第17話 発令! オウム返し作戦
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「お~、メアちゃん起きたでちゅか~。お腹空いて無いかな~?」
「だぁ~~」
目が覚めると不気味な笑顔の父さんがいた。手には何時でも俺に粉ミルクを与える事が出来るように、空の哺乳瓶と粉ミルクの袋を持っている(相変わらずひどい笑顔だね)
母さんに救いを求める為、辺りを探すとベッドで気持ち良さそうに寝ている(起きそうにないね)お腹が空いているので気が進まないが貰うとしよう(でもその前に紙おむつを替えて貰わないと)
「じ~ぎゅあ~め~」
うつ伏せになってお尻をふりふりする。これが新しいトイレのサインだ。泣くのは結構疲れるからな。省エネだ。(雑用はお父さんの仕事になっているからね)
「紙おむつを替えて欲しいのかな~。エイド――」
「――これを陛下」
父さんは不気味な笑顔に怒りが少し足された表情になっている。そんなんだから天女様に尻に敷かれるのだ。
そしてメイドさんは父さんに紙おむつを渡している。メイドさんは完全に気配を断っているのかすぐに居なくなった。
すごい初めて見た(魔法の力、≪透明≫よ)『違うよ~』イスナー遊びに来たのか?『そうだよ~』(魔法じゃないの?)『あれはアーツよ~、魔法と対になる力だよ~』
そ、そのアーツは俺達に使えるのか?『まだ無理だよ~。自分の年齢考えて~』(そこは加護とか裏技とかでお願いイスナーちゃん)『ダメだよ~。我慢しなさい~。それに短期間で加護を増やすと死ぬよ~』0歳で死ぬとかは勘弁だ。我慢する。
『良い子に育ってくれてうれしいよ~』(わたし達は良い子だもん当たり前よ)良い子? 一応無駄に30は生きているんだけど『精神年齢6歳ちゃん~』…………(…………)
「お服を脱ぎ脱ぎしまちゅね~」
上下が別れているスウェットタイプのベビー服を、脱がされている(もちろんピンクなんだから)色は一応体が女なので諦めている。言葉を喋れないのでどうしようもないのだ『(可愛い女の子だから大丈夫よ)』仲いいなお前ら。
手際よく紙おむつを取り替えてくれる。そして下のスウェットを着せてくれた。トイレは替えてもらう少し前に漏らしているが、寝ている間は無理なのだ。日々進歩しているのだがまだまだ頑張らねば。
「おわりまちたよ~」
「る~ぺ~へ~」
俺は営業スマイルを父さんに向けた。こんなんでも今世の父親だから仲良くなりたいと思う。でも、
「メアちゃんかわいいでちゅね~」
ほらまた引きつった笑顔を向ける(怖いのよ)『…………』頑張っているが父さんとは仲良くなれていない(赤ちゃんが嫌いなのかしら。頑張っているだけどな~)『……に……を~』何か言ったかイスナー『ん~? 言って無いよ~』
「陛下、哺乳瓶です」
「エイドよ別に≪気配遮断≫を使わなくともよい。儂は気にせぬ」
「わかりました。あと食事の後にこれをどうぞお与えになって下さい」
メイドさんは粉ミルクがたっぷり入った哺乳瓶を渡している。そして片手にはおしゃぶりを持っている。父さんは悪魔のような顔で俺達を抱きかかえると、哺乳瓶を俺の口に付ける。『(お爺ちゃん表情筋狂ってるの~?)』
天女様の言い付けは破れないのか、嫌々雑務をこなしているのであろう。怒りの籠った笑顔を向けてくる『(愛しい孫を見ている。~)』(そんな嫌そうな顔しなくてもいいのに~)
父さんの為にもすぐに飲み終えるように全力で頑張ったが、あと3分の1ぐらいある。
チノ!(まかせて頑張るから、はぁ~~!)
