表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
230/283

第225話 不吉な報告

☆★☆★ コミカライズ更新日 ☆★☆★


ヤンマガWEBにて最新話が更新されました。

いよいよ納涼祭編が始まります。

絶好調ですので、是非コミカライズよろしくお願いします。


挿絵(By みてみん)

◆◇◆◇◆ ロラン王子 ◆◇◆◇◆



 ロランは学校にある防音室で子ども楽団の最後の練習を行っていた。

 夏の頃は初心者同然の腕前だった生徒たちも、ロランの指導力と、個人の努力のおかげでメキメキ上達し、人前に出しても恥ずかしくない音になっていた。プロ顔負けとは行かずとも、観客を喜ばせるぐらいには、ロランも手応えを感じていた。


「よしよし。いいぞ。では、最後に通して終わろう」


 演奏家から指揮者に役割を変えたロラン王子は、指揮棒を振りながらリズムを取る。瞬間、防音室にクライスが入ってきた。突然入ってきた側付きにロランがたしなめる間もなく、クライスは耳打ちする。


「反獣人派が動き出しました」


 クライスの一言を聞いて、ロランの表情が曇る。

 その表情を見て、生徒たちも何かを察したが、ロランは一転して笑顔を浮かべた。


「すまん。急用を思い出した。リハーサルはこれで終わりだ。コンサートまで2時間。それまで休んでいてくれ。……大丈夫。みんなならできる!」


 最後に生徒たちを鼓舞すると、クライスとともに防音室を出て行った。





「爆弾?」


 クライスを人気のないところに呼び出し事情を聞いたロランは眉を顰めた。


「はい。反獣人派が爆薬を買い集めていることがわかりました。それも王都内に持ち込み可能な量の3倍以上になります」


「1個大隊並みの爆薬量だな。あいつら、子ども祭を戦場にするつもりか?」


 半分皮肉るロランだが、表情は怒っていた。ロランやルーシェル、リーリスだけじゃない。ジーマ初等学校の子どもたちが一丸となって作り上げた祭りをぶち壊そうというのだ。ロランが憤るのも無理からぬことだった。


「で? 爆弾はどこにある?」


「ここです」


「ここ?」


 ロランは反射的に辺りを見回した。

 それらしいものは何1つ見当たらない。

 そこでようやく、ロランはクライスの言葉の意図に気付く。


「まさかすでに学校に持ち込まれていると?」


「可能性はあるかと」


「失策だな、クライス。蛇の道は蛇……。こういう時のために兄さんの手元からお前を引き抜いたんだぞ」


 クライスは元々ユージェヌ王子の側付き兼汚れ仕事を担当していた。言わばユージェヌ王子の懐刀だった(ヽヽヽ)。裏社会にも精通していて、その方面から今回の反獣人派の動きを探っていた。ロランもその方面の能力を期待していたのだが、今回ばかりは相手が上手だったらしい。


「申し訳ありません。お叱りは存分に」


「余はユージェヌではない。過ぎたことは仕方ないだろう。仕事で挽回しろ」


「かしこまりました」


「爆弾はいくつだ?」


「爆薬の量からして3つ。騒ぎを起こすだけなら、もっと作れるでしょうが、向こうは狂信的なテロリストです。確実に人を殺傷することを望むなら、3つかと」


「わかった。とはいえだ……」


 今、ジーマ初等学校にはたくさんの資材や、材料が運び込まれている。学校の裏手や出店の側、教室などには山となって荷物が置かれている。その中から3つの爆弾を探すのは、至難の業だ。


「アルテン学校司祭長に報告し、避難を」


「避難はダメだ。ヤツらにバレる。それに爆弾が爆発するタイミングはわかっている」


「子ども楽団のコンサートですね」


「反獣人と謳いながら、あいつらがやっていることは体制の不満をぶつけることだ。余がターゲットになっている可能性は高くないはず」


「王子がコンサートに来ることは事前に告知もされていますからね。多くの人が集まる」


「……クライス、この会場にアルヴィンの奴は来ているのか?」


「私はまだ確認していませんが、おそらくいらっしゃるかと」


「なら、コンサートにはアルヴィンも出席するという情報を意図的に流せ」


「コンサート襲撃を確実にするのですね。……どうして、そう悪知恵ばかりが働くのですか?」


「褒め言葉と受け取っておくぞ」


「爆弾は如何しましょうか?」


「それはこっちでやる。生徒自治会メンバー(ヽヽヽヽヽヽヽヽヽ)でな」


 ニヤリと笑うロランを見て、クライスは露骨にため息を吐いた。


「まさか生徒自治会発足のためのポイント稼ぎに利用するのですか? 反獣人派が聞いたら、どう思うでしょうね?」


「別に悪いことはしてない。それにこうなることもあらかじめ予想していた。余とルーシェルで対策も考えてある」


「結局、ルーシェル様だよりなのですね」


「あいつがいなかったら、そもそも子ども祭なんてしなかった。それに子ども祭を企画したのは、ルーシェルに楽しんでほしかったからだ」


 ルーシェルのためだと言った時、ロランの表情は真剣だった。

 それは唯一ロランが話したことの真実であることを匂わせる。


(相変わらず王子はルーシェル様が好きなんですね)


