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勇者がいない世界で...  作者: たっち
序章
2/18

誕生日

南歴1991年7月18日


あれから10年ウルベル・オッルドは10歳の元気な少年に育っていた。

今のウルベルは心の優しい少年だったが、8歳の時南都の外の公称”破滅の森”に入ってしまった時にできた傷が顔にあった。

そのため、ウルベル少年は子供のころから少年たちの間では英雄のように扱われたが、同時に少女たちや、初めて会う人は、彼の顔を見るとおびえてしまい途端に話しかけてくれなくなってしまうのだ。

だが、彼は優しかった。

自分の顔を見て怖がってしまう人がいても、優しく話しかけ、ゆっくりと打ち解けていく。

そんな心の優しい少年に育っていた。

そのため、彼の周りには、いつも人がいて、このことを彼の父と母も喜んでいた。

その少年ウルベルも今日で10歳になるのだから時は早い

「「「♪ハッピバースデーディアウルベルゥ~ハピッバスデートゥーユー!♪」」」

「わぁぁ!みんなありがとう。」

「いいよいいよ。気にすんなって。」

「私たちがやりたくてやってるんだよ!」

「まあとにかく、ハッピーバースデイウルベル!」

「ありがとうみんな!」

ウルベルの誕生日パーティーは、ものすごく豪華なものだった。

豪華も豪華王家の住まいである。城でウルベルの誕生日会をやっているのだった。

なんでも、ウルベルの父であるボイド・オッルドは勤勉でよう働く部下からは”仕事の鬼”と言われるほど

働き者だった。そのため、王からの信頼も厚くあるとき、王はボイドに聞いた。

「お主は、よく働いておる。どうじゃ、儂にできる範囲でできることをしようじゃないか。」と

すると、ボイドは、

「王よ、そのような褒美など私には必要ありませぬ。」と一度は拒否したのだが、王は、引き下がらず

「ボイドよ。謙虚なのはお主の良いところではあるのだが、褒美をやるといった儂の心を無駄にするのか?」といった。

するとボイドは、

「うむ、しょうがありませぬ。王のお顔に泥を塗らぬためにも私の願いをここで、願おうと思います。」

「うむ、ゆうてみよ。どのようなものだ?金か?地位か?」

「いえいえ、王よ私が望むのはただ一つでございます。私には息子が一人おります。

その息子がもうすこしで、10になるのです。その息子のためにこの王城の中庭を貸していただきたく。」

「中庭?そんなものでいいのか。良いだろう好きなだけ使うとよい。」

「ははっ!ありがたき幸せ!」

とこんなかんじで今にいたるわけである。

方法としてはいかにも庶民の誕生会という感じなのだが、王城の中庭が狭く感じるほどの人が押し寄せてきていた。

まずは、言うまでもなくオッルド家

そして、ウルベルの友達が189名

ボイドの仕事仲間や友達、部下が189名

王族の皆様が王、王妃、王女、第一王子、第二王子の5名

ミラの友人と仕事仲間、部下が132名

プラス王族仕えの使用人が50名

という、王家の力を使った大誕生日会が開催された。

ちなみに、ミラは南都では英雄である。

彼女は、冒険者で剣姫といわれるほどの凄腕冒険者であり年を一つ救ったことがあるなどの偉業を持つ

その功績を買われ冒険者組合南都市部の市部会長をしているのだ

マジックショー(本物の魔法)や立体水族館(水魔法)が催され大変大掛かりな誕生会だ。

そんな、大誕生会が開始されてから3時間と35分ボルドの一言でその会はお開きとなった。

オッルド家が自宅へ帰ろうとすると、王に呼び止められた。

「オッルド家の諸君よ今日は楽しかったか?」

「はい!楽しかったです。」とウルベルが答えると

「そうか、それはよかった。儂も楽しかった。なにせ、儂はこのような大きく楽しいことはあまりしないのでな。今回のことで庶民の暮らしが良く分かった。庶民の楽しみもよく分かった。ありがとう

ウルベル君ということで、儂はこれからもこういうことをしたいと思っているのだ。どうじゃ、ボイド?」

「良い案だと思います。」

「では始めようではないか。もう少しで大きな祭りが出来そうじゃな。ハッハッハ!」

「良かったわね、ウルベル。」

「うん」

「ところでウルベル魔力検査というのを知っているか?」


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