第13話 ホームシック
し、シリアス回です?
一応チノ視点です
初めて感想貰いました。ありがとうございます。
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(うぇええええええ~ん)
「うぇええええええ~ん」
ゴロゴロゴロゴロ
わたしは今の状況を色々考えている。今ピーピー泣いているのはナシちゃん。女の子に転生した元30歳の男性よ。そして、わたしはナシちゃんのもう1人の人格チノ。
ナシちゃんは絶賛ホームシックを患っているみたい。話し掛けても(さびしいよ~あいたいよ~)(かあさんごめんなさい)や(もとのせかいにもどりたい)(とうさんじゃけんにあつかってごめんなさい)(みんなとあそびたい)(おやふこうなむすこでごめんなさい)などの発言ばかり……
何故こんな事になってしまったのか?
イスナーちゃんから痛みに強くなる加護を授けて貰う訓練、もとい楽しくお喋りをしていた10日間は何事もなかったはずだわ。
ん~、その後は~、あ~! そういえば!!! そこからナシちゃんは、物思いにふけるようになっていたわ。それに、頻度が日に日に多くなっていたような。今日の朝からはずっとこの調子。これは間違いない。昔の事を思い出していたのね!!
わたし達は前世の記憶が名前以外は完璧にある。普通の人なら忘れてしまう記憶も鮮明に思い出せてしまうわ。
例えば、初めてお母さんに抱かれた時のあの安らぎとか、お父さんとバカみたいな事で喧嘩して一緒に怒られた事や、妹におねしょの罪を擦り付けた事とか……って、妹に何て事してるのよ!!!
……
ん~、昔の事と言えば、ナシちゃんが昔話をしていた時のあの満面の笑み、とても楽しい日々だったみたいね。でも、その時にはまだ居なかったからどこか複雑な気分だったわ……ホームシックになるなというのが無理なのかしら?
何かムカついてきたわ! また、色々見てやる!!
……
ナシちゃんは生まれてから死ぬまで、家族と会わなかった事が最長で1週間しかなかったわ。それぐらい家族にべったりだったみたいね。
あと死ぬまで気付いていなかったみたいだけど、家族はナシちゃんの事をとっても愛していたみたいね。ナシちゃん自身も無意識だけど愛していたみたい。
こんな素敵な家族なんだから、ナシちゃんが死んだ事にとっても悲しんでいるでしょうね!
……わたしが消えたら皆どう想うかしら? わたしなんて、わたしなんて所詮乳飲み人格だし!!! …………何を考えているの……これもナシちゃんのせいよ!!!
馬鹿なナシちゃんはそんなに愛されて幸せな境遇だったのを、過去の色々な思い出をみたり、今は前の家族とは会えない状況になって、初めてそれに気付いてしまったという訳ね!
たぶん? 人間失ってから気付くとは良く言ったものね!! そんなこんなで家族に対して謝っているのかな? はあ~、たぶん合っているのかな?
わかんない!! 二重人格って面倒ね! 記憶を見れてもナシちゃんの想いを共有してくれないと分からないわ!!!
……
(お゛があ゛ざん゛お゛どう゛ざん゛い゛も゛う゛ど)
「う~っふぇっ~ぐ~うぇ~~ん」
ゴロゴロゴロゴロ
(いい加減に泣き止んで? ね?)
(お゛があ゛ざん゛と゛い゛じょに゛ま゛ん゛がの゛ばな゛じだい゛、お゛どう゛ざん゛どあ゛に゛め゛み゛だい゛、い゛も゛う゛どげー゛む゛じだい゛)
ちょっとは反応しなさいよ!!! ……冷静にわたし! 落ち着けわたし!!
(ほら、わたしがいるじゃない。話し相手になってあげるからね? ねぇ?)
(……う゛ん゛…………ヂノはさみ゛じくないの゛?)
やっと反応してくれた! いつもみたいに男言葉ではなく、幼児退行しているのか子供みたいに泣きながら喋っている。だから声が幼く感じる……0歳児の声?だけど。
(……良く分からないわ。わたしが生まれたのは転生後みたいだから、記憶は有るけど実感がないというか、他人とまではいかないけど、今のお母さんが家族のような? ん~良く分からないわ!)
(あ゛い゛だくな゛い?)
(……今の状態で会ってもわたし達の事、分からないわよ?)
(!!!!!! う~う~えぇ~んごめ゛ん゛な゛ざい゛!!!)
「う~う~えぇ~ん」
ゴロゴロゴロゴロ
ああ、しまったわ!!! 考えなしで答えてしまったみたい。どうしよう~、もう手が付けられないわ。
かくなる上は最終手段よ!!!!!!
(ごめんね!)
