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勇者がいない世界で...  作者: たっち
修行編
13/18

薬中と落雷と減退修行

武器を選び終わったウルベル少年ではあったが、何しろ人生で槍など一度も触ったことはなかった。

結果、ウルベル少年がどうなったかというと、完全にテンションがキマッタ。

「はぁはぁ。やべぇ!!!槍だ!武器だ!これやばくないですか!!!」

「……」

そして当然のことながら薬中のようになってしまった自らの弟子を見て師匠であるゴルド・アサインが思ったことはただ一つ。

「(こいつは武器庫に行かせないほうが良かったかも知れんな)」

だった。というか、その通りだった。

「まぁ喜ぶのはそこらへんにせんか。お前は忘れているかもしれんがあともう一つやることがあるじゃろう?」

ゴルドが言ったのは、”適正魔術診断”の話だったのだが、その師匠の話が頭に入ってこないほど今のウルベル・オッルドの頭はキマッテいた。

話を聞かなくなった生徒を昔教師がどうしていたかというと無論”体罰”である。

ここは、現代日本ではないので体罰禁止みたいな思想や法律は存在しないのだった。

そして、加えてゴルド・アサインという老人は短気だった。

結果、ウルベル・オッルド少年がどうなったかというと”丸焼き”になった。

無論そこに誤植はなく明らかな丸焼きである。

何故丸焼きになったかというと、ゴルド・アサインという老人の魔術属性は”雷”だったからである。

彼は話を聞かなかった弟子に対し、頭上から雷を落としたのだ。

なんというか、人間はやはり自然災害にはかなわなかった。

このふざけた行動のせいでただでさえ時間が迫っていたウルベル少年の修業期間は一か月つぶれることになったのだった。


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