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君とは以前、僕と会った事があるんだ!

作者: 七瀬








君は、私の事を知ってるのかな?

私はね、ずっと君の事が好きだったよ。

だけど、そんな私の気持ちを君に言う事は一度もなかった。

こんなに一人の男性ひとの事を想い続けた事は今までない!

私ね! 君の事が、今でもずっと好き、だった、のに。





・・・私が横断歩道を信号が青になって渡っていると?

物凄いスピードで信号無視をしてきた車にぶつかった。

私は、その車に轢き殺される。

あっという間の出来事で、周りにいた人達も一瞬で止まってしまった。

通りすがりの人が急いで救急車を呼んで私は病院に運ばれたけど。

心臓は既に止まっており、どうする事も出来なかった。




私は、21歳という若さで亡くなってしまう。

私の心残りだったのは、彼に自分の気持ちを伝えていなかった事。

どうしても、私は彼に自分の口から【好き】という言葉を言いたい

気持ちがこの世に残り、私の魂は彷徨っていた。

そんな時、私に誰かが話しかける。


『ちょっと! そこのお姉さん!』

『えぇ!?』

『どうしたんだい? 魂がこの世に残ってるよ。』

『・・・私が見えてるんですか?』

『勿論! 見えてるさ~』

『・・・どうして?』

『ワタシは、この世に未練を残した人の力になる“何でも屋だよ!”』

『“何でも屋?”』

『何か? 心の残りでもあるのかい?』

『・・・あぁ、ははい。』

『なんでも、一つだけなら聞いてあげるよ。』

『本当ですか?』

『その代り、願いが叶ったら? ワタシがお姉さんの魂を連れて行く

けど? いいかい!』

『ハイ!』





私は、迷うことなく即答で答える。

この老人が、何者かは知らない!

それでも、私はどうしても彼に自分の気持ちを伝えたい

想いが強かった。



『・・・でも? どうしたら、私の願いが叶うんですか?』

『これだよ!』

『えぇ!?』

『一時的にレンタルしてるんだよ! ほら? 好きなの選んで!』

『・・・・・・』

『お姉さんの魂の器がいるだろう。』

『・・・えぇ、』





そこには、10体ほどの女性ひとの体が置いてあった。



『・・・じゃあ、この体で!』

『よし! お姉さんの魂を、この体に入れていいよ。』

『・・・あぁ、ははい。』

【グルグル、ポコッ】




私の魂が、1体の女性ひとの体に入った。



『どうだい? 体を動かしてごらん!』

『・・・あぁ、ちょ、ちょっと上手く動かせません。』

『まあ、そのうち慣れるよ。じゃあ―行くかね!』

『えぇ!?』

『お姉さんの好きな男性ひとの所だよ。』

『あぁ、はい!』





私は、老人と彼に会いに行く事に、、、。

そして! 私と老人は、彼の職場の近くに着く。



『じゃあ、ワタシはこれ以上は、付き合えない! ココからはお姉さん

の努力次第だよ! 期限は10日。 その間に彼に自分の気持ちを言う

んだよ! それ以上は、待てない! もう一度、言うよ! 期限は10日

それ以上は、この体を維持できなんだ! まあ、頑張んな! 

あぁ、それと! 住む家とお金、要るモノは用意してあるからじゃあね!』

『・・・あぁ、ありがとうございます。』




私は、その日から体を持って生活するようになった。

住む家も、お金も何もかもあの老人が用意してくれていた。

私が、この世でやる事は彼に自分の気持ちを伝えるだけ!

今は、それだけを考えていればいい。





私は、少しずつ彼と距離を縮める作戦に出る!

偶然を装って、コンビニで彼が手に取った商品を私も取り

彼の手と私の手が触れる。



『・・・あぁ! スミマセン。』

『・・・ぼ、僕こそ! すみませんでした。』

『いえ、じゃあ! この商品は貴方が、』

『いえいえ、貴女が先に取ったのでどうぞ!』

『ありがとうございます。』

『お家はお近くなんですか?』

『・・・あぁ、はい。』





何となく、お互い気になるような仲になって...。

気が付けば、彼がコンビニで私を待っててくれる。




『今日、会えるかなって! 少し思ったりして。』

『・・・私もです。』






彼と仲良くなればなるほど、不思議に感じるの。

私が生きていた時は、話も出来ないぐらいに彼との距離は

遠かったのに...。

今は、彼との距離が近くに感じる。

まさか!? 笑って話せる仲になれるなんて!

思ってもみなかった。

これで、私も彼に自分の気持ちを言えそう。






・・・でも、数日後。

彼が私に言ったわ! 



『“僕は君が生きている時からずっと君が好きだった”と。』

『・・・えぇ!?』




私の頭の中は、真っ白になっていた。 どういう事なの?



『僕もこの体を一時的に借りてるんだ!』

『じゃあ、この体の人の魂は、、、?』

『もう、亡くなってるよ。』

『・・・そ、そんな、』




でも? 彼は私が亡くなってる事を知ってる。

この体が借り物だとも、、、。

それで、今! この人と私は話しているの?


『・・・あ、貴方は? 一体誰なの!?』

『君とは以前、僕と会った事があるんだ!』

『えぇ!?』

『やっと、自分の気持ちを君に言えたよ。』

『・・・・・・』

『じゃあー僕は今日が期限の10日目だから、今までありがとう。』

『・・・・・・そ、そんな、』




私は、その場で崩れ落ちた。

ずっと想い続けていた男性ひとは、、、?

既に亡くなってる。

私の想い続けていた彼に、自分の気持ちを言えなかった。

この残りの期限じかんをどう使えばいいの?






最後までお読みいただきありがとうございます。

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