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第212話 農地開拓

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挿絵(By みてみん)

「農園って?」

「ここ?」


 ジーマ学校祭は生徒全員の承認も貰い、早速始まった。すでにたくさんのグループから企画が出て、精査が進んでいる。


 でも学校祭は半年後。時間があるように見えて、実はない。だって、そこで使われる花や食材なんかは、すべて自分たちで育て、摘み取ることになっているからだ。


 そこでロラン王子が学校側と掛け合って、農園を貸してもらった――のだけど、やって来てみて愕然とする。


 そこは森だったからだ。


「アプラス先生、これは?」


「ふふん。ルーシェルくん。古来農園というのは、森を切り拓いて生まれたものなの。そもそも学校の土地は限られているのだから、広い農地や農園なんて望めないわ」


 それでも森から農園にして、そこで育てるのはかなり無理がないかな。

 ちょっと微妙な顔をしていると、どうやらアプラスさんに伝わったらしい。


「ごめん、ルーシェルくん。私の力不足ね」


「いやいやいや。アプラスさんが悪いわけじゃないですよ」


 でも、こんな森を拓くのに、子どもに任せていたら一体いつになるかわからない。

 こうなったら、ちょっとズルしてでもやるしかないな。

 あまり力は使いたくなかったのだけど……。


「ユラン、レーネル、出番だよ」


「くっくっくっ……。我はドラゴン故にもっと高尚で頭の使ったことをしたかったが、ルーシェルがどうしてもというから仕方なく手伝ってやるのだぞ」


 言ってることめちゃくちゃだ。

 そもそもユランって、お金の計算とか書類を読んだりするのが苦手じゃないか。


「事務仕事よりも、こっちの方がボクは得意だよ」


 レーネルの方はグルグルと腕を回している。腰に下げた剣を抜くと。一気に目の前の木を切り裂いた。自分の腰と同じぐらいの太さが樹木がメリメリと音を立てて倒れる。


「お見事! さすがレーネルだね」


「へへん」


 レーネルは得意げに鼻の頭を掻く。

 それに対抗意識を燃やしたのは、もちろんユランだった。


 ゴッ!


 凄まじい音が森に響くと、ゆっくりと木が倒れていく。

 レーネルが切った木よりも一回り太い大木だった。


 その大木を一撃で沈めたユランは、先ほどのレーネルのお株を奪うかのように得意げに鼻を鳴らす。


「ふん。その程度の木を切ったところで得意げになるではないわ、獣人娘」


 ちょちょちょ!

 ユラン、さすがにやり過ぎだよ。

 凄すぎて、他の生徒がめちゃくちゃ引いてるじゃないか。

 そんなの見たら、みんなやる気をなくすよ。


 忠告しようとしたけど、その前にレーネルが立ちはだかった。


 ギィン!!


 また大木が倒れる。

 ユランが倒した樹木に勝るとも劣らない大きさだった。

 やったのは、もちろんレーネルである。


「どう、ユラン」


「やるではないか。まあ、我はまだ本気ではないがな」


「ボクだって本気じゃないよ」


「よかろう。勝負だ、獣人娘」


「いいよ。受けて立つ!」


 ユランとレーネルは火花を散らす。


 一瞬睨み合った後、森の奥へと突撃していった。

 その後、次々と大木を切り裂いていく音がする。


「だ、大丈夫かしら、あの2人……」


「あとで止めておきます。強制的に」


 放っておいたら、森が禿げ上がっちゃうからね。

 森の精霊の怒りを買う前に、やめさせよう。


「さて、ユランたちは放っておいて、僕たちもやることをやろう」


「何をするの?」

「もう木は切ったろ?」


 生徒たちは首を傾げる。


「ここから木を加工して、建材にするんだ。それに農地として使うには、切り株も除去しないと……」


「でも、どうやって」


「魔法でカットするのが理想かな。こんな感じで……」


 僕は風の刃を放つ。

 1つだけではない。複数の刃が倒れた巨木に殺到する。枝を打ち、木の皮を薙ぎ、木目を見ながら、板状に切り裂いていく。あっという間に、建材が出来上がった。


「すごっ……」


「初歩の風魔法だよ。凄い事はしてない。さあ、やってみようか」


「いやいやいや! ルーシェルくん、さすがに生徒にそこまでできないでしょ」


 アプラスさんはツッコむ。

 そうかな。これくらいならトリスタン家にいた頃にすでにできていたけどな。

 普通の子どもってそういうものなのか。


「まあ、今の理想的だけど、風魔法で木を切るのはそんなに難しくないよ。魔法が得意だっていう子は、コツを教えるから後で聞いて」


「あのルーシェル先生。魔法が不得意な子はどうしたら」


「ノコギリで切るしかないかな。ええっと……」


 僕は【収納】から日曜道具セットを取り出す。

 万能ノコギリをはじめ、糸鋸や鉈、金鎚、釘やネジなど一揃い入っている。

 生徒は早速手分けして、木を切り始めた。


「ルーシェルくん、さすがに難しくない?」


「そうでしょうか?」


「上級生もいるとはいえ、ほとんどの子どもがまだ幼いのよ。さすがにここは教師に任せても――――」


「ええ!」

「すごい! めちゃくちゃ切れる」

「何これ! 木ってこんなにやわらかいの?」


 いくらもしないうちに、生徒たちは1本の樹木を丸裸にしていた。


「ちょっと! ルーシェルくん、なにこれ」


「生徒たちに強化の魔法をかけました」


「それだけじゃないわよね」


「はい。使ってる道具はノコギリが、ノコギリタイガーの牙と角から加工したものです。他の道具も……」


「の、ノコギリタイガー!! 下手したら、オリハルコンより硬い角と牙を持つっていう!!」


「さすがアプラスさん、よく知ってますね」


「え、ええ……。こう見えて、700……ってそういうことじゃなくて。そ、その……もっと木を切る時の苦労とか教えた方が……」


「苦労を教えるのは必要ですけど、まずは作ることの喜びを知らないと。それに大人と子どもじゃ違いがありすぎますし」


「も、もっともだわ。……でも、これで大丈夫かしら?」


 アプラスさんは子どもたちによって、農地化されていく姿を見て、少し複雑な表情を浮かべる。


「それに森を切り拓くのは案外簡単なんです。問題は森をどうやって農地用に改造するかが問題ですね」


 森を拓いて、すぐ作付けできないわけじゃない。

 けど、それではうまく育たない場合がある。

 今の森は棲息する植物が優位に育つように土壌がならされているからだ。

 それを作物や花などが成育できるようにするには、土壌そのものを改良する必要がある。


「確かに……。でも、ルーシェルくんならできるんじゃないの?」


「はい。彼らを使います」


 再び【収納】から出したのは、赤、青、緑、黄のスライムだった。


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