ナシちゃんにこれまでの記憶の恐怖体験や嫌だった事を送った。
(うぇ!!!)
「うぇ!!!」
ゴロ スゥ~
……
…………
荒業だけど魔法使いの部屋に帰って来た。
「う゛ぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぎら゛い゛~゛」
まあこうなるわよね。でもこの魔法使いの部屋なら顔を合わせて話ができるし、現実では母さん達が今にも死にそうなくらい真っ青になって、慌てていたから仕方ないのよ。
「ごめんね。謝るから機嫌を直して?」
「ごな゛い゛で~い゛じめ゛な゛い゛で~」
う~、そんな腰を抜かして逃げられると悪い事したみたいじゃない。……したか。でもこの部屋には秘密兵器があるのよ!!!
急いでベッドに近付いて下から秘密兵器を取り出しそれを身に着けた。
「ナシちゃんほら見て?」
魔法少女服に着替えて可愛くポーズをしてあげた。これでイチコロよ!
「う゛ひぃ! う゛え゛え゛え゛え゛え゛ん」
え~~~! これで一発解決のつもりだったのにどうして? あんなに好きだったはずなのにどうしてよ~。まずいわ、これじゃあ手立てがないわ。
「そんなに泣いてお母さん達がとっても心配していたわよ?」
「お゛があ゛ざん゛じゃな゛い゛あ゛ん゛な゛ごども゛お゛や゛じゃな゛い゛」
「うわぁ、その言葉今のお母さんが聞いたら悲しむわよ?」
「い゛い゛、ま゛え゛の゛お゛か゛ざん゛がぼん゛どう゛の゛お゛があ゛ざんだも゛ん゛、ぞれ゛に゛ぼぐがでんぜい゛じな゛がっ゛だら゛ごども゛も゛う゛ま゛れ゛でな゛い゛」
ぼぐ? 本当に幼児退行してんじゃないわよ!! 頭にきたわ!!! それに言ってはイケない事いっぱい言って!!! 30歳の大人の癖に、わたしより恵まれている癖にもう容赦しないわ!!!
「あ~あ~、可哀そうなお母さん! あんな小さな体で頑張って産んだ赤ちゃんがこんなどうしようもない30歳のおっさんだったなんてそれを知ったらどう思うかな~。あ~、可哀そう」
睨みつけながら、呆れた態度で言い返してやった。
「……」
バツの悪そうな顔になって俯いてしまったわ。けど、この馬鹿に更に追撃を加える!!!
「イスナーちゃんから聞いたけど、最初に転生する時にノリノリでしていたお馬鹿な人がいたみたいね~」
「……」
「なんとか言ったらどうなの?」
真っ赤になった目で真っ直ぐ睨みつけてくる。何時もは、間抜け面になる癖にこの時ばかりは迫力があった。次に言う言葉はナシちゃんの本音になるんだと思った。
「……さみ……かなしい……だよ……もう一生会えないと……思うと……ぼく……おれ……生きていたら……色々できた……かもしれない……けどもう会えないじゃん。この想いを伝える事も出来ない……せめてありがとうの一言でも言えていたら……でも出来ない!!」
ナシちゃんがわたしの胸倉を掴んでさら言葉を紡いだ。
「どうしろって言うんだよ! こんな2次元みたいな姿になって女になって赤ん坊になって!! ここが本当に現実かも信じられない!! 頭が本当におかしくなりそうなんだよ!!!」
ナシちゃんは涙をポロポロ流しながら悲痛に叫んでる。
「戻りたいんだよ。あの普通な日常に帰りたいんだよ!!! 帰って家族と一緒に……悪いのかよ!!!」
「「……」」
わたしはナシちゃんみたいな感情は出て来ないと思ってしまった。
……それにナシちゃんがこの世界に不安を抱いているなんて知らなかった。別に前の生活に不満があった訳でも、むしろ毎日楽しそうにしていたわね。
わたしは……わたしはナシちゃんに何て声を掛けたらいいか、わからなくなった…………
……
…………
長い間、お互いに会話がない状態が続いたわ。
でもそれを打ち破る救世主が来てくれたみたい!
『あ~その~、ごめんね~』
イスナーちゃんは悲しげな声でわたし達に器用に謝っている。
『そんなに思い詰めてると思って無くて~。でも聞いて欲しい事があるんだ~』
『『……』』
わたし達は救世主の次の言葉を待った。
『【運命の子】の加護があるでしょう~。その効果の内の1つがあるんだけど~、使命を全うしたらその加護が無くなる替わりに願い事を1つ叶えることができるのよ~』
『へ?!』
ナシちゃんが物凄く間抜け面になっている。わたしもなっているかも。
『それって、もしかして』
『ナシちゃんの願い事を叶えることができるよ~』
『『え?!!!! ええええええええええ!!!!!!』』
わたし達とんだ茶番をやっていたの? あ! ナシちゃんが今までの発言を思いでしたのか茹でダコみたいになっている。ちょっと可哀そうかな?
