第30話 誕生日会
今日は1月1日。
俺の新しい誕生日。
ハッピーバースデーという気持ちとは裏腹に、俺の状態は最悪だ。
「そのまま動かないでください。あ~、逃げてもダメですよ」
「お~も~い~」
今日開かれる誕生日会が、ラブピース王国での初お披露目となる。そのせいでエイドさんに重武装させられ、まったく、たまったもんじゃない(かわいいよメアちゃん)自分をかわいいと言うのはどうかと思う。
でも鏡に映る俺の姿はいつものかわいい二次元キャラクターだ。……三次元だけど。
(ふっふふ、ツーサイドアップのテールはお母さんと同じデカリボン――小っちゃなピンクハートの魔法石付き――で結って、お父さんのブローチも胸に付けて完璧よ。将来がたのしみね)5年後の姿は知ってるくせに……。
「腰のリボンはこれにしましょう」
婆ちゃんは俺の身長の半分はあるリボンを持っている。このままじゃ動けなくなってしまう(これくらい軽いでしょ。この前10kgはある箱を片手で持って驚かれたじゃない)俺の心が重いと言っている!
「くつはこれがイイ!」
羽が付いている靴を母さんが選んで、頭の上に掲げながら持ってきた。俺は受け取ってイスの上で履く。(それはイイの?)こんな中二心をくすぐるのはドンとこいだ。
「ど……く……」「し……イ……」「メ……チ……」
……? 母さん達が内緒話をしている。何を話しているのだろう? もう着替えは終わりかな~。
「ごめんなさいね」「申し訳ございません」
え? 婆ちゃん達によって、急に宙吊りにされた。
「くまさん~」
母さんがくまさんパンツを手に持っている。
「やめて! ば~ちゃ、エイド、ママ!!」
「メアちゃんは粗相もしないですし、そろそろ頃合いだと思うのです。未来の女王がおむつなんておかしいでしょう」
今日で1歳なんだからむしろパンツの方がおかしい!
「すぐに慣れます。最高級の肌触りで一度はけばもう戻れませんよ。メア様」
そんなもの一度はいたら違う意味でもう戻れない!
「じ~ちゃ、ジエン! たすけて!!」
爺ちゃんが後ろを向いて、我関せずを貫いている。ジエンさんが頭を下げて後ろを向いた。くそー!
「ぬぎぬぎ~」
母さんに紙おむつを脱がされた。俺は無我夢中で暴れて脱出を試みるがビクともしない(これでまた一歩女の子になるね)冗談じゃない! スカートだけでも俺の心はズタズタなのに、これ以上は人格が増える。
(今度は中性? どんな子かな~♪)ちょっとは手伝ってくれよ(はくのを?)ちっが~う~! おい、やめろ主導権を取ろうとするな。裏で大人しくしていろ。やめて、おねがいします。本当に!!!
「チノ様がメア様を封じておられます。今がチャンスです」
「はきはき~」
あ~、あ゛~! なんだろうこのフィット感。収まるとこに収まったこの感じ。くやしいが確かに戻れない。はっ!(乙女の~、階段~、のぼ~る~♪)歌うなぁ!!
「さあさあ、主役がでないと始まりませんよ」
意気消沈している俺とは裏腹に女性陣は意気揚々だ。恨みのこもった声を出しても、事態は変わらない。むしろ、みんなおかしさをこらえている。
そのまま、俺は謁見の間で開かれる誕生日会に連行された。
……
…………
「ラ~ラ~ラ~♪」
エイドさんが高らかに歌い始めると、オーケストラが音のハーモニーを奏でる。
「「「今日は~♯我が王国~♯姫二人の~♯」」」
魚人メイドのオーディさん率いるメイド隊が来賓の近くで楽しそうに踊っている。
「「「1歳の~♯誕生日~♯」」」
小人メイドのナリーさんを中心としたメイドさん達が魔法の花々を咲かせて謁見の間を色鮮やかに彩った。
「「「さあ~♯みんなで~♯祝おう~♯」」」
メイドさん全員が謁見の間の真ん中にいる鼠獣人メイドののアーディさんに集まる。そして、月魔法による暗闇で魔法の花々はより美しく輝きを増した。
「「「ユナ様は~♭団長と~♭師匠の娘~♭」」」
兵士達の低音のきいた声と共に、イラ叔母さんに抱かれているユナちゃんがライトアップされて玉座に移動している。
おお、天使のようだ(ドレス姿もかわいい!)同じ【運命の子】だからか、俺が隠れている場所をすぐ見つけて、目を細めている。
「「「赤い髪に~♯赤い瞳~♯」」」
「「「まるで~♭勇者ブレイブ様~♭」」」
ドワーフのトセトラさんと蟲人のソノタオさん、ロリコンエルフのオゼイエが勇者ブレイブの寸劇を煌めく舞台でやっている。……オゼイエ、おまえがファフニール姫役なのか(顔だけは美形だから、適役じゃない)
「「「そして~♯♭」」」
スポットライトを浴びている、エイドさんと人源のモブが、俺の両脇にきて跪く。う~緊張してきた(今までの練習を信じるのよ)
「「未来の王~メア様~♯♭」」
日魔法による陽光で俺にみんなの視線が集まる。人が多すぎないか(どうしよう、体が動かない)
……
ほんのひと時の静寂が、謁見の間を支配する。
『も~、今日の為に~、頑張ってきたんでしょ~』イ、イスナー(イスナーちゃん!)
