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犬をなでるだけの簡単なお仕事です  作者: maochoko
第二章 犬をなでるだけの簡単なお仕事
11/94

11 ワンワンパラダイス


本日3話更新します。


1話目です。

 



 案内された部屋は体育館のように広かった。


 そこには、たぶん凄くお高いと思われる調度品が設えられており、ふかふかそうなソファや絨毯やベッドなどのそこかしこに、たくさんの、本当にたくさんの様々な種類の犬が寛いでいた。


「こちらのお部屋のワンちゃんたちは、穏やかな性格の子たちが多いので、初めてでもお相手しやすいかと思います。首の認識票にカードをかざしていただければ、お名前なども確認できます。お仕事のカウントも同時にされますので。できるだけ一匹一匹丁寧にお相手してあげて下さい。私は奥の部屋で仕事をしておりますので、何かありましたらあのインターフォンを押して連絡して下さい」


 メイドさんは壁のインターフォンを指差すと、さっさと仕事に戻ってしまうようだった。


「あ、あの! こちらには何匹くらいのワンちゃんが?」


 背中に向かって急いで問い掛けると、


「こちらのお部屋には百七十二匹いらっしゃいます。別のお部屋や、お屋敷にいらっしゃる皆様を合わせると、現在は千二十九匹でございます。私どもだけでは、ワンちゃんのお世話だけで手一杯なものですから、ななさんのような方にお願いしてお相手していただくのです」


 せ、せん!?

 そりゃあ、お世話だけでも大変だ。ご飯とトイレだけでも一日中かかるだろう。いったい何人でお世話してるのさ? ……あんぐり。


「数に圧倒されましたか? 怖がられる方もいますからね。一分程、少し満足する程度に撫でてあげていただければ良いですから。優しく触れ合ってあげて下さい。数をこなそうとして、余りにも雑に扱うのはやめて下さいよ。犬好きな方なら最初は楽しいでしょうけれど、皆さんすぐに撫で続けるのに飽きてしまわれます。できれば長く続けていただきたいので、無理をせずにほどほどに。少しくらいなら手を抜いてもいいですから、投げ出さないで欲しいわ!」


 だんだんと語気が荒くなってきたメイドさんは、フンッと鼻で小さなため息を吐くと、チラリとこちらを一瞥し、さっさと部屋を出ていってしまった。




 一人取り残された私は、ワンワンパラダイスを見渡す。


「世の中には本当にお金持ちの人っているんだ……」


 お金持ちの道楽というか、好事家というか……。


 すごーく豪華なお部屋だとは思うけど、こんなところに押し込められた犬たちは幸せなんだろうか……。


 でも、それぞれのワンちゃんたちは、のんびりゴロゴロしたり、広い部屋の中をうろうろしたりと、好きに暮らしているみたい。毛艶も良いし、暗い顔をした子も見られない。


「みんな愛されてはいるんだろうな……」


 じゃなきゃ、わざわざお金を掛けて、私みたいなバイトを雇ったりしないだろうし。





 私なんかよりもよっぽど……

 と思ってしまったことは胸の奥に引っ込めた。





お読みいただきありがとうございます。


犬だらけの部屋に圧倒されたなな。

お仕事はうまくいくのでしょうか。


続きは12時に投稿予約します。

引き続きお楽しみください。



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