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第171話 公爵家の料理“長”様

☆★☆★ 発売まであと3日!! ☆★☆★


いよいよ今週発売です。

第1巻が2度重版いたしました。

売り切れる可能性が高いので、是非ご予約お願いします。


挿絵(By みてみん)

 甘藷さつまいもでおいしいケーキを作る。


 僕の言葉にみんなが固まる。

 ただヤンソンさんだけが顎を撫で、僕の方をジッと見ていた。


「甘藷でケーキを作るなんて、そんなことができるの、ルーシェル?」


 ソフィーニ母上は首を傾げる。

 その不安そうな表情に対して、笑顔を返した。


「論より証拠です、母上。お任せいただけませんか?」


 自信満々に返すと、ソフィーニ母上はヤンソンさんに意見を求めた。

 すると、何も言わずヤンソンさんは頷く。

 母上としては止めてもらいたかったのかもしれない。だが、逆に進めたヤンソンさんを見て、益々困惑していた。


 最後には僕の意見に、ソフィーニ母上も頷く。


「わかったわ、ルーシェル。お願いね」


「お任せください」


 早速、炊事場に入って、エプロンの帯を締めた。

 調理に入ろうと甘藷を取ろうとした時、その前に取り上げられてしまう。顔を上げると、兄弟子の姿があった。


「ヤンソンさん?」


「甘藷……、皮は剥くのか?」


「手伝ってくれるんですか?」


「勘違いするな。そこは俺の持ち場だ」


「あ。すみません!」


 王都にある別宅の炊事場は、本邸と比べるとかなり狭い。

 別宅に連れてきた料理人はソンホーさん、ヤンソンさん、あともう1名だけ。

 そこに僕を入れると、持ち場を重なってしまうのだ。


 ヤンソンさんはコック帽の上から頭を掻く。


「だから、勘違いするなって。そこは俺の持ち場なんだから、皮むきは俺の仕事だ」


 ヤンソンさんは手慣れた手つきで、甘藷をむき始める。

 あっという間に買ってきた甘藷を剥いてしまった。


「で? 次は何をすればいい?」


 次の指示を待つ。

 どうやら僕を手伝ってくれるらしい。

 言い方はあれだけど、ヤンソンさんらしいや。


「い、いいんですか? 僕がヤンソンさんに指示を出して」


「お前が作るって言い始めちまったんだ。今日の料理長はお前だろ」


 料理長!


 僕は思わずソンホーさんの方を向く。

 腰に手を当てたソンホーさんは、うんと頷いた。


「いいんですか?」


「そんな質問してる場合か? お祝い会の料理ができちまうぞ」


炊事場は今、僕やユランの入学祝いの料理に追われている。ソンホーさんもその1人だ。

 得意料理である七面鳥も用意されている。様々な料理の香りが混ざり、炊事場は巨大な香りの宝箱になっていた。


「それに今日の主役はルーシェルと、あのドラゴン女だろ。お前がいなけりゃ始まらないだろう。だから、いちいち気にするな」


「ヤンソンさん……、はい! ありがとうございます」


「言葉は後だ。次は何をする?」


「甘藷を茹でてください。僕はその間に材料を揃えます」


「よし!」


 ヤンソンさんは鍋を用意し、僕が他の材料を用意する。


 甘藷が軟らかくなるまで茹でた後、僕は先ほど用意した小壺に入れる。さらに橄欖油、砂糖、卵、牛乳を加えた。


「ここからどうするんだ?」


「こうします」


 小壺の口に手を置き、僕は魔力を最小限に絞って、唱えた。


 【風斬】


 小壺の中で暴風が荒れ狂う。

 威力は最小限に留めているから壺が割れることはないのだけど、中の材料が微塵切りにされていく。

 さらに渦を巻いて、材料同士が混ざり始めた。


 30秒ほど魔法を維持した後、僕は小壺から手を離した。

 中身を覗くと、甘藷の原型が消え、粘り気のあるペースト状になっていた。


 気が付けば、結構時間が経っている。

 そろそろお祝い会の前菜ができる頃合いだ。


 そろそろいかなくちゃ。


「これを型に流し込んで、オーブンで焼いてください。時間はお任せしていいですか?」


「任せろ。バッチリの焼き加減で届けてやるよ」


 僕はエプロンを脱いで、後の行程をヤンソンさんに任せた。

 食堂へ行くすがら、胸を押さえる。

 心臓がドキドキしていた。


 ヤンソンさんに指示を出すのは緊張したけど、結果的にいい経験になった。

 でも、人を動かすって、自分が動くより大変だ。けれど、大きなことを成し遂げようとする時、僕は人に頼らないといけない時があるのかもしれない。


 お菓子の家もそうだった。

 あの時も夢中で作って気づかなかったけど、ヤンソンさんたちに手伝ってもらわなければ、できなかったかもしれない。


 料理は1人でも作れる。


 でもたくさんの人を喜ばせるためには、僕以外の人の力も必要なんだ。


 ヤンソンさんは僕を弟弟子だから手伝ってくれた。

 だけど、それじゃダメなんだ。

 僕と同じ物を見て、僕のために、僕もその人のために動ける人を、これから探さなくてはならない。


 初等学校に行けば、そんな出会いがあるかな……。


「遅れました。すみません」


 僕は中庭に出る。

 すでにお祝い会の飾り付けは終わり、真っ新なテーブルも、料理を迎えるだけになっていた。


 早速席に着くや否や、側のリーリスが僕に尋ねる。


「ルーシェル、どうしたんですか?」


「どうしたって?」


「顔がとてもにやけてますよ。そんなにおいしい料理ができたんですか?」


 にやてるって……。僕、そんな顔をしてた? 全然自覚がないんだけどなあ。


 どうしてだろ?


☆★☆★ こちらは発売まであと2日!! ☆★☆★


拙作原作『劣等職の最強賢者』のコミックス3巻も発売されます。

是非合わせてご購入いただければ幸いです。


挿絵(By みてみん)

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