『ほ~ら~、城のみんなも応援しているよ~。それにメアちゃん~、男なんでしょ~。これでビビッていたら~、本当に女の子よ~♪』
俺は男だ!!! 見てろよなー!『(チョロ~い~)』
「わたしは~♪メア~♪ラブピースおうこくの~♪」
エイドさん直伝の歌声を披露する(お婆ちゃんとの訓練の成果見せてやるわ!)魔法使いの部屋でも練習していたおかげもあり、うまくやれているはず。
「おひめさま~♪」
『(自分でお姫様って~!? 男は~?)』玉座にいる母さんが土魔法を唱えると、透明の階段が練習通りにできあがる。
俺はそれを駆け上がり、母さん一押しのポーズを決めた(城のみんなも褒めてくれたわ)
「きょうで~♪メアと~♪ユナは~♪」
来賓の上にできた虹色の台にジャンプして、踊りを繰り返し玉座に向かう。虹色の台は俺が着地するたびに鈴の音がなり、鱗粉のような光を辺りにばらまく『(女の子らしさを~、ばらまく。~)』
「1さい~♪、ふぅ、です~♪」
あと3つで玉座だ。
カチャン
うわ!(きゃ!)
誰かが食器を落とした音で下を向いてしまった。
高い!!!(メア~ちゃ~ん~)弱気な声を出すな、俺は男だ。やる時はやるんだ!『フラグ~?』フラグなんて立っていない!
俺は力強く台を蹴って、次の台に――を通り過ぎた(メア~ア゛~!!!)『フラグ回収~、ありがとうございます~』
「うわ~、ふみゅ!! あいちゃ~!」
「「「メアちゃん!!!」」」
「「「「メア様!!!」」」」
(失敗してんじゃないわよ。どうするの!)まだ挽回できる。俺を信じてくれ!
体に怪我はない。俺、頑丈だからな。失敗はチャンスだ。ふぅ~。
「しっぱい~♪しても~♪くじけない~♪」
ワザと落ちた雰囲気を作り、這い上がるように立ち上がろうとする。機転を利かせたエイドさんが俺の手を取ってくれた。
アーディさん達も俺の意を汲んでくれたみたいで、うなずいている。
「私達が~♯」「支えます~♯」「から~♯」
落ちて崩れた服を素早く整えてくれた。暗闇に粉を振りまくと、星々がきらめくように頭上で輝きだす(あれ!? わたし達も光ってない?)あの光る粉を俺達にも振りまいたのかな。
「俺達が~♭」「メア様を~♭」
「守ります~♭」「から~♭」
モブさん達が俺を守るように、周りを取り囲んだ。みんな背が高いから周りが見えない。
オゼイエが俺の前から離れると、エイドさんが王様が乗るような豪華な馬車をだした。……物理の法則が乱れる(魔法がある時点で、物理なんてあってないようなものよ)
「「「ラ~ラ~ラブピース王国~♯」」」
馬車に入るように兵士さん達が並び、メイドさん達が光る道を作った。俺は案内されるがままに入っていく。
「「「愛と~♭平和の~♭」」」
爺ちゃん達がいる玉座まで馬車が移動している(馬がいないけどこれも魔導具かな)
「楽しい~♪王国~♪」
「ラ~ラ~ラブピース王国~♪」
「「「愛と~♯平和の~♭」」」
「「「「「楽しい~♯♭♪王国~♯♭♪」」」」」
玉座についたので馬車からエイドさんの手を取って降りた。母さんに飛び移り、精一杯歌う。
「きょうは~♪たのしんで~♪ください~♪」
俺は持っていた魔導具の玉を投げると暗闇が晴れた。
最後にキメのポーズだ。みんな!
「「「「ハッピーバースデー!」」」」
決まったぜ!!!
……
(((なんだこの国は!?)))
来賓の方達は口を開けてポカーンとしている。
どうよ。ビビらずにやり遂げたぞ。さあ、俺を男として褒め称えたまえ。
『立派な~お姫様だったよ~』(これで、城以外の人達にもすごい女の子アピ-ルができたよ)
え? あれ?
イベントクリア報酬
ゲットスキル
【歌姫】 ⇒ 【歌姫+】
聞く人の心を揺さぶった 良い意味でも悪い意味でも
補正 MP+1 <new>魔法力+10%UP
【演技派+】 ⇒ 【演技派++】
見事に姫?を演じきれました
補正 器用さ+10%UP クリティカル時、相手の防御力抵抗力30%無視 <new>器用さ+3
【みんなのアイドル】 ⇒ 【みんなのアイドル+】
1ヶ月に及ぶ特訓で城のアイドルに
補正 パーティのステータス+10%UP <new>TP+1
【馬鹿】 ⇒ 【馬鹿+】
頭ラブピース
補正 <new>攻撃力+3
リザルト
ラブピース王国
国力500,025 ⇒ 500,050
創作日記:ゲームをする。
いつの間にか1日が終わっている。
急いで書く、ふぅ~。
文字数が少なくなってる。
すまん。




