第14話 魔剣
☆日間総合4位☆
ちょっと下がっちゃいましたが、
ここから巻き返してくるので、応援よろしくお願いします。
特徴的な赤茶色の髪に、浅黒い肌。
歯並びの悪い歯茎を剥き出し、焦げ茶色の瞳を僕に向けている。
上背はあまりない。さすがに僕よりは大きいけど、別の場所で寝ている野盗よりは、身長差がなかった。
その分、鋼のようにしなやかな筋肉をしている。鍛え抜いたというより、元からあった素質と現場の中で動き回ったことによって形成されたものだろう。
故に無駄がない。
何故、そういうことがわかるかというと、僕も似たようなものだからだ。
僕の身体もまた特別トレーニングしたわけではない。山で住むうちに自然と身に付いたものだった。
「何もんだ、ガキ!!」
野盗の頭領は頭を押さえるというよりは、今にも暴れ出しそうな頭を押さえ付けてるといった感じで、少々乱暴に自分の頭に手を置いていた。
もう片方の手は赤い剣を握っている。
「誰だって聞いてるんだよ!?」
男は吠える。
同時に僕の分析は終わった。
今のところ、この頭領に対してフレッティさんが負ける要素はない。
奇襲を受けたとしても、僕が見立てたフレッティさんの実力なら敗着はないはずだ。
なら敗因は……。
僕は視線を動かす。頭領が手に持つ、赤い剣へと向いた。
秘密があるとするなら、あの剣だろう。
見るからに怪しいしね。
戦うつもりは全くなかったけど、あの剣の性能を見るまでは帰れないよね。
「…………」
僕は黙って構えを取る。
それを見て頭領はせせら笑った。
「おいおいおいおいおいおい。なんの冗談だ、小僧……。今、お前何をしようとしてるのかわかってんのか?」
「少しあなたを試させて下さい」
「は?? オレを試す? ふざけんな!! こっちはな。寝ていたのを起こされて機嫌が悪いんだ。今日のところは見逃してやる! どっかへ行け!」
「…………」
僕は言うことを聞かない。
ただ黙って、頭領を睨んだ。正直、こういう輩とは口も聞きたくなかった。
「くっそ! ガキが! 舐めやがって……。おい! 誰かいないのか!! 他のヤツらは何をしているんだよ」
「呼んでも無駄ですよ。みなさん、ぐっすり眠っているので」
「あん!? てめぇがなんで――――まさか、お前か! お前がやったのか、クソガキ!!」
「目くじらを立てるようなことじゃないですよ。ただ眠ってもらっているだけです。あなたにもそうであってほしかったのです」
「ふざけんな!!」
ついに頭領は切れた。
持っていた剣を高々と振り上げる。
僕は同時に先ほどの【構造分析】を使った。
このスキルは建物内の把握だけではなく、人体の状態も観察することができる。
すると、頭領の身体の中に流れる魔力が、手に握った剣に集中していくのを見て取れた。
「やはり……。『魔剣』か」
言った瞬間、赤い剣から炎が噴き上がった。
篝火の光しかなかった暗いアジト内部が、真っ赤になる。
炎が昇竜のように噴き出し、僕の前に立ちはだかった。
確かにこれは厄介だな。
火力の強さに加えて、なまじ頭領が制御できているところが大きい。
おしいな。
きちんと鍛えれば、いい騎士か剣士になっていたのに、どこで道を間違えたんだろうか。
そもそも魔剣を扱える人間が少ない。
何の訓練もしていない一般人が使えば、魔力を吸い上げられて、すぐ魔力切れを起こすのに、この頭領は自然に魔力を制御し、『魔剣』を扱えている。
努力を怠らなければ、道を外れることはなかったのに。
「ぎゃ――――はっはっはっはっはっ! どうだ、ガキ! ションベンちびったか? あん? 安心しろ、そのションベンごと消し炭にしてやっからよ――――っ!」
ドンッ!!
頭領は自分の台詞を言い終わる前に、吹き飛んでいた。
やったのは勿論、僕だ。
汚い言葉で喋っている間に、真っ直ぐ行って右ストレートでぶっ飛ばした。
頭領は壁に叩きつけられる。
そのまま倒れると、ぴくりとも動かなくなった。
「ちょっと強く叩きすぎた?」
一応生きている。気を失っているだけみたいだ。
敵情視察はこれぐらいで良さそうだな。
『魔剣』の力もだいたいわかったし、対策も練ることができそうだ。
ちょうどいいハンデも付けることができたしね。
僕はまだ冷たい洞窟の床に突っ伏す野盗を見下ろす。
踵を返すと、僕はそのままアジトを後にした。
土日はみなさんにいっぱい読んでほしいので、
3話投稿の予定です。なので、今日あと2話読めるドン!
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