18 社販カタログ
本日2話目です。
パラパラとカタログをめくってみると、ぐぐっと目を引く商品がいくつか。
米が一キロあたり一S! ドッグフードも一キロ入り一S! トイレットペーパーは十二ロールで一S! などなど……。
なんともありがたすぎる百円均一の数々!
ブランド品でもないし、在庫処分のために社員には格安で提供しているので、商品名や銘柄などは選べないらしいけど、私にとっては願ってもない幸運だ。
元々、銘柄とかこだわってられる暮らし向きをしてないし。
ここでこれからお仕事をさせてもらうことで、毎日少しでも現金収入があれば、止まりかけてる光熱費なんかも払えるだろう。そこにほんの少し余裕があれば、社販を利用して食料や生活用品も買えるってこと。
なんか十分暮らしていけそう。
さらに嬉しいのが、こちらも種類や部位などを選べない、謎肉、謎魚、謎野菜とされている食品類がいろいろ混ぜこぜのミステリーボックスが一Sで分けてもらえるらしい。
こういった生鮮食料品は、その日によって用意されるもの(たぶん廃棄になるものなのだろう)が変わってくるので、何が入っているのか組み合わせもその時々でお楽しみ的な形で、ひと箱百円で購入できるということ。
廃棄を減らす企業努力ってやつなのかな?
まだまだ食べられるのに商品としては販売はできないから、大量の食品が廃棄されてる問題ってテレビで見たことある気がする。
私なんか安く食材が手に入るなら、何でもOK万々歳だ。一日一個の塩おむすび生活を脱却できるかもしれない。
「今のところ、登録者もまだななさんだけで業績が上がっていないので、品数も基本のものがほとんどで少ないんです。登録者が増えたり、ななさんがお仕事熟してくれて業績が上がれば、お薬や道具類なんかも増えてくると思います。頑張りましょうね」
それから、今後の働き方についても話し合った。
昨日受けたワンワンパラダイスなお仕事は、常に継続的に依頼が出ているので毎日でも受けられるけど、間に別のお仕事を受けてみてもいいし、休んだってもちろん良い。
週に何日働くか、一日何時間働くかなども相談の上決められるし、その日の体調で当日受注しても大丈夫みたい。
このお仕事は私にとっては夢のような良い仕事だけど、ちょう子さんが言うには、一般的には動物を相手にする仕事だし、ただ撫で続けるだけという単純な繰り返しに長続きする人があまりいないらしい。
「こんな高待遇なのにですか!?」
私的には楽しい上に高給なこんな良い仕事、辞める人の気が知れないと疑問に思って聞いてみる。
「高待遇だからこそ……、って言うんですかね。サボり出す人が殆どなんです。悲しいことですが、みんな楽な方に流されやすいみたいですね。新鮮味が薄れてくると、面倒くさくなるみたいですよ。犬が相手ですからばれないと思うんですかね。そのうちに評価をもらえなくなったりして、その……」
モゴモゴと言葉を濁す。確かに、メイドさんはすぐ別室に行っちゃうし、サボろうと思えばサボり放題だもんね。
「なので、ななさんもお仕事に慣れてきたな、と思ったら、一つの仕事に固執しないでいろんな仕事にチャレンジして欲しいんですよ。気分を変えるというか、馴れ合いを避けるというか。長続きのコツみたいなものです。もちろん、ななさんに合ったお仕事を紹介させてもらいますので」
なるほどねぇ。了解しました。
ただ、しばらくは、体調も心許ない中、早急にお金が必要なので、このお仕事を続けさせてもらえるようにお願いした。
お読みいただきありがとうございます。
自分のいいように勝手に納得してる主人公ですが、大丈夫か? と心配になった方は応援よろしくお願いします。
今日話進まなかったなぁ。
明日からまた頑張ります。
引き続きお楽しみいただけましたら嬉しいです。