2話
考査の現実逃避に書いてます。
眼が覚めると、そこはベッドの上だった。家に有ったものより上質なものらしく、何時までも眠っていたいと思ってしまう。
だが、部屋の外から一人分の足音が聞こえてきた。此方に向かってきていると思う。
「おや、起きてたのかい。痛いところとかは無いかい?」
扉を開け、入ってきたのは一人のお婆さんだった。白くなっている長い髪に澄んだ青い瞳をした優しそうな印象を持つ。顔や手に年相応の皺が見えるけど背は高かった。
私はこの人を見た覚えはない。
「………誰、何ですか」
「ん?そんなに怯えてどうしたんだい。私ゃ、あんたに何かする気はないよ」
「………」
信用、出来るわけがなかった。何せ、四年も私を育ててくれて、父と母だと思っていた人が実際には違ったのだから。
そう簡単に人を信じることは出来なくなっている。
「……あんたは、昨夜何をしたのか覚えているかい?」
「……父と母だと思ってた人達から逃げて、それから、それ……から………ッ!」
思い……出した。私は、人を……。
私は今、真っ青になっているとおもう。
「……どうやら思い出したようじゃな。まったく、あれを片付けるのは疲れたわい」
この人は、私が何をしたのか………人間を食い殺してしまったことを知ってるの?
ならどうして私は此所に連れてきたのだろう。普通は、そんな子供を自分の家になんて入れないと思う。
「……どうして。どうして私を、殺さないの?」
「なんじゃ、そんなに私が恐いのかい?」
「ち、違く、て。人を殺した子供なんて普通は……」
「……私に、子供を殺せって言うのかい」
低い声だった、とっても。怒りを感じる声。思わず、小さな声が漏れそうになるのを堪える。代わりに涙が出そうになった。
「はあ、あんたは被害者じゃろう。私ゃ、昔にあんたの本当の親から頼まれてたのさ。これじゃ、足りないのかい?」
衝撃だった。
この人は、私の本当の親を知っているみたいだ。でも、やっぱりすぐ信用するのは出来そうもない。
「まあ、無理に信じなくても良いさね。だが、これだけ言っておくよ。私は……」
目の前に居たお婆さんは、私に近づいてしゃがみ、頭に手を置いた。
「私は、あんたの味方さね。何があってもね。……それが約束じゃったからのう」
……多分、私の本当の親はもう居ないのだろう。だって、生きているのであれば直ぐにでもその事を伝えると思うから。
この人は、信じても良いのだろうか。頼ってしまっても良いのだろうか。
「私は…………信じても、いいの?」
「ああ」
「………頼っても良いの?」
「そうじゃ!」
「泣いても、良いの………!?」
「当たり前じゃろう。もうお主の好きにしたらいいんじゃ」
私は思わずお婆さんの胸に抱きついて泣いてしまった。私は生まれて初めて人前で泣いた。十数分も泣き続けてしまった。
私は、もう誰かに頼っても良いんだ!
泣き終えた私は、少し覚悟を決めた。私は、目の前の人に――赤の他人に生まれて初めての御願いを口にした。
「………わ、私を此所に置いてもらえ、ませんか」
「勿論じゃ。元々私が、お主を引き取るつもりじゃったからのう」
快く許してもらえた。この人は、本当に私の味方、なんだ。
「そういえば自己紹介をしとらんかったのう。私ゃ、マーリン・ティアットと言う。しがない年寄りの魔女じゃ」
「わ、たしには、名前がない……です。4歳、です」
本当の事だ。あの偽の父と母は"お前"や"あいつ"としか言わなかった。今思うと、私の名前を知らなかったんだと思う。
「……大丈夫じゃ。お主の親から聞いておった。お主の名前はセレネと言うのじゃよ」
セレネ、それが私の名前?
「よく頑張ったのう、セレネや。よく生きててくれた……」
頭を撫でられ、此所にいられる実感が湧いてきた。また、泣いてしまったけど、嫌われたりしないかな。
私の人生は、今ここから始まるんだ。
短いですが、勘弁して下さい。
時間がないんです(´・ω・`)