みるみる内に無くなっていく。あと少しだ!! 残り10分の1ぐらいで俺達に限界が来る。
(ナシちゃん、ちょっと無理)まだだチノ! 神技≪無敵≫!!!(ありがとうナシちゃん)『え~神気は遊びには、使わないでって言ったのに~』
遊びでは無いこれは俺達の未来を掛けた戦いなのだ(そうよ。ここで頑張らないとわたし達の未来は真っ暗になるわ)『誰も気付いて無いからいいけど~。も~』
「メアちゃんはすごい飲みっぷりだの~、ほれ~おしゃぶりだよ~」
「けぷ、あ~て~よ~。あむ、ちゅっちゅっちゅっ」
おしゃぶりを口に付けられて床に降ろされた。父さんの機嫌は最悪に近い『(お爺ちゃんの機嫌は最高に良い。~)』母さんを起こして助けて貰わないと。ベッドの所までハイハイで近付いていたが、
「メア様、今は陛下と遊んで下さいね(ラルム様はティア様にべったりですね)」
急に誰かに持ち上げられる。メイドさんだ。母さんを寝かせてあげろと言う事だろうか? 母さんは小さい体を更に小さくして布団の中に消えてしまった。『小さい~、小さい~、言ってるけど~、ナシちゃんの方が小さいからね~』
母さんは大きい体を小さくして布団の中に消えてしまった。ドヤァ(ダメね! ナシちゃんはセンスが無いわね。こう言わないと)
(お母さんは幼い体を子猫のように丸くして布団に潜って消えてしまった。ドヤァ)流石チノ。ロリコンの鏡だ(えへへ~)『それでいいの~? ロリコンズ~』ロリコンは(人類の誇りよ。ね~)ね~『え~~』
「メアちゃん~、おじいちゃんとあそんでほしいでちゅ~」
メイドさんが俺を父さんの近くに置いた。父さんは床で座っているが表情は怖いままだ『(お爺ちゃんは床でとっても楽しそうにナシちゃんを見ている。~)』
ここは媚媚作戦を発令する(まかせてナシちゃん)
チノは父さんにハイハイで近寄り、甘ったるい声で最高の笑顔を作って懸命に媚を売っている。
「ちゅっちゅっあ~♪ぶ~♪め~♪ぷ~♪ちゅっちゅっ」
父さんは鬼のような笑顔を向けてきた『(お爺ちゃんは日頃の疲れが吹き飛んだ表情をナシちゃんに向ける。~)』作戦は失敗だ! 次の作戦メロメロ作戦を発令する!!!(これでイチコロよ)
「ちゅっちゅっら~♪ら~♪ら~♪ら~♪ちゅっちゅっら~♪ら~♪ら~♪ら~♪ちゅっちゅっ」
今度はメロディを口ずさむ、まさに天使の歌声のはずだ。
しかし、父さんの表情は大魔王のの如く変貌している(ヒィッ!)『(お爺ちゃんは息子達とは違う反応をしてくれたナシちゃんに感動している。~。はぁ~、どんだけ不器用なのよ~)』
不味い援護が必要だ。メイドさんに助けを求めるんだ(助けてメイドさん)
「ちゅっちゅっちゅっら~♪ら~♪ら~♪ら~♪」
チノは俺達を見守っていたメイドさんのロングスカートを引っ張った。優秀なメイドさんなら意図を汲んでくれるはず。
「ん? ん~? 一緒に歌って欲しいのですか?」
何言っているか分からないがきっと大丈夫、メイドさんを信じる。チノがもう1回ロングスカートを引っ張った。
「わかりました。ラ~ララ~ラ~ラ~~ラ~♪」
すごい(すごい)『すごい~』物凄い綺麗な声が辺りを包み込む。このメイドさん本当にヤバない。何でもできるな。これは、
俺達も負けられないな?(そうねナシちゃん。せ~の)
「ラ~ララ~ラ~ラ~~ラ~♪」
「ら~らら~ら~ら~~ら~♪」
父さんを見てみると真顔になって涙がたまっている。これは作戦成功なのかな?(どうなのかな~?)
「今日を歌の祝日とする。エイド準備を!」
「陛下、冷静になって下さい。簡単に祝日を増やしてはいけません」
何やらメイドさんが父さんをいさめている。
「では、この喜びを嬉しさをどう表せば良いのだ」
「表さなくてもいいのです。家族の思い出として決して忘れない事です」
「家族の思い出か。――ハッ! エイドよ儂はそなた達の事を家族同然に思っておる。そのなんだ――」
「――大丈夫です。私達はこの国に救われておりますから気にしないで下さい」
父さんはしょんぼりしている(変な事でも言ったのかな?)また遣らかしたのか?
「む~そうか。少し空気が悪くなってしまったのう、外に出ようか」
「わかりました準備を進めます」
メイドさんが薄い毛布を持ち出して来て父さんに渡す。父さんはそれを俺達に着させてバルコニーに出た。
外は花が咲く季節で、風が頬をくすぐる。
花は天に向かい咲き乱れ、木々は恋色に色づき、風は生命の息吹を感じさせる匂いを運ぶ。鳥は晴天の光に包まれ天女のように舞い、天使の歌声を響かせる。それは神の祝福を受けたような景色がそこにはあった。
(3点)『2点』(合計20点満点中5点です)ひどいひどいもう少し甘めでもいいじゃないか(甘えない日々精進でしょ)わかったよ。次はもっとうまくやる。『その意気だよ~』
「春の季節は気持ちの良いものだ」
「そうですね。メア様も楽しそうです」
「ちゅっちゅっちゅっ」
「はぁ~、誰か儂の代わりに王の仕事を引き受けてくれんかの~。ね~、メアちゃん~」
「ろ~ざ~くぉ~」
「陛下以上の王は居ないのであきらめて下さい。……視察と言う名の旅行でもしてはいかがでしょうか?」
「あの偏屈爺が許すとは思えんがな~」
「き~め~お~」
父さんがリクライニングに座って俺に話しかけてくる。その表情はまともだ。メイドさんは俺に対して日傘を差してくれる。父さんの表情はまともだ(お父さんの表情がまともだ)『まともなのがおかしいの~』(おかしい、今までなかったもん)
「メアちゃんはよくしゃべるね~」
「うぉ~が~む~」
「ほれじ~じ~、じ~じ~」
おいチノこの行動、前世の記憶にあるあれか? まさかあれか?(え~、最初の言葉はお母さんに対してが良かったのに)
でも、母さんは俺達と遊ぶのに夢中で全然駄目だし、メイドさんは空気を読んでるのか全然駄目だし、天女様は俺達の世話ばかりして全然駄目だし、
あれ? 父さん以外絶望的だ(なんだってーー!! 早くしないといつまでも言葉がわからないわ)背に腹はかえられない。第54次オウム返し作戦発令!!!(ラジャー!)
