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第235話 不審な女の人

☆★☆★ 明日発売 ☆★☆★


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週末書店にお出かけの際には、是非お手にとってください。

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挿絵(By みてみん)

天羽の衣(セイクリッドアーマー)



 僕は魔法を使う。

 直後、大きな爆発音が王の間に響いた。

 続いて「陛下!」とアルヴィンさんが叫ぶ声が聞こえる。

 他の兵士や近衛たちも固唾を呑み、爆発の中心地にいる国王陛下を見つめていた。


 わずかな余韻が残る中、煙が晴れる。

 国王陛下と侵入者の間に、魔法で強化された僕が立っていた。

 勿論、陛下は無事だ。


「陛下!!」


「案ずるな、アルヴィン。無事だ。この子が……、ルーシェルが守ってくれた」


 ふー。間一髪だった。

 魔法ではなく、矢や投げ槍だったら間に合わなかったかもしれない。

 いや、反省は後だ。今は突然現れた侵入者の方が問題だろう。


 身体にフィットした黒装束。

 顔には骸骨のような仮面をしているけど、体格からして女の人であることは間違いない。


「チッ!」


 女の人は仮面の下で舌打ちする。

 そのまま踵を返して、破ったステンドグラスから外に出て行こうとした。


「待て!!」


 僕は【天羽の衣(セイクリッドアーマー)】に魔力を込める。以前倒したフォーリンエンジェルという悪魔を倒したことによって得た魔法には、身体を強化することと他にも1つの機能がある。それが――――。


「翼?」


 背後の国王陛下が、僕の背中からはえた銀翼を見て、息を飲んだ。真っ新な銀羽根が舞い落ちるのを、アルヴィンさんや兵士の皆さんも見ている。僕は大きく銀翼を羽ばたかせると、一気に飛び上がった。


「待て! ルーシェルくん。これは罠かもしれないぞ」


「わかってます。だから、深追いはしません」


 僕は王の間から出て行った。






 アルヴィンさんの言う通り、侵入者は放っておいた方がいい。あの女の人は陽動で、他にも侵入者がいて、その人間が国王陛下を弑逆するという可能性もある。それでも、僕が追いかけたのは、あの女の人が只者ではないということだ。


 子ども祭の会場だけではなく、王都や王宮に協力な魔獣を召喚する魔導具を設置した。そもそもAランクの魔獣を湯水のように召喚するシステム自体、僕は知らないし、原理すら皆目見当も付かない。


 明らかに今の技術にそぐわない。

 でも、僕はそんなことができる者の存在を知っている。すなわち――――。


 ヒュッ!


 僕が【天羽の衣(セイクリッドアーマー)】を展開して、侵入者を追いかけていると突如目の前が光った。禍々しい音を立てて、黒い槍が高速で近づいてくる。僕はギリギリで回避したが、片翼の一部が被弾する。魔力出力のバランスを失った僕は呆気なく落下した。


「誰?」


 侵入者の魔法じゃない。多分新手だ。


 地面に激突する前に僕は体勢を整える。3階建ての建物に降り立ち、空を見上げた。予想した通り、先ほどの侵入者に加えて、もう1人――こっちはローブをすっぽりと頭から被っていた。フードを目深に被っていて、顔を確認できないけど、かろうじて見える口元からして、侵入者と同性だろう。


 その口元は笑っていた。

 間違いない。僕を見て笑っていたのだ。


 僕に声をかけることはなかったが、その口元は「バイバイ」と動いていたように思う。2人は【浮遊】の魔法を使うと、そのまま東の方へと消えて行った。



 ◆◇◆◇◆



「ルーシェルくん」


 王の間に戻ってきた僕を、アルヴィン閣下は出迎える。僕の身体のことを心配してくれたけど、特に怪我はない。けれど、あのまま交戦になっていたらどうなっていただろう。勝利する自信はあるけど、侵入者もあとで合流した人もまだ力を隠している可能性が高い。まともにやり合えば、無傷ではすまなかったかもしれない。


「すみません。逃げられました」


「いい。君が無事ならな。……まったく。君が只者ではないことは頭でわかっているが、レティヴィア家の息子であることを自覚してほしいものだな」


「ごめんなさい」


「いや。でも、おかげで助かった。勲章ものだぞ」


「勲章なんてそんな……。それよりも国王陛下は?」


「避難された。王宮にはいくつか秘密の隠し部屋があるからな……。心配しておられたぞ、ルーシェルくんのこと」


「そうですか。恐縮です」


「さて、後のことは大人に任せてくれ。君には君の仕事があるだろ」


「あ。そうか。子ども祭!」


「さすがに中止にせざるを得ないだろうな」


「そう。ですよね……」


 僕は下を向いた。

 子ども祭だけの被害だけではない。

 王都全体に大変なことになっているのだ。

 もはや祭りをやっている場合じゃないだろう。


「気落ちするな。初等学校の生活は長い。また来年もやればいい。俺ももう少し長く、娘といたかったがな」


「必ず……、必ず来年も子ども祭を開催できるように頑張ります」


「うむ。期待してるぞ」


 アルヴィン閣下は僕の背中をちょっと強めに叩くのだった。



 ◆◇◆◇◆



 王宮が安全になったことを改めて【竜眼】で確認した後、僕は1度ジーマ初等学校に戻った。


 校舎の灯りは落とされ、しんと静まり返っている。きっとみんな帰ってしまったのだろうと思ったけど、僕の強化された耳は人の話し声を捉えた。しかも、子どもの声だ。


 気になって、校舎の裏に回る。徐々に見えてきたのは、煌々とした明かりだった。


「え?」


 広がっていた光景を見て、僕は思わず立ち尽くしてしまった。


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― 新着の感想 ―
てっきり実の父親の一派でも……と思いましたがさすがにまだ早かったみたいですね といえ、見られたということは、そっちに報告が入る可能性があるとなると……これからますます目が離せなくなりますね
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