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最強の魔女は化物少女?  作者: 天之幽
16/16

16話

ちょっと不快になるかもしれない発言があります。苦手な方は、注意して読んでくださいませm(__)m


「――セレネ・ティアット!僕と決闘しろ!」


今私が居る場所は、学園内にある大講堂。そして、目の前にいる貴族らしい男子は、私を指差しそう言い放った。私の後ろでは、泣いて蹲っているレイラさんとそんなレイラさんを抱き締めながら貴族(?)男子を睨めつけているステラさんが居る。辺りの他の人達は興味津々に笑っていた。


…………どうしてこうなった!?


こうなった理由は、一時間程前に遡る。……本当に、どうしてこうなったのっ!?





私が目を開けると、そこには見知らぬ天井が…………嘘です、冗談。眠りにつく前に一度見ていた。エリシオン学園の女子寮、その特待生専用の部屋。つまりは、私の部屋の天井だ。

私は……今日からこの学園の魔術科に通うんだ………。


机においてあるジェームズおじさん考案、私製作の時間を正確に表示する箱形の魔道具を見ると、まだ入学式にはかなり時間があった。思っていたより、早く起きてしまったみたい。仕方ないので、日課の魔術訓練(簡易版)をしたあと、身支度を整えた。着たのはこの学園の魔術科の制服だ。魔術科の物はローブに近いデザインになっていた。でも、このスカートの丈は短すぎると思うの!下着見えそうで恥ずかしい!………その後は魔法鞄に入れていた食材で簡単な朝食を作って食べた。うん、美味しい。

それらが終わる頃には丁度いい時間になったらしく、"二の鐘"が聴こえてきた。この鐘の音は、大体二時間に一度鳴る。二の鐘は、朝の八時に当たる。……本当は、一の鐘で起床すると、後にレイラさんに聞かされた。


さて、時間になったので入学式が行われる"大講堂"?に行こう。と、私が部屋を出た直後、隣の部屋の人と眼が合った。………凄い見覚えのある人が二人もいた。あの特徴的な赤い髪と青い髪は………っ!


「……お、おはよう……ございます?」

「……なんで疑問形なのよ。それよりも、隣って貴方だったのね」

「あら、おはようセレネちゃん。お隣さんになったんだね!」


うん、やっぱりステラさんとレイラさんだった。なんだか彼女達とはつくづく縁がある気がする。えーと、こういうときは何て言えばいいんだろ?


「はい。えっと、宜しくお願いします」

「ええ、今度一緒にお茶しましょう?」

「そうね、その時に貴方の事教えなさいよ」

「は、はい」


貴族の人とお茶って私なんかがいいのかな。けど、彼女達とは仲良くしたい。し、失礼がないように今度、おじさんにでも教えてもらおう!お婆ちゃんはこういうことは全く教えてくれなかったし……。


「セレネも今から大講堂に行くんでしょ?一緒にいきましょうよ。早くしないと遅刻しちゃうわ」

「そうね。ステラちゃんの言う通り一緒に行きましょう?迷子になったらいけないし」

「……じゃあ、お言葉に甘えて」


確かに、この学園広いから私だけでは迷子になる気がする。探査系魔術を使えばこの二人の場所は判るかもしれないけど……あんまり意味ないかな。人多いし。

そんなわけで、三人で大講堂へ行く事になった。………これが冒頭の問題になるとは、このときの私たちは思いもよらなかったけど。




女子寮を出たあと、特に問題なく私たちは大講堂まで着いた。強いて言うなら、道中多くの男性――教師も含む――にじろじろ見られてステラさんがイライラしていた事位。二人とも美人さんだからね。……え、私?ないない。


そんなこんなで、今のステラさんはとっても機嫌が悪い。魔力が強いせいで暴走気味になって、彼女の周りの気温が少し上がる程度には。因みにお婆ちゃんは怒るとよく周りを凍らせていたっけ。


「もう!なんなのよ、あいつら!セレネとレイラの胸ばっかりじろじろじろじろ見て!私にもあるつーの!」

「す、ステラちゃん。抑えて抑えて!周りに人いるから!」

「……私じゃなくて、ステラさんとレイラさんを見ていたんじゃないんですか?あの人達」


私の胸は確かに、それなりの大きさはあると思ってるけどレイラさんには敵わないし、ステラさんの方が私より格好いいと思う。私は気持ち悪いんじゃないかな。特に、この真っ黒な髪と獣みたいに縦に割けた瞳は。

………あ、ステラさん露骨にため息着いた。レイラさんもどこか残念な子を見るような目で見てくる。


「……貴方、本当に気がつかなかったの?あいつらは、貴方とレイラを見てたのよ。特に、羨ま妬ましいその胸が揺れる所。………なんで私にはないのよぉ」

「………ステラさん(ちゃん)」

「見ないで!二人してそんな目で私を見るなぁ!?」


悩んでるなら早く言ってくれたら良かったのに。実は、特定部位の成長を促す魔法薬を私は自作していたりする。……勿論、おじさんに売ってみたけど。どうなったかは知らない。そんな事しなくても、ステラさんは素敵な女性だと思う。というか、胸って重いし肩凝るしであまり良いことないんだけどなぁ。


「そうよ、こんなのただ重いだけで邪魔にしかならないよ?」

「持つ者に持たざる者の気持ちなんか分からないでしょうね!」


あわわわ、ステラさんこんなところで叫んでちゃそのうち……あ、もう嫌な予感しかしない。


「煩いぞ、貴様ら!おとなしく待つことも出来ないのか!これだから平民は………うん?よく見たら、元騎士爵の癖にでかい顔しているフレイス辺境伯と上級貴族の恥さらしケアノース侯爵の令嬢じゃないか。貴様らはさっさと帰るがいい。これ以上恥をさらしたくなければな!」

「なっ!?あたしはともかく、レイラを悪く言わないで!それにケアノースの伯父様は御立派な人じゃない!」

「す、ステラちゃん……っ!」

「喧しいぞ!僕は、貴族の癖に平民に媚び諂うような輩を貴族とは認めん。女は黙って従っていればいいんだよ!」


パチンッ!


