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勇者がいない世界で...  作者: たっち
修行編
10/18

仙人と”動の型”

山登り修行14日目

ウルベル・オッルド少年は登りに上ってサンサ山のいわゆる公称”六合小屋”に差し掛かっていた。

「(もう一休みするか…)」

もう”呼吸”の影響で、まともに動くことができないウルベル少年がとった行動は、”休息”だった。

この行動は、彼をサンサ山の頂上に導くこととなる。

”六合小屋”は仙人が住むといわれる小屋であり、その噂は本当である。

ここに住む仙人ゴルド・アサインは、待っていたのだ。

頂上に行くであろう少年を待っていたのだ。

ウルベル少年は、ゴルドを見たときに老人の前に”オーラ”が見えた。

”金色のオーラ”である。

「こんにちわ。」ウルベルは、まず挨拶をした。

すると、ゴルドも「こんにちわ。」と返してくるかと思っていたのだが、違った。

「お前が、ウルベル・オッルドか?」

老人は、シルバ・タスクもびっくりな威圧感のある声で、そう聴いてきた。

「そ、そうですが‥‥」

チキンなウルベルには、この辺のあいさつが限界だった。

というか、チキンであろうとなかろうと、この老人を前にしては弱気になるような気がするのだが・・・

「お前には、習得してもらおう。」

「いや、習得せねばならぬ。」

「基本の”魔力操作”を…」

まず、ウルベル少年はこの老人と会話することができなかった。

なぜならば、この老人ゴルド・アサインは人の話を聞かないのだ。

なので、ウルベルは、途中から会話を断念したのだが聞いていると、彼は残り1日で、”魔力操作”の基本を覚えろというのだ。

それもそのはず、このサンサ山は、魔力操作なしで来るとなると三十日はかかるという山だ。

それを15日で登り切れといったシルバ・タスクだが、それには狙いがあったのだ。

その狙いは、ウルベル・オッルドに勝手に”魔力操作”を会得してもらいたかったからである。

もともと、シルバ・タスクはもともと”魔力操作”が出来ていた人間であったが、それを使いこなせていないような人間であり、“師”になるのも初めてのことなので、教え方が分からなかった。

よって、自然体で”習うより慣れろ”の精神で、やっていたのだが自分と他人は違うということなのか、その意志は、彼、ウルベル・オッルドには、何一つ伝わっていなかった。

よって、今ゴルド・アサインに出会えたウルベル・オッルド少年は、実に幸運である。

その、ゴルド・アサインの訓練は、ウルベルの疲労回復を待たなく始まった。

「”基本の魔力操作”の一つ”動の型”をなっらってもらう。」

「はいっ!!」

ゴルドは、2時間みっちり、足腰が立たなくなるまで、ウルベルに”動の型”を教え込んだ。

仙人の教えということもあることもあり、理解力があまりないウルベル・オッルドでもどうにか”動の型”を覚えることができた。

「これで、”動の型”はあらかたできた。しかし、その型も完ぺきではない。修練を重ねろ!

さすれば道は見えてくる、」

「はいっ!!」

かくして、ゴルド・アサインによる”動の型”のけいこは終わったのだが、この2・3時間「はいっ!!」

しかしゃべっていないウルベル少年は、終わった後”六合小屋”のふとんに、バタンキューという擬音が恐ろしいほどに会う格好で眠りに落ちた。



登頂期限まであと20時間

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