第9話 「突撃、キジカゼのお部屋ッッッ!!!」
前回までのあらすじ! ついに鬼と激突した桃太郎一行であったが、鬼の異常なまでの強さに一時は苦戦を強いられる! しかし、鬼の角が弱点であると判明してから形勢は逆転! 彼らは見事に鬼を打ち倒すことに成功するのであった!
鬼を倒した桃太郎一行は、来た道をたどって黒田城の城下町まで戻ってきた。
時刻は午後9時。空はとっくに夜の帳を下ろしている。
今夜、桃太郎とイヌマルはキジカゼの家に泊めてもらうことになっていた。
そんなわけで、家に向かって歩く彼女の後ろを黙々とついていく2人。すると突然イヌマルが、桃太郎に小声で耳打ちをしてきた。
(なあなあ桃太郎)
(ムッ!? なんだッッ!?)
(桃太郎お前さぁ……女の子の部屋に泊まったこと……ある?)
それを聞いた途端、桃太郎は顔を真っ赤に染め上げる。
(そういえば……ないッッッ!!!)
(だよな。俺もない。めちゃくちゃ恥ずかしくないか、これ)
(……恥ずかしいッッ!!)
冷静に考えてみれば、若い女性の部屋で寝泊まりをするというのは色々と問題のある行動ではないか? そんな思いが2人の脳内を高速で駆け巡る。
もちろん、桃太郎もイヌマルも硬派な日本男児だ。若い女性の部屋で寝泊まりをするからと言って、変な気を起こすなどということは決してない。断じてあり得ない。
だが問題は「小説家になろう」の運営である。この作品は、全年齢対象で掲載している作品。当然、健全な小学生がこの作品を読む可能性だってあり得る。
となると……あまり過激な描写をしてしまうと、運営にお叱りを受けてしまうのではないか?
急に不安になってきた桃太郎・イヌマル・作者の3人。
するとその時、先頭を歩いてきたキジカゼが立ち止まり、
「ついたわよ。ここが私の家」
と言った。
そこにあったのは、何の変哲もない、木製の小屋であった。壁にはところどころベニヤ板で補強した個所が見受けられる。おそらく、鬼の襲撃を受けた際に壊されたのだろう。
「さあ入って。遠慮しなくていいわ」
そう言って彼女は、扉を開けて中に入った。後に続く形で、桃太郎とイヌマルも恐る恐る中に足を踏み入れる。
「お、お邪魔しますッッッッッ!!!!!」
顔を赤らめ、若干声を裏返しながら叫ぶ桃太郎。
「なによあんた急に。うるさいわよ」
キジカゼは口を尖らせた。
「す、すまんすまんッッ!!」
そして中に入った桃太郎とイヌマルの目の前に、キジカゼの──“若い女の子の部屋”の光景が広がる。
「……なんだこれ」
それが、イヌマルの第一声であった。
だが、彼がそんな呆けた声を上げるのも無理はない。
何故ならば、彼女の部屋に所狭しと置かれているのは、最先端のトレーニングマシンばかりだったからだッッ!!
自転車型の運動器具であるフィットネスバイクやルームランナーはまだまだ序の口ッ!
腹筋を鍛えるための器具・アブドミナルやアブクランチ、さらには大胸筋を鍛えるチェストプレスや肩の筋肉を鍛えるショルダープレスまで取り揃えてあるッ!
キジカゼの部屋には、一流のトレーニングジムにも匹敵するだけのマシンが設置されていたッ!
「な、なんか……凄い部屋だな……」
想像していた部屋とは180度違うその光景に開いた口が塞がらないイヌマルッ!
そんな彼はお構いなしに、桃太郎が興奮の声を上げたッ!
「おおッ! なんだこの部屋ッッ!! てかなんだこれッッ!! 何に使うんだッ!?」
「なによ知らないの桃太郎。ここにあるのは全て、筋肉を鍛えるためのマシンよ。ネットショッピングで南蛮から取り寄せたの」
「へ~、時代って進化してるんだなッ!」
ちなみに今は西暦1680年の江戸時代なので、もうとっくにネットショッピングや最先端のトレーニングマシンは開発されているッ! 作者がそうと言ったらそうなのであるッッ!!
「まあとりあえず、お茶でも飲みなさい」
そう言ってキジカゼは、2人に湯飲みを差し出してきたッ!
「お、おお。ありがとうな」
早速湯飲みを受け取り、それをゴクゴクと飲み干すイヌマルッ!
「……ん? なんかこれ変な味だな? 妙に甘ったるいっていうか……」
「それはココア味のプロテインよ」
「客人にいきなりココアプロテインを出すな!!!!」
イヌマル、キレたッ!
「まあまあ、そう怒るなイヌマルッ! プロテインというものは初めて飲んだが、中々うまいぞッ!」
「それにしても桃太郎……あなたずいぶん鍛え上げられた体をしているけれど、プロテインもトレーニングマシンも一切知らないなんて、変わってるわね」
「まあ、過去の記憶が全くないからなッ!」
桃太郎のその発言を聞いて、驚きをあらわにするイヌマルとキジカゼッ!
「えっ、そうだったのか!?」
「……知らなかったわ」
「ム、そういえばまだ言ってなかったなッ! 実は俺は、過去の記憶がないんだッ!」
そして桃太郎は2人に、自分が桃から生まれたこと、剣の達人のおじいさんと中国拳法の達人のおばあさんに技を教わったことなどを話したッッ!!
彼の説明を険しい表情で聞いた後、おもむろにイヌマルが口を開くッ!
「桃から……出てきた……?」
「そうだッ!」
桃太郎は仁王の形相で首肯したッ!
「じゃあ、あなたは桃から出てきたから桃太郎って名前なの?」
「そうだッ!」
桃太郎は憤怒の形相で首肯したッ!
「そんな、めちゃくちゃな……」
「にしても、お前さんはずいぶんとミステリアスな奴なんだな! ま、だからって俺は気にしねぇけどよ!」
このあっけらかんとした爽やかさが、イヌマルの魅力である!
「まあ、それもそうね。ところで2人とも! あなたたちはこれからも、鬼退治の旅を続けるの?」
「ああ、もちろんだッ!」
桃太郎が即答すると、キジカゼは意を決した表情で
「それなら……どうか、私も旅に連れて行ってくれないかしら!」
と言い放ったッ!
「いいぞッ!」
桃太郎、即決ッッ!!
「おいおい、いいのかよ桃太郎?」
イヌマルは呆れるように笑ったが、しかし仲間が増えて嬉しそうだッ!
「ありがとう、桃太郎! 私は、愛する黒田城の城下町を破壊していった鬼が許せない! 何としても鬼を退治してやるわ!」
キジカゼは、力強く決意を語るのであったッ!
次回、「怪しきニンジャ、サルトビッッッ!!!」に続くッッッ!!!