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第78話 王子救出(前編)

あけましておめでとうございます。

本年もよろしくお願いします。

 風が耳元を通り過ぎていく。


 すでに僕たちは夜空に近い場所を飛んでいた。直下を覗き込むと、月明かりに照らされた夜の大地が広がっている。


 納涼祭は夏場の満月に行われるのが習わしだ。今日が満月で助かった。


 とはいえ、薄暗いことは確かで普通の人にとっては夜の海が広がっているようにしか見えないだろう。


 だけど、僕にはスキルがある。


【夜目】


 初めてブラックロウから得たスキルだ。


 山の中で生活していて、1番役に立ったスキルがこれだ。僕は運が良かった。


 僕は辺りを見渡しながら、ロラン王子を捜す。


 【気配探知】によれば、この辺りのはずだ。


 その時だった。街道側の森から馬車が飛び出してくる。幌に枝葉を刺したまま、隣国の国境方向へと猛スピードで走っていた。


 興奮作用のある魔法か薬を使っているのだろう。馬車を引く馬も、あちこち傷だらけになりながらも走っている。


 馬をあんな使い方をすれば、いずれは死ぬ。


 国境まで持てばいい。そんな考えなんだろう。


 馬だって生き物なのに……!


「ユラン! 馬車の前に出て!!」


「任せよ!!」


 ユランが一羽ばたきする。一気に加速し、あっさりと馬車を追い越した。


「ユランはフレッティさんたちに場所を報告して」


「お前、1人で行く気か? 我も遊びたいぞ」


「ユランのは本当に遊びじゃなくなるからダメだよ。ロラン王子もいるしね」


「ぬぅ……。折角、我の剣術の見せ場だと思ったのに」


 ユラン自身は無茶苦茶強いけど、剣術自体の腕前はまだまだ素人に毛が生えた程度だ。


 相手は王国の護衛騎士を倒した相手。


 付け焼き刃の剣では太刀打ちできない。となると、ユランが切れてドラゴンに変身。周囲が焼け野原になるのが目に見えるようだった。


 僕は忠告したい気持ちをぐっと抑えつつ、ユランの鱗を撫でる。


「それは今度の機会にして。今は王子の奪還が最優先だよ」


「仕方なかろう。では、行ってこい、ルーシェル」


「報告の件、頼んだよ!」


 僕は応答を待たず、ユランから飛び降りる。


「あ、待て――――っと、行ってしまったか。せっかちな奴だ。折角我が忠告してやろうかと思ったのに。やれやれ……」



 死ぬなよ、ルーシェル……。



 そのユランの忠告を聞くことなく、僕は夜の大地へと降りていった。





 僕は馬車の進行方向に着地する。


 ジュエルカメレオンの皮を被り、姿を隠した。走ってきた馬車はそのまま僕の方に向かってくる。


 僕は走ってくる馬車に飛び乗った。


 馬車の横に貼り付き、まさにジュエルカメレオンの如く這っていく。ちょっと危険だけど、後ろから走って追いかけるように乗車すると、足音で気付かれる可能性がある。


 念のため【無音】のスキルはかけているけど、相手は手練れだ。


 できれば、物音1つ立てたくない。


 幌の中に入ると、王国の騎士の鎧を着た男たちがズラリと居並んでいた。瞼を閉じてはいるけど、全員寝ていない。体力の回復に努めているといったところか。


 幌の奥に目が行くと、ロラン王子が座っていた。


 僕は周りの賊を警戒しながら、奥へと進む。


 【竜眼】を使って、王子の状態を確認した。


(良かった。生きてる……)


 ひとまずほっと胸を撫で下ろす。だが、暴行を受けたのだろう。頬に青あざができていた。


 しかし、それ以上に厄介なのは、罠系の魔法だろう。


 ロラン王子には術者以外の人間が触ると、毒の呪いを受ける魔法が掛かっていた。


 このままではまともに触れることすら難しい。


 僕には呪いの耐性があるから大丈夫だけど、この呪いはロラン王子にまで及ぶようになっている。


 まずは呪いを解かないと……。


【解呪の――――。


 待って!


 僕は寸前で魔法を止めた。


 危なかった。二重トラップだ。


 馬車の中に魔法を使用した際、術者に警告音が鳴るようになっている。


 巧妙だな。こういう専門家みたいな人間と会うのは初めてだけど、人を罠にかけることばかり考えているのだろう。


「うっ!」


 すると、先にロラン王子が目を覚ました。


 赤銅色の瞳は、みるみる大きくなっていく。


「ルーシェル! 後ろだ!!」


 僕は咄嗟に振り返る。


 鎧を纏った賊の1人が立っていた。振り上げた手には、銀光を纏った剣が光っている。


 しまった!


 僕はジュエルカメレオンの皮の中に隠していた剣を抜く。


 直後、乾いた金属音が鳴り響いた。


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