「じ~じ~、じ~じ~」
「う~じ~、う~じ~」
ちゃんと言えていない? 父さんは壊れた機械みたいに同じ音を言っている。ならば!
チノお姉ちゃん♪ガンバレ、ガンバレ♪チノお姉ちゃん♪ガンバレ♪ほら、イスナーも応援して『いいよ~』
『チノちゃんファイト~! ガンバレ~! ファイト~♪』
チノお姉ちゃん♪ガンバレ、ガンバレ♪チノお姉ちゃん♪ガンバレ♪
(うぉ~~~! やる気がみなぎる~~。今なら何でもできる。ふぉ~~~!)
「じ・じ・、じ・じ・」
「う~じ~、う~じ~、じ~じ~」
「いったぞ! メアちゃんが儂をじ~じ~といったぞーーー!」
「――!(ラルム様それでいいのですか? ティア様では無く……ティア様をママ呼ばわりは恥ずかしいのですね。なるほど、だから陛下になら次は私を)」
この反応は言えたのか? 父さんが何か叫んでいるが表情は達成感のある顔だ。『……の……』(これで少しは仲良くなれるかな?)
「今日を言葉の祝日にする。いや、今日を祝福されし日とする」
「陛下! 先程の話を忘れたのですか!? まあそんな事どうでもいいです。どいて下さい! メア様~エ・イ・ド・エ・イ・ド」
メイドさんが父さんを雑にどけると何か言っている。父さんは俺を置いて部屋に戻ってしまった(超速度のスキップしてね)やっぱりこの世界の住人は身体能力がすごいのだろうか?(わたし達もいずれ出来るのかな?)
「エ・イ・ド、エ・イ・ド」
今度はメイドさんが壊れた機械みたいに同じ音を言っている。次は俺に任せろ『(ナシちゃんがんばれ~♪)』
「エ・イ・ド、エ・イ・ド」
「え~え~、え~ど~、えぃ~ど~」
「ありがとうございます! ラルム様♪」
メイドさんは俺に笑顔でウインクすると部屋に戻ってしまった。あれ~? おかしいな? 皆、何しに行ったんだ?(わたし達も部屋に戻る?)そうしようか。
「え~~!」
バルコニーと部屋を隔てる扉の前でどうしよかと悩んでいたら母さんが慌てて来た。メイドさんは部屋の中で勝ち誇った顔をしている。
「メアちゃんま~ま~、ま~ま~」
母さんが壊れた機械みたいに同じ音を言っている。もうこれはお約束だな一緒に言うか?(そうね!)
せ~の
(せ~の)
「ま~ま~」
イベントクリア報酬
ゲットスキル
【甘えん坊】 ⇒ 【甘えん坊+】
媚媚する
補正 TP+1 <new>器用さ+3
【歌姫】
聞く人の心を揺さぶる事が出来るかもしれない
補正 MP+1
【ポエマー】 ⇒ 【ポエマー+】
頑張ります
補正 詠唱速度-10%
【トイレ・幼SP】
起きている間はもう大丈夫
補正 なし
【言語・幼++】
言葉を発する事が出来るようになりました
補正 なし
エイド
【天使の歌声++】 ⇒ 【天使の歌声SP】
聞く人の心を揺さぶる事が出来る
補正 器用さ+5 魔法力+5 <new>MP+10 MP回復速度+30%UP
ロワ
【祝福++】 ⇒ 【祝福SP】
色々と祝福されている
補正 全能力+5 <new>全能力+10%UP
【恐怖の対象+】 ⇒ 【恐怖の対象++】
表情筋が狂っている。でも悪い人ではない
補正 クリティカル率中UP <new>攻撃力+5
創作日記:やっと喋れるようになりました。喋れないって書くの辛い辛い。
初心者がやるようなことじゃないですね。でもいい経験になりました。
執筆活動をすると甘い物が欲しくなります。何時もアメ舐めて書いてます。
頭使うと糖分が欲しくなるって本当だったんですね。