私の直ぐ隣で派手な音が鳴った。遅れて目の前にいる男がレイラさんの頬を叩いたのだと、理解した。直後、レイラは泣きながらその場に崩れ落ち、そんなレイラさんを守ろうとステラさんが抱き締めていた。思わず、私も二人を守ろうと前に出る。

すると、目の前の男は下品な笑みを浮かべ、私の手に触れてきた。反射で振り払ってしまい、男は少し驚いたような表情を浮かべた後、睨んできた。威圧のつもりだろうか。全く怖くないけど。この人、本当に貴族なの?


「……二人に謝ってください」

「貴様何者だ?平民風情が、僕が何者か知ってて言ってるのか!?」

「……セレネ・ティアットと言います。私は貴方の事を知りませんし、関係ありません。私の友人に謝ってください」

「ひっ!?……ぼ、僕は上級貴族だぞ!?ふ、不敬罪で縛り首にも出来るんだぞ、平民風情が!」


私が少し睨んだだけで、怯えてしまった。私の眼は睨むと、相当恐いらしい。

だから、そんな泣きそうな顔で脅されても恐くないよ。それにもっと恐い事を私は知ってる。……あの日、お婆ちゃんが目の前で居なくなってしまった事と比べればどうということはない。


「……それで?」

「へっ………?」

「それで、と聞いています。私は貴方なんかに捕まる程弱くない。別に、今すぐ貴方を再起不能に出来るんですよ?」

「なっ……!?ぶ、無礼だぞ貴様!」

「………何度でも言います。二人に謝ってください」


もう既に集まっていた人たちのほぼ全員がこちらを向いている。そんな中、目の前で私に言い負かされている彼は、さぞ屈辱だろう。いい気味だ。………あ、アリス先輩と目が合ってしまった。もう来てたんですね、先輩。


そんなことよりも、レイラさんを治癒した方がいいのかな。腫れてしまったら嫌だろうし……顔だったし………私、先にすべきはそっちだったんじゃ………。


「……セレネ・ティアットと言ったな。貴様」

「はい、そうですが。二人に謝る気がないのならどこかへ消えてもらえませんか?邪魔ですので」

「ふざけるな!もういい!貴族に歯向かったこと後悔させやる。――セレネ・ティアット!僕と決闘しろ!」


………はっ?どういうこと?なんでいきなり私が決闘?なんてものをしなきゃいけないの?もう訳がわからない。

という事で冒頭に繋がるわけだ。でも………。


「私が勝てば、二人に謝罪してくれますか?」

「いいだろう!ただし、僕が勝てば貴様を僕の奴隷としてくれるわ!」


本当に下品な人だな。まあ、ある意味貴族らしい……のかな?それに、負ける要素ないし、受けても――。


「ふざけるな!それでもあんた貴族なの!?貴族の誇りはないの!?」

「貴様は黙っていろ、フレイス!それで受けるのか受けないのか!」

「セレネ!あんたが受ける必要なんか――「お受けします」――っ!?」

「……確かに、あんな奴なんかにあんたは負けないだろうけどさ、無理しなくていいんだよ!?」

「ふはっ、ふはははは!もう後悔しても遅いぞ、セレネ・ティアット!」


………ステラさん、私なんかを心配してくれてありがとう。でも、初めての友達に怪我をさせられて、馬鹿にされて黙っていられるほど私はお人好しじゃない。……そもそも人じゃないしね。


「今、やりますか?私は何時でもいいですけど」

「そうだな。講堂内での戦闘は原則禁止だ。外でやろうじゃないか。無論、なんでもありだろう?文句はないよなぁ?」

「………構いませんよ」


そのまま男は、下品に高笑いしながら外へと歩いていった。………うん、気持ち悪い。


「セレネ………ごめん」

「セレネちゃん、私なんかのせいで………っ!?」


私は、しゃがんでレイラさんの頬に触れ「『癒しよ』」と唱える。初級の治癒魔術だ。って、泣かないでレイラさん!私が触れたから、い、痛かったのかな!?


「ご、ごめんなさい!いきなり触れてしまって。痛かったですよね」

「大丈夫。もう痛くなくなったから。ありがとね、セレネちゃん」


良かったぁ。嫌われなかった。やっぱり、二人は笑っている方が何倍も綺麗だと私は思う。………やっぱりあいつは死ぬほど後悔させてあげよう。


「………セレネ。貴方が強いのはよく知ってる。だから………お願い。私たちの分まで」

「はい、任せてください」


学園生活、初日どころか入学式前で初戦闘勃発です。………大丈夫かな、私の学園生活。


えー、戦闘までいけませんでした!

寝落ち恐さに区切りました。

次回、はっちゃけるつもりなので、少々遅れるかもです。………戦闘シーンは苦手なのです。個人的には好きなんですけど(´・ω・`)

そんなわけで、あまり期待せずに少々お待ち下さいませ。


あと、総PV2000突破ありがとうございます!これからも、頑張ります。………そろそろ息抜きの方も書きたいんですけどね( ̄▽ ̄;)

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