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第232話 責任をとって!

☆★☆★ コミカライズ更新 ☆★☆★


最新話が更新されました!

有料最新話では、ついにロラン王子が登場です。

ロラン王子ファンは必見なので、是非読んでくださいね。


そして来月――10月18日にはコミックス5巻が発売されます。

未晶化の特訓や、ルーシェルの賄い飯など、今回もおいしい料理が揃っています。

秋らしい表紙にも仕上がっていますので、そちらもお楽しみに。


挿絵(By みてみん)

 パチパチ……。


 僕が拍手すると、リーリスたちは空を見上げた。

 空から降りてきた僕は、リーリスに駆け寄る。


「心配してきたけど、取り越し苦労だったみたいだね」


「ルーシェル!」


 リーリスの力は間違いなく魔獣を食べていた成果だ。

 僕のように毎日食べていたわけじゃないけど、リーリスは1年半定期的に魔獣食を口にしてきた。結果、同級生たちよりも遥かに身体能力が上がったのだ。


「カッコよかったよ、リーリス」


「そ、そんなことは……」


「でも、あまり危ないことをしちゃダメだからね」


「……はい」


 リーリスは少し反省したように返事する。

 自分の手に視線を下ろすと、震えていた。

 戦っている時のリーリスはとても勇敢だったけど、本当は怖かったのだろう。


「何を言っているですか、ルーシェル様」


「そうだ、そうだ。リーリス様が魔獣を投げ飛ばすことができたのは、そもそもルーシェルくんがあんなおいしい魔獣料理を出すからだ」


 リチルさんとミルディさんがうんうんと頷く。


「え? 僕が悪いの?」


「その通りです。自覚がなかったのですか?」


「これでリーリス様の嫁のもらい手がなくなったら、ルーシェルくんのせいだからね。責任をとってくださいよ」


「責任……!」


 自分の顔が熱くなるのが、すぐにわかった。

 そっとリーリスの方を見ると、赤らめた顔を僕の方から背けている。


 僕がリーリスと……?


 あたふたしていると、横でリチルさんとミルディさんが顔を合わせていた。


「どうやら今のはクリティカルだったようね、ミルディさん」


「くししし……。いい傾向ですな、リチルさん」


 2人とも聞こえてますよ。

 あと、何を言っているかわからないけど、そこはかとなく僕をバカにしてるでしょ。


 戦場に一瞬気の抜けた空気が満ちる。


 すると、魔導石から声が聞こえた。


『ルーシェル、聞こえるか?』


「ロラン王子! 何かありましたか? 【結界】が壊れたとか」


『それなら心配ない。が、もしかしたらそれ以上に悪いことかもしれない』


「というと?」


 詳しく事情を聞くと、ブルーバットベアーの数はどんどん増えて行ってるらしい。

 ロラン王子が言うには、召喚用の魔導具は子ども祭の会場ではなく、王都全体にも設置されていたようだ。そのせいで王宮からの援軍も、子ども祭の会場に到着できずにいるらしい。


「いつ王宮が襲撃されてもおかしくない状態だ。今、【剣王】が踏ん張ってくれているようだが……」


 確かにブルーバットベアーの気配は最初の頃よりも多くなってきている。

 その範囲は広がり、今や王都の外側に達しようとしていた。

 このままじゃ王都が火の海になりかねない。


 ブルーバットベアーはAランクの魔獣。

 普通の衛兵の皆さんでは難しいだろう。

 アルヴィンさんもいつまで持つか。


『そこでだが、ルーシェル。お前の力を借りたい』


「僕の?」


『幸いなことにお前たちやレティヴィア騎士団のおかげで、ジーマ初等学校周辺のブルーバットベアーは粗方片付いた。新手がきても、ルーシェルが張った【結界】の中にいれば、問題ないだろう。頼む……。今度は王都を救ってくれ』


 ロラン王子の声はかすかに震えていた。

 たぶん、王宮内にいる家族のことが心配なのだろう。

 王位継承争いをしているとはいえ、王宮は血を分けた兄姉が住んでる王子の家だ。

 何よりあそこには、ロラン王子が慕う国王陛下がいる。

 僕としても期待に応えてあげたい。


 でも、ロラン王子の家族を助けることは、僕の家族から離れることになる。

 心配じゃないといえば、嘘になる。


「ルーシェル、行ってください」


「リーリス? でも……」


「ルーシェルにしかできないことだと思います。わたくしが手伝うことができないのは悔しいですけど……。王都を、王宮を、ロラン王子のご家族を救ってください」


 リーリスが僕の手を取る。

 さらにリチルさんが僕の肩に手を置いた。


「リーリス様たちが、わたしたちが守るわ」


「ここはあたしたちに任せてよ、ルーシェルくん」


 最後に元気よくミルディさんが、親指を立てた。


 そこで僕の迷いは晴れた。


「わかりました、ロラン王子。僕は王宮に向かいます」


『感謝を、ルーシェル。この恩は絶対に報いる』


「恩なんて。僕たちは友達じゃないですか? 王子が言ったんですよ」


『そうだったな。我々は生徒自治執行部を立ち上げる同志だ』


「みんなが国王陛下に恩寵を賜るために必死に頑張って来たんです。その努力を絶対に無駄にはできません」


 僕はミルディさんとリチルさんに、生徒と観客たちの誘導をお願いする。


 その側でリーリスは突然、僕の手を取った。


「ルーシェル、気を付けてくださいね」


「うん。わかってる」


「あと、ずっと言おうと思ってたんですけど」


「何?」


 リーリスの耳がみるみる赤くなっていく。

 どうしたらいいかわからず、僕はあたふたしていると、突然リーリスは叫んだ。


「……こ、後夜祭!」


「え? 後夜祭……? あっ!」


 僕はリーリスが企画した後夜祭のことを思い出す。

 所謂、生徒だけが参加できるお疲れ回で、ダンスパーティーだ。


 そう言えば、何度かリーリスが僕に訴えかけようとしていたけど、もしかして……。


 僕はなかなか言い出せないリーリスの手を強く握った。


「リーリス、後夜祭。僕と一緒に行ってくれますか?」


「――――ッ!!」


 リーリスの顔が額まで真っ赤になった。

 耳からポーッと勢いよく蒸気を上げる。

 最後に、頭をシャッフルするみたいに何度も頷いた。


「行きましょう!」


「うん。約束」


 僕とリーリスは小指を絡め、約束の指切りをする。

 後ろでミルディさんとリチルさんがニヤニヤと笑っていた。

 あと「尊い」って何?


 生徒と観客がその場を後にした後、僕は名前を呼んだ。


「ユラン、いるんでしょ?」


「なんだ。気づいてたのか?」


「当たり前だよ。……ごほん。一緒に行ってくれるよね」


「別にお前と一緒に行かんでも、我は勝手に行くがな」


 ユランらしいや。


「だが、ルーシェルがどうしてもというのであれば、やぶさかではない」


「はいはい。じゃあ、お願いします、ユラン様。僕を王宮まで連れてってください。これでいい?」


「なんだ。やればできるではないか? 普段からそういう態度であれば、我も許してやったのに。あと、『はい』は1回な」


 本当にユランってぶれないな。


 ユランはたちまちホワイトドラゴンの姿になる。

 僕がその背中に乗ると、大きく翼を動かして、飛び上がった。


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挿絵(By みてみん)

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