『ちょっと待って! なんでそんな大事な事、言ってくれなかったんだよ!!!』
『……【運命の子】の加護ってね~。この世界には本当に無くてはならないものなの~。その内にわかる事だけど~、それにねせっかく……友達になれたのに……またすぐに会えなくなるのは寂しいかな? なんてね~』
『……』
『イスナーちゃん……』
わたし達を気まずい雰囲気が包み込む。しかし、すぐにその雰囲気を潰す者が居た。
『使命を全うすれば、元の世界に元の体で帰れるのか?』
『ええ、かえ……れるよ……』
『ちょっと、ナシちゃん!! 友達を裏切るつもりなの?!!!』
ナシちゃんが家族に会いたいのを知っているのに、イスナーちゃんを選ばせるような発言をしてしまった。この状況なら家族を選ぶはずなんだろうけど。
……わたしは認めたくないけど前の家族は只の知人ぐらいだと思っているらしい。これじゃあどっちが裏切り者かしらね……
『ちょっと、待ってチノ。俺の質問はまだあるから、元の世界とこの世界を行き来できる願い事は叶えられるか?』
『!!!!!! ええ!!! もちろん……叶えられるよ』
『……』
ナシちゃんは皆の事を考えていたみたいね。反省しないと。
『それじゃあ元の世界では元の体で、この世界ではこの体で自由に世界を行き来できて、他の人も移動させられる願い事は叶えられるか?』
『よくばりね~。ナシちゃんは~。もっと色々付けれるよ~♪』
え? そんなめちゃくちゃなこと出来るの何でもOKなの?
『じゃあ【運命の子】の加護を増やすことはできるのか?』
『そのずるはできないよ~♪』
ナシちゃんが何時もの調子に戻ったみたい。それにあの満面の笑顔……わたしも、釣られて笑顔になっているみたい。
『そっか、その、心配掛けちゃったみたいだな?』
『『本当にそうよ!!!』』
わたし達は綺麗にハモった。それにイスナーちゃんが器用に喜びを表している。
『俺の【運命の子】の加護が無くなっても大丈夫だよな?』
『それは、願い事次第かな~。時間はまだたっぷりあるし~。よ~く考えて決めればいいかな~』
『それはそうと~、ナシちゃんには罰が必要よね~』
『そうね! 必要よね!!! う~んときつい奴が必要よね!』
イスナーちゃんに対してウインクすると、イスナーちゃんも器用にそれに答えてくれる。
『ん? このパターン、デジャブを感じる。ちょっと待って! もっと早くにイスナーが言ってたらこん……
『ミュ~~ジック~~』
わたし達はクルッと1回転して、ビシッとナシちゃんに次の言葉を告げた。
『『スタ~ト~』』
『イヤダーーーーーー!!!』
……
…………
ちょっと色々あったけど何とかナシちゃんのホームシックは無事? に解決できたみたい。それにやっぱり可愛い娘には可愛い衣装よね♪ いや~、眼福眼福っと。これで2人は魔法少女ね!!
『う~、もうお婿に行けない』
『最初から行けないわ』
『ひどい! チノ達! 俺を弄んで!! 俺の格好を元にもどせ!!』
『ふふふ~、これでまだ終わりじゃないのよ~』
『ひ~、た、助けてチノ! お願い!!! やめるように言って! ね? ね?』
う! こ、これは破壊力があるわ。涙目でわたしに縋る魔法少女、子犬のようにプルプル震えて私の服を引っ張るその姿は庇護欲をそそられるわ。イスナーちゃんの方を見るといつの間にか美幼女になっている。今度はちゃんと体が有るみたいね???
『ナ~シ~ちゃ~ん~!』
『うぇ~!』
イスナーちゃんが手をワキワキさせながら近付いてナシちゃんの肩に手を置いた。すると、ナシちゃんが少し涙を流しながらイスナーちゃんの方をゆっくり向いている。わたしはその光景を悪い笑みで見ている。
『ふぇ???』
ナシちゃんが間抜けな声出して、目をパチクリさせている。なかなか面白い光景ね。
『イ、イスナー? おまえ……ちがうだろおぉおおおお!!!!!!』
ナシちゃんはイスナーちゃんに対して大声で叫んでいる。その表情に恐怖の色は無くなっている。
『体が有るのは有るけど頭が紙束のままじゃね~か~!!!』
『でも~、真正面から見たら完璧な美幼女よ~。ね~、チノちゃん~』
イスナーちゃんがわたしに対して可愛く体を傾けて同意を求めてきた。
『そうよ~。ね~、イスナーちゃん! それにこの方がイスナーちゃんらしいわ。ね~』
『ね~』
仲良く2人で手を繋いで、ナシちゃんに対して笑顔を向けた。
『……確かにらしいっちゃ、らしいけどちょっと納得いかね~』
ナシちゃんは膨れっ面で答えている。可愛い!!!
