02「部屋割、アスラ登場。」
「皆さん協力してくださるのですねッ! ありがとうございますッ!」
王女様がかわいい感じを装ってそう言った。見てて明らかに裏がある。そう見える。
「では、今後のことについては、騎士のアーノルドに任せますので、皆さんよろしくお願いします。」
すると王女様の横からヌッと体格の大きい初老の騎士が現れた。鎧には紋章のようなものが描かれており、なんかカッコいい。
「儂は先程紹介されたアーノルドだ。アーノルド・ワルツェーネ。勇者の卵たちよ。闘う覚悟はいかほどか?」
なんか意味有りげなこと言ってきた。
皆黙っている。それもそうだろう。ここにいるのは、王女様に惚れた奴か、それに惚れている奴か、無駄に正義感が強い奴か、王宮でタダ飯食おうとしてる奴だけだからな。え? タダ飯はお前だけ?
俺は質問に対して一つの疑問を抱いた。
「俺…俺たちは魔族を知りません。それにどんな戦争なのかも知りません。知らない者にどう覚悟せよとおっしゃいますか?」
そうだよな。例えば、辛い食いもんがあるとして、相手はそれが辛いことを知らないとしよう。それを、食わせる時に覚悟はあるか?なんて聞いても、相手はハァ?と言うだろう。
「まぁ…。そうだな。」
老騎士はそう言った。勝った! なんか知らんけど勝ったぞ!
「今後のことだがこの大所帯で行動していては不便なこともある。そこでだ。5人班を作ってもらうことにした。そこに教師を一人づつつけよう。我々はお前たちの実力を知らん。自由に組むが良い。」
5人班か。微妙な数字だな。まぁ5.10.15.20〜といけばキリの良い数字だが、パーティは4人と昔から決まっているだろう。まぁええわ。
「よっしゃあ! 龍二! 組もうぜ!」
鬼瓦に誘われた。
「ああ」
「龍二君…僕も混ぜて。」
玉城もパーティに入れることにした。コレで三人だ。あと二人。だけにすっかな。
「ねぇ? 神川。アンタの班後何人?」
後ろから呼ばれたのでサッと振り向いた。後ろには雫の友達である花が立っていた。花もなかなかの美貌だ。
「え? 後二人だけど…。」
「じゃあ私と、このコも入れてくれない?」
花が勧めるのは雫だった。顔を真っ赤にしてモジモジしている。尿意でも我慢しているのだろうか。
「鬼瓦! 玉城! この二人も班に入れていいか?」
「おう!」
「うん」
こうして、俺たちの班は完成した。メンバーは俺、鬼瓦、玉城、雫、花の5人班だ。
誰かに睨まれているような気がした多分気のせいだ。
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その日は部屋割も行われた。8班あるうちの2班しか男女混合の班がなかったため、部屋は大きめの部屋を1班に一つずつ振られることになった。もちろん城内である。
部屋に入ったらまず、ベッドが人数分あったのでどのベッドにするかが話し合われた。結果は
鬼 玉 俺 雫 花
瓦 城
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Ⅰ■ ■ ■ ■ ■ Ⅰ
入ー □ □ □ □ □ 窓
りー 窓
口 Ⅰ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ Ⅰ
━━━━━━━━━━
■→ベッド頭 □→ベッド布団 ◆→机(小さい)
こうだった。実は雫と隣になったことが嬉しかったりする。
その日は異世界でどうするか、などの話をして、電気が無いので日がおちると共に就寝した。
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部屋に一筋の光が差し込む。俺はいち早く起きたようだ。いつの間にか枕元に謎の荷物が置かれていた。何事かと思い、周りを見ると皆の枕元にも置かれているようだ。
おそらくアレだ。異世界人は神様から本とアイテムがもらえるという設定だ。予想だが、人数が多くて渡すのが困難だったか、単にその設定を神様が忘れていたか。どっちかだろう。さらになぜか俺には二冊の本が置かれていた。
そんなことより!! 雫の寝顔が可愛かった。
「んん…んあ。あ? ああ。異世界か」
鬼瓦も目覚めたようだ。寝起きが面白い。
「んあ? 何だコレ??」
鬼瓦も枕元の荷物を見て不思議がっている。
「龍二ィ! なにィコレ?」
「さぁ? わからんわ」
とりあえず知らない風を装った。
とりあえず大きい方の本を手にとってみた。ズッシリと思い。表紙には『異世界超攻略ブック』と書かれていた。
コレ攻略本やんけ! そっとしまった。まさか自作の攻略本作るとか…。ホンマゲームみたいやね。
もう一冊の本を手にとって見た。先程の本とは違い、手に取りやすいサイズだった。表紙には『異世界を生き抜くアドバイスブック 龍二バージョン』と書かれていた。コレがノーマル版だろう。しかしこの龍二バージョンというのを見て気付いたが、まさか全員分作っているのだろうか。神様すげぇ。
本を開いた。どうやらその人の職業や種族に適したことが書かれているらしい。
おそらくドワーフなら剣の作り方、みたいな感じで。
俺の種族は…
「ふわぁ〜。」
雫が起きた。起きる動作も可愛い。そして雫て目があって…雫が固まった。
え?ショックだ。そんなこと気持ち悪い目をしていたのだろうか?
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全員が起き、王宮に仕える兵士が食事をする場所で食事を済ませた。主食は麺。しかし、ボソボソしていてあまり美味しくなかった。日本の冷凍食品の偉大さが身にしみた。
食事が終わると初めての班での活動をしに城の外の国が所有する訓練場に出た。他の班は別の場所にいる。今日からは班別なのだ。しかし、今日はガッツリ訓練するわけではなく、教師の紹介とステータスの確認、軽い手合わせなどらしい。
一人の男が訓練場に姿を現した。
「俺はアスラ。アスラ・ヴェータだ!」
若干長くなってる感はある。
感想、アドバイス、誤字脱字、よろしければ是非、書いてみてください。