 ある種、ロランの覚悟を聞いて、クライスは背筋を伸ばした。


「では、私は情報の攪乱を……」


「頼むぞ。あとアルテンにはお前から報告しておいてくれ。うまくやれ」


「わかっております」


 最後に恭しく頭を下げると、クライスはその場から離脱した。


 ロランは中庭の方に戻る。

 噴水の近くにある時計塔を見つめた。


「コンサートが始まるまで1時間50分。ここが正念場だな」


 そしてロラン王子は【移声】の効果が付いた魔導具を取り出す。


「学校祭実行委員の者たちよ。聞け――――」


☆★☆★ 8月新刊 ☆★☆★


8月7日に

『「ククク……。奴は四天王の中でも最弱」と解雇された俺、なぜか勇者と聖女の師匠になる』

単行本8巻が発売されます。


すでに予約が始まってますので、是非よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シリーズ大重版中! 第7巻が10月20日発売!
↓※タイトルをクリックすると、公式に飛びます↓
『公爵家の料理番様~300年生きる小さな料理人~』単行本7巻
DhP_nWwU8AA7_OY.jpg:large


9月12発売発売! オリジナル漫画原作『おっさん勇者は鍛冶屋でスローライフはじめました』単行本4巻発売!
引退したおっさん勇者の幸せスローライフ続編!! 詳細はこちらをクリック

DhP_nWwU8AA7_OY.jpg:large



8月25日!ブレイブ文庫様より第2巻発売です!!
↓※タイトルをクリックすると、公式に飛びます↓
『魔王様は回復魔術を極めたい~その聖女、世界最強につき~』第2巻
DhP_nWwU8AA7_OY.jpg:large


シーモア限定で6月30日配信開始です!
↓※タイトルをクリックすると、シーモア公式に飛びます↓
『宮廷鍵師、【時間停止】と【分子分解】の能力を隠していたら追放される~封印していた魔王が暴れ出したみたいだけど、S級冒険者とダンジョン制覇するのでもう遅いです~』
DhP_nWwU8AA7_OY.jpg:large


コミカライズ10巻5月9日発売です!
↓※タイトルをクリックすると、販売ページに飛ぶことが出来ます↓
『「ククク……。奴は四天王の中でも最弱」と解雇された俺、なぜか勇者と聖女の師匠になる10』
DhP_nWwU8AA7_OY.jpg:large


『アラフォー冒険者、伝説になる』コミックス9巻 5月15日発売!
70万部突破! 最強娘に強化された最強パパの成り上がりの詳細はこちらをクリック

DhP_nWwU8AA7_OY.jpg:large



最新小説! グラストNOVELS様より第1巻が4月25日発売!
↓※表紙をクリックすると、公式に飛びます↓
『獣王陛下のちいさな料理番~役立たずと言われた第七王子、ギフト【料理】でもふもふたちと最強国家をつくりあげる~』書籍1巻
DhP_nWwU8AA7_OY.jpg:large




3月12発売発売! オリジナル漫画原作『おっさん勇者は鍛冶屋でスローライフはじめました』単行本3巻発売!
引退したおっさん勇者の幸せスローライフ続編!! 詳細はこちらをクリック

DhP_nWwU8AA7_OY.jpg:large



最新作です!
↓※タイトルをクリックすると、ページに飛ぶことが出来ます↓
追放王子、ハズレギフト【料理】を極める~最強のもふもふ国家で料理番を始めます。故郷の国が大変らしいのですが、僕は「役立たず」だったので関係ないよね~



『魔物を狩るなと言われた最強ハンター、料理ギルドに転職する』
コミックス最終巻10月25日発売
↓↓表紙をクリックすると、Amazonに行けます↓↓
DhP_nWwU8AA7_OY.jpg:large



6月14日!サーガフォレスト様より発売です!!
↓※タイトルをクリックすると、公式に飛びます↓
『ハズレスキル『おもいだす』で記憶を取り戻した大賢者~現代知識と最強魔法の融合で、異世界を無双する~』第1巻
DhP_nWwU8AA7_OY.jpg:large


<『劣等職の最強賢者』コミックス5巻 5月17日発売!
飽くなき強さを追い求める男の、異世界バトルファンタジーついにフィナーレ!詳細はこちらをクリック

DhP_nWwU8AA7_OY.jpg:large




今回も全編書き下ろしです。WEB版にはないユランとの出会いを追加
↓※タイトルをクリックすると、公式に飛びます↓
『公爵家の料理番様~300年生きる小さな料理人~』待望の第2巻
DhP_nWwU8AA7_OY.jpg:large


小説家になろう 勝手にランキング

ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