……
『……ふっ……ふっふっふっ』
『あは……あはははははは』
『……はっはっはっはっ』
わたし達3人は笑顔で顔を見合わせた。すると、少し優しい空気が流れた気がした。
『はっはっはっ何か色々解決できた気がする! 使命をパパッと全うしたら前の家族にお礼を言って、今の家族達全員を紹介するんだ!』
『そうね!!! まず喋れないと誰が家族か分からないわ? もし、変態ダメペドキモイキチガイが父親だったら嫌だな~。……やっぱり天女様がお母さんのお姉さんよ。そうに違いないわ。あいつは知らん。うん』
『変態馬鹿犯罪者外道ウザイキザ野郎が父親だろ。それ以外の男はあの兵士ぐらいしか会ったことないだろ?』
『『……はぁ~』』
『(お爺ちゃん強く生きろ~)』
わたし達は今の父親の事を思うとがっくりしてしまった。お母さんはあんなに可愛いのに……
話題を変えましょう!!
『そ、それにわたし達が転生者だって、今のお母さんたちに話さないといけないし、わたしの存在も話さないとね。後、異界の魔王もやっつけないと』
『思ったより問題が多そうだな。でも俺達、まだ生後2ヶ月だぜ?転生者だ二重人格だなんてまだまだ先の話だろ、魔王も6年後だしなるようになるさ』
『そうね、なるようになるわ。問題は先送りよ』
結構な時間、この部屋にいる気がする。わたしはナシちゃんの服を引っ張った。
『……そろそろ戻ろっか?』
『そうだな……母さん達が心配してるよな?』
『そうよ! あんなに泣き叫んでゴロゴロ転がってお母さん達死にそうな顔していたじゃない』
『『……』』
わたし達は無言でアイコンタクトした。
ダッ!ダッ!ダッ!
『イスナーまた後でな』
『ありがとねイスナーちゃん』
『またね~』
わたし達はベッドに急いで入った。きっと現実では大変な事になっているわ!!! でもそれだけわたし達の事を愛してくれているって事よね♪わたしは少し不謹慎な気持ちで現実に戻った。
イベントクリア報酬
ゲットスキル
【家族の愛】
共に歩んできた月日が愛を育みます。家族は大切にね!
補正 TP+5
【二重人格+】 ⇒ 【二重人格++】
少しずつ別々の人格に成長している?
補正 器用さ+3 詠唱時間-5% <new>ステータス成長速度+30%UP
【小さな決意】
前の家族にお礼を言って、今の家族達全員を紹介するんだ!
補正 HPが0になる時1回だけ1で耐えられる
【寝返り・幼SP】
ゴロゴロゴロゴロ
補正 なし
【言語・幼+】
まるで成長していない
補正 なし
【トイレ・幼++】
3分我慢できる状態
補正 なし
secret
【異世界人】
故郷を離れて、新しい世界に来た人
補正 ピンチ時全能力+30%UP
【転生者+】 ⇒ 【転生者++】
前世の記憶は宝物です
補正 初期ステータス最大化 スキル習得に補正が入る ステータス成長速度+30%UP <new>全能力+20%UP
創作日記:今の俺の実力ではこんなもんしか書けない・・・つらい。
ま、まあまだ執筆歴2ヶ月だしと自分に言い訳・・・つ、次のシリアス回は頑張ります? え? シリアス要らない?
予定では全編通してシリアスは多分少なめになる予定ですのでお許し下さい? ま、まあ予定何て完全に未定だけどね。
初めて感想を貰いました。
最初に見た時は、心臓が止まるかと思い、すぐに期待半分恐怖半分で中々クリックできなかったです。
ああ、ボロクソにダメ出しされていたらどうしようとか、誤字脱字の報告なのかな?とかもうドッキドッキでしたよ。そして勇気を出して開いたら、
楽しんで貰えたという感想、もう天にも昇る気持ちですよ。うれしいが頭の中で無限ループですよ。この感情は永久保存ですよ。小説を投稿して心の底から良かったと思いまいしたよ。
いや、今までもブックマークが増えたり、評価もらえたり、PVやユニアクが増えていたりで一人で悶えていたことはよくあったのですが。しかし、もうとってもうれしい。
はい、今の気持ちを打ち込んだら少し落ち着きました。
最後に、皆も小説書こうぜきっと楽しいよ。