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犬をなでるだけの簡単なお仕事です  作者: maochoko
第五章 世界のキキを救うお仕事
49/94

49 貯水池の激闘


本日3話目です。





「まずは何より、ななさんの安全確保が大切です」


 非常に大切なことなので、しっかり話を聞こう。


「スライムは視覚や聴覚、嗅覚は発達していません。魔力にのみ反応して動きます。どんな物にも微細な魔力を含むあちらの世界の物質は、取り込んで消化しようとしてきます。

 ななさんの世界の物やななさん自体には反応しませんので、危険は無いと思います」




 ちょう子さんからスライムに関する注意事項と、今回の作戦の説明を受けたので、自前のジャージにゴム長、ゴム手袋、ゴーグルにマスクの出で立ちで下水道へ向かう。


 スライムの中には酸や毒を持つ種類もいるが、そういったスライムは毒の沼地の近くや森の深部など、特殊な環境に生息しているもので、浄水に利用している通常のスライムには特殊な能力は無いらしいので安心していた。


 ちょう子さんが用意してくれた「MPドレインの魔道具」は、業務用の掃除機のような形状をしていて、本体を背中に背負えるようになっている。

 作動用に付いている魔石は極小さいものの、吸収した魔力もエネルギーとして変換されて動くので、動力切れを起こす心配は無いらしい。

 エネルギーとして利用する分を余剰した魔力は、貯められて、凝縮されて、質の高い魔石となって排出される。依頼料とは別に魔石も買い取りするので、持ち帰って欲しいと頼まれた。


 すっごく大変そうだけど、いい稼ぎにはなりそうだ。頑張ろう。




 どでかい掃除機を背中に背負い、吸引部のホースを手に持ち、いざ出陣。

 気分はゴー○トバスターズだね。




 転移エレベーターを降りた先は、下水道の側道のような通路につながっていた。


 薄暗くはあるが、ところどころ灯りがついていて真っ暗ではない。

 放水口が詰まっているだけあって、水かさは側道へはみ出すほど上がっているし、流れも悪く澱んでいる。生臭いような独特の臭気が漂う中、足元に気をつけて下流へと進む。


 しばらく歩き続けると、最終漕と思われる開けた場所に出た。

 大きな池だ。奥に放水口だろう鉄柵が見えて、外の光が入ってそこだけ明るくなっている。


 ここの水はスライムに浄化されているからか、臭いも無いし澱んでもいない。きれいなものだ。スライムの浄水システムはすごい優秀だな。


「百匹か二百匹か……って言ってたけど、どこにスライムがいるのかな……?」


 私の想像する水色のしずく型の愛嬌のあるアレとは限らない。いよいよ臨戦と緊張しつつ、明るくなっている鉄柵の辺りに目を凝らすと、


「うわ……、あれか……」


 透けたような、バランスボールくらいあるぶよぶよが、確かに柵に詰まっている。


 良く見ると、水面にもふよふよと透明なバランスボールが浮いている。その量、お盆明けのクラゲなんてもんじゃない。


「は、はは……。これを全部、一人でか……」


 サイズと言い、数と言い、ビビる要素しかないけれど、覚悟を決めて池のほとりへと一歩踏み出す。


 ピクリッと水面を漂うスライムたちが、一斉に反応した気がする。


 池に近付き、ホースを前面に向けてスイッチをオンに……。


 入れる前に、浮いていたスライムたちがゾゾゾッと鈍い動きでこちらへ向かってくる。たくさんのスライムたちがこちらへと集まってくる!


「えええ!? なんで!? 反応しないって言ったじゃん!?」


 大慌てでスイッチを入れると、私目掛けてスライムたちが水面から跳ね上がり殺到してきた。


「イヤアァァァァ!! 来ないでぇぇぇ!!」


 ホースを前に向け振り回すと、飛び跳ねてきたスライムたちがみるみるうちに萎んでいく。


 すっごい吸引力や!!


 それでも次から次へと、スライムたちは飛び上がっては水面を跳ねてこちらへ向かってくる。


「キャアァァァァ!!」


 叫びながらもホースを振りかざし続けることで、池から這い上がる前に萎んだスライムたちは沈んでいく。


「イヤアァァァァ!!」






 どれだけ叫び続けていたことだろう。


 ふと気付くと、殺到していた大物量のスライムたちは、大分数を減らしていた。私の背後にはたくさんの魔石が排出されている。


 どうやら、なんとか対処できているようだ。一息つく暇もないけど、無理やり気持ちを落ち着かせて敵を睨みつける。


「うーっ! もう慣れたもんね! いくらでもかかって来い!」


 大量の魔石に反応して、スライムたちはあっちから勝手に私に向かってくる。


 その場を動く必要もなく、手当たり次第に片っ端から吸引していった。





お読みいただきありがとうございます。


初の(最初で最後かも)戦闘シーン? 

ななは自分や人と戦ってますので、魔物との絡みはあまりありませんからね。


活動報告にも書かせていただきましたが、明日から更新速度を緩めたいと思います。

平日は1話、土日は2話更新の予定です。

それでも毎日更新を頑張りたいと思いますので、よろしければ引き続きお付き合いください。


ブクマ、感想、評価などもいただけますと、作者がとても喜んで毎日更新のパワーになります。

よろしければ応援お願いいたします!


明日は7時更新します。



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