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第248話 フェニックスの秘密

☆★☆★ 本日、単行本6巻発売 ☆★☆★


『公爵家の料理番様~300年生きる小さな料理人~』の単行本6巻発売です。

無事発売日を迎えることができました。そしていつの間にか6巻です。

ここまで来れたのも、読者の皆様のおかげです。ありがとうございます。


引き続きご愛顧のほどよろしくお願いします。


挿絵(By みてみん)

「フェニックスは焼かれ続けているんだ」


 僕はブルーシードを食べて、徐々にその姿を現す(ヽヽヽヽヽヽ)光景を見て、叫んだ。


 フェニックスには【熱吸収】と【熱吸収(魔法)】のスキルがある。前者は熱を吸収して、身体のエネルギーを回復させる。後者は魔力を回復させるスキルだ。


 3つの火山があるヒロブモブルの環境は、他の魔獣にとっては過酷でもフェニックスにとっては都合がいい。どんなに攻撃されても、【熱吸収】のスキルで回復してしまう。さらに【熱吸収(魔法)】の力によって、そのスキルが尽きることはない。まさに不死鳥……。

 けれど、【熱吸収】が回復できるのはあくまで身体のエネルギーだけだ。言わば生命の活力。部位が再生するわけじゃない。


 つまりフェニックスは生と死を繰り返しながら、ギリギリのところで生きている。つまり炎に焼かれ、常に重度の火傷に苛まれつつも、生きているというわけだ。


 火口の中で泳いでいたのも、その膨大な熱をエネルギー源として活動するためだろう。


「なるほどな。……でも、それとブルーシードがどういう関係があるんだ?」


「ブルーシードは、再生能力に優れた果実だ。欠損した部位を丸ごと修復することができるほどに……」


「あ。だから、フェニックスの大きく……。いや、本来の身体が戻ってきているのか!」


「そういうこと!」


「え? じゃあ……」


「そうだよ。今、フェニックスには肝臓が存在しない。ブルーシードを食べさせることによって、焼き尽くされた肝臓を手に入れることができる。だよね、【知恵者】さん」


『その通りです』


「なるほど…………って最初からそういってよ!」


『言葉で説明しても理解するのは難しいと考えました』


「ムカッ! なんか馬鹿にされた気分!」


「まあまあ、アルマ」


「ともかく、このままブルーシードを食べ続ければいいんだね」


『その通りです』


「よーし! フェニックス! たーんと食べろ!!」


 僕たちは引き続きフェニックスに餌をやるという作業を続けて行く。さっき自分でも言ったけど、まさしくフォアグラを育ててるみたいだ。魔獣版フォアグラと言ったところだろうか。


 それにしても、誰がこんな方法を思い付いたんだろう?


 フェニックスの身体が現れる。

 それまで淡黄色にまで熱を帯びた火の鳥が、赤、黄、白と鮮やかな羽根に覆われた翼を広げる。クローバーの葉を重ねたような綺麗な3つの尾が光跡を描き、耳を澄ませば、心臓の音が聞こえてくる。


 真の姿をさらしたフェニックスの姿は、もはやただ燃える火の鳥ではない。黄金色に光る一尾の巨大な鶴だった。


「これがフェニックスの本当の姿……」


「感心してる場合じゃないよ、ルーシェル。フェニックスの身体はブルーシードの再生能力ありきだろ。でも、この火山地帯の熱に耐えられるわけじゃない」


 アルマの指摘は的確だ。

 実際、フェニックスの翼の一部が燃え始めている。今は【熱吸収】のおかげで、原形を留めていられているみたいだけど、おそらく時間が経てば、【熱吸収】では身体の維持ができなくなる瞬間が訪れるはずだ。


 確かに時間はない。


「【知恵者】さん、肝臓を摘出するにはどうしたらいいの?」


『具体的な良策はありません。フェニックスのお腹を切り、摘出するしか……』


「結局、フェニックスを倒すしかないってことじゃん」


「いや、フェニックスは事実上倒せないよ。だから、生きている状態でお腹を切って、一気に潜り込むしかない」


「え?」


 アルマは目を丸くする。


 フェニックスを大人しくさせることすら難しいのに、加えてそのお腹を割き、初見の内臓から肝臓だけを抜き出す。マグマの中で外科手術をするような神業を披露しなければならないということだ。


「無茶だ、ルーシェル。さすがに君でも」


「無茶は承知さ。でも、やるしかない」


 僕は後ろを見つめる。

 少し離れたところから、こちらの戦況を窺う王子の姿があった。本来なら、ロラン王子は他の王子や王女同様、王宮で結果だけを待っていればいい立場だ。それに病床にある実の父親が心配で溜まらないはず。できれば、側にいたいはずだ。


 でも、ロラン王子は僕と一緒に行くと言った。それは王族としての覚悟だと……。


 ロラン王子は僕のために覚悟を見せてくれた。なら、今度は僕が王子に覚悟を見せる番だ。


「アルマ、協力してくれる?」


「イヤだって言っても、ルーシェルは1人でもやるんだろ」


「さすが、僕の相棒……」


「まったく君は……。300年ずっとお人好しのままなんだから」


「安心した?」


 僕が微笑むと、アルマはやれやれと首を振った。

 そして4本の足を踏ん張り、真の姿を現したフェニックスを睨む。


「ボクがフェニックスを抑えるよ」


「ありがとう」


「もって10秒だ。ボクは不死だから、死ぬことはないと思うけど、身体が保たない」


「うん。大丈夫」


「それじゃあ……」



 始めようか!!


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挿絵(By みてみん)



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― 新着の感想 ―
・・・溶岩の中に居る必要無くない? 体が焼けない程度に離れてても十分なんじゃ?
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