サンサ山と修行編
シルバ・タスクが何故”魔王の成り損ない”などと言われているのかは誰も知らない。
(といっても一部の人間は知っているのだが)
だが、”魔王”というこの世界においての禁句が使われていることからもわかる通り、ものすごい能力を秘めた人材ではあった。がしかし、態度面に関して彼はどうにもならないような性格をしていた。
それは、彼の幼少期まで話をさかのぼらせないといけないので、今回は話さないのだが、、、
まあそんなことはおいておいて、現在ウルベルは、シルバの住処に向かっていた。
しかし、かれこれ王城から歩き出して早三時間たったが、一向につかない。
「(まだか?まだつかないのか?)」
ウルベル・オッルド少年はせっかちというわけではないのだが、今回に限っては、もう足腰が限界だった。
なぜならば、彼らが三時間歩いているのは、『山』だからである。
山は山でも、現代の地球で言う『マッターホルン』の二倍はあろうかという標高のサンサ山である。
名前の由来が、”太陽に一番近い山”ということで、なんと標高9823メートルという十キロ人あろうかという距離であり、大気圏はすぐそこという、恐ろしい山である。
通常この山に登るまでに一か月はかかるといわれているような山なのだが、そんな山の標高1000メートル地点でシルバは突如止まり無慈悲にこう告げた。
「この山の頂上まで、15日で登ってこい。」
「???」
「15日をオーバーしたら即刻送り返しな!」
そんな、シルバの言葉にウルベルはこう思った。
「(んな無茶な!)」
先ほども言った通りこの山は一般人ならば30日かかる。
それを登山ド初心者である15歳の少年に言い放ったのだ。
しかも、何の装備も渡さずにだ。
「いやいや!無茶ですって!サンサ山なんてそもそも”登る”っていう山じゃないでしょう!」
そんなウルベルの悲痛な叫びをシルバは
「あぁっ(どすの利いた声)」
声一つで委縮させた。しかし、シルバは優しさからかこんなことをウルベルに言った。
「方法さえわかればこんな山に時間で登れるから大丈夫だ。」
「???二時間ですか?」
「おう、二時間だ。」
「(汗)」ウルベルの首元を汗が伝う。
「ハイハイ、時間は待ってくんないよ!もう始めるからな!」
もうここから逃げられはしないとウルベル少年は思った。
そして、ここからがウルベル少年の一年間の修行編の始まりである。
時は南歴1997年9月2日15時23分シルバの一言で地獄の修行が開始する。
「よーいどん!」




