4話
時間が(´・ω・`)
私、セレネは十歳になった。
この五年間毎日、お婆ちゃんのお手伝いをしながら魔術の練習をしている。魔力操作を習ったので、魔法薬作りもやらせて貰えるようになった。
「おーい、婆さんかセレネちゃん居るかい?」
「あ、今いきまーす!」
玄関から声が聞こえてきた。この家は森の深いところにポツンとあるので、来る人は限られている。今回は、声からしてジェームズおじさんだろう。
「久しぶりだね。元気にしてたかい?」
「はい、お久しぶりです。お婆ちゃんは今、薬の素材集めで留守にしてますよ」
「あ、そうなの。間が悪かったみたいだねぇ」
当たった。
ジェームズおじさんは、商人でお婆ちゃんの魔法薬や魔獣と呼ばれる凶暴な生き物の素材、それと私の作った魔道具を買い取ってくれている。お陰で私とお婆ちゃんはお金に困らずに済んでいる。おじさんのフルネームは、"ジェームズ・ワイズ"と言うらしい。彼の髪はお婆ちゃんと同じように白くなっていて、顔や手にはそれなりの皺が見えるけど、飄々とした性格と高身長からお年寄りには見えづらい。本人は「もう50過ぎの年寄りだけどね」と言って私によく構ってくれるので、私にとってはお爺ちゃんみたいな存在だ。
「あ、そうだ。セレネちゃん、頼んでおいたバッグ20個出来てる?」
「ちゃんと完成させてますよ。倉庫に10個づつ箱詰めしてあります」
「いやー、助かるよ。セレネちゃんの作ったマジックバッグは人気でね、すぐ売り切れてしまう」
マジックバッグは私が作っている魔道具の一つだ。魔獣の素材を使ったバッグで容量拡張の魔方陣を特殊な糸で魔石という魔力を放つ宝石と一緒に刺繍してある。お婆ちゃんとジェームズおじさん曰く、私のマジックバッグは普通のそれより容量が大きいらしく、ジェームズおじさんの商会のデザイナーさんが考えたデザインも相まって凄く人気らしい。
「素材は貰ってるものを使ったので、お金は少しで良いですよ」
「いやいや、ちゃんと報酬は払わせてもらうよ。労働に対する対価はきっちりとしておかないとね」
「うーん、だったら今度、良い魔獣の素材が手に入ったときに少しだけ分けてもらえれば、それで」
「……謙虚だねぇ。もう少し我が儘を言ってくれてもいいのに。セレネちゃんも、いい加減年頃の女の子なんだからね」
そんなことを言われても、今の生活が気に入っている私には特に欲しいものは無かったりする。お金にも困ってないしね。
「うーん、やっぱり欲しいものとかはないです。私は今の生活に満足していますから」
「……そうかい。じゃ、なにか欲しくなったら何時でも言ってね。おじさん頑張っちゃうから!」
「あはは……。はい、その時は頼らせてもらいます」
私から見てもナイスミドルもジェームズおじさんのウインクはなかなか格好いいのだが、台詞がちょっと残念だった。そんなお茶目なところがあるジェームズおじさんは、やっぱりいい人だと私は思う。
そのあと、玄関先で少しの間、二人で世間話をしていたのだが、ジェームズおじさんが突然爆弾を落とした。
「あ、そういえばセレネちゃんって10歳になったんだっけ?」
「はい。そうですけど……」
「じゃあ、婆さんに魔術を習い始めて5年になるわけだ。そろそろ"魔法"も教えてもらってたりしないの?」
「"魔法"ってなんですか?」
そう言ったら、ジェームズおじさんは驚いた表情をした。いつもの飄々とした表情をしているおじさんが珍しい。
「"魔法"を知らないってことは"精剣"も知らないとか?」
「はい。なんですか、それ?」
"精剣"も"魔法"も聞いたことがない。いや、お婆ちゃんの持っている本で読んだことはあるけど、どんなものかはよくわからなかった気がする。
「……うーん、後で婆さんに聞いてみると良い。婆さんなら、私より詳しく知っているはずだからね」
「……はい、ありがとうございました。また来てくださいね」
「ああ、近いうちに来るよ。セレネちゃんの顔を拝みに、ね」
それだけ言うと、ジェームズおじさんは倉庫の方へ行ってしまった。多分、バッグを詰めた箱を取ったら、そのまま帰るのだろう。
私は、ジェームズおじさんを見送った後、お婆ちゃんの本を読み漁ることにした。
短いです。
次回も、説明回になります。
物語が動くのは2~3話ほど後になると思います。お付き合いくださいm(__)m
そろそろメインも書かないとなぁ(´・ω・`)




