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勇者がいない世界で...  作者: たっち
修行編
9/18

『絶対死』と”魔獣”の山


ウルベル・オッルドがネガティブな一言を発していた時、彼の師匠になるはずの≪魔王の成り損ない≫シルバ・タスクは、上空から”魔獣”を見下ろしていた。

「ついに”魔獣”が出現してきたか…つまりは、”魔人”の出現ももうすぐということか…」

彼は、業界では忌み嫌われはしなかったけれど、それでも嫌われているほうではあったので、弟子を取るのは初めてのことだった。

だが、彼は様々な情報を知っていた。

なぜかは、殆どのものは知らない。

そして彼は、未来の”悪”を排除しようと動き出す。

相手より早く動こうとする。

それももう、遅かったが…








自分の師匠が、他ならぬウルベル・オッルド自身の頭上にいるとは夢にも思わなかったのだが、現実に夢を持つ少年ウルベル・オッルドは、”魔獣”から逃げ切った後、頂上を目指していた。

歩いて歩いて時には走って逃げて逃げて1週間と5日がたった。

残り日数はすでに3日を切っていた。

今、ウルベル少年がいるのは標高6548メートルであり、このままのペースでは頂上まで行けそうになかった。

が、しかしウルベル少年のいわゆる”主人公補正”が働いたのか、ここでとある老爺に出会うことになる。

その、老爺と主人公が出会うのはあと2時間後のこと








一方そのころシルバ・タスクはサンサ山にいる”魔獣”をあらかた殺した

否、死に導いた。

なぜこんな表現をするかというとそれは、彼の魔法ゆえである。

なにせ、彼の前ではあらゆる生物は無力となる。

もうそれは”チート”といっても違和感がない能力であった。

その獣の前にウルベル・オッルドは逃げまどっていたのだが、シルバ・タスクは自分も相手も一言も発せずに倒していく。

そう、彼の魔法『絶対死』の前では…

固有魔法『絶対死』、自身の手の平で触った生命を死へと導く能力。

確かに、ものすごく強い能力ではあるのだが、手が切り落とされれば使えないし、手で触れなければ意味がないのだ。

そして、その固有魔法こそが彼の二つ名≪魔王の成り損ない≫の由来である。

なぜならば、この魔法の上位互換である、『極死』を使う魔王

≪死の魔王≫デスの下位互換の魔法を使うからに他ならなかった。

そんな彼だが、別に探知系の能力を保有しているわけではないので、不意打ちは普通に受けてしまう。

それが今だった。

”空型魔獣”に襲われた。

そして、意識を失った彼は落ちていった。


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