい」


「ルーシェル!」


「大丈夫です。この防御壁は僕とユランが負けても、しばらく消えません。安心して下さい」


「そ、そういうことじゃない!」


「え?」


「お前は大丈夫なのかってことだ? 相手はプロだぞ」


 え? え~~~~っと……。これって、もしかして僕のこと心配されてる?


 僕は防御壁向こうの王子に向かって笑いかけた。


「王子……。僕を信じて下さい」


 今はこういうしかない。


 それに王子なら大丈夫だと思う。


 根拠はあまりないのだけど、僕の言うことを信じてくれる。


 1度は剣を向けた相手だしね。


「ルーシェル!」


「は、はい!!」


「勝て!」


「え?」


「ロラン・ダラード・ミルデガードの前で見事首級を挙げてみせよ」


「首級……」


「さすれば、余はそなたに最大限の礼儀を持って報いる。いや、報いてみせる!」


 それって、褒賞のことかな?


 別に褒賞がほしいというわけじゃないのだけど……。


 まあ、いいか……。


 それに何だか悪くない。


 ちょっと勇気をもらったような気がする。


 僕が前を向いて歩く勇気を。


 自然と顔が上を向き、真っ直ぐロラン王子を見ていた。


 そして僕は手を胸に置き、はっきりと答える。


「お任せ下さい」


 鋭い音を鳴らして、僕はカリム兄様から貰った魔法剣を鞘から引き抜く。


 いつも以上に力が沸いてくる。


 僕が使った魔法以上の力が……。


 大きく息を吸い、闘牛のように鼻から吹き出した。


 殺気を漲らせる暗殺者に向かって、僕は叫ぶ。



「来い!!!!」


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