01 「異世界へ来たぜ! …なんでぇクラスメイトいんのぉ?」
今回長いッ!
「…ぅですッ!」
「素晴らしい…こんなに!!」
俺は目を覚ました。目の前には見知らぬ天井が広がっている。異世界へ転生したのだ。そう実感した。
実は神界には重力の概念がなかったので、地面に引っ張られるこの重みも懐かしくて嬉しい。とは言え新しい肉体は太ってない…いや。ムキムキとまでは言わないが体中に筋肉のような感覚もある。
「! ここはどこだッ!」
一人が声を上げた。ん?聞いたことある声だ。ムムムッ…
俺は起き上がり周りを見渡した。そこにいたのは…
「どうやらクラス全員で知らない場所に飛ばされたようだな。」
周りにクラス40人がいた。周りのクラスメイトたちにも混乱が広がってきている。何がどうなっている!? そこでふと思い出したことがある。
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《地球の友人とお会いしたいのですか?》
《わかりました。報告しておきます。》
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これかァ!? 予想外だ。待て待て待て。確かに地球の友人とは会いたいと言った。しかしクラスごと送り込まれるとは…!!
それに俺は長い間スリープしてたハズだ。すくなくとも少年神様が青年神様になるくらいは。…いや、やめておこう。神様が関係することに疑問を持ってもいくらでも疑問は浮上するだろう。我々人間の固定観念に囚われるような存在じゃないのだから。
俺はもう一度クラスを見渡した。先程は違和感なく見渡したが、もう一度見るとこの世界風になっている。転送?転生? 俺は作り変えられたが皆は知らない。まぁ、それはおいといて面白いことに気がついた。
クラスメイトの中に耳がとんがっている者や体毛が体中から生えている者、髪色や瞳の色が変わっている者がいる。おそらく転生したのか、種族を変更したのか。
考え事をしていると、俺が目を覚ました時に話していた人たちが口を開いた。
豪華絢爛なドレスに身を纏った異国感…異世界感満載の若い女性がいる。おそらく王女とかだろう。横には騎士のような人たちも待機している。
その横にはまるまると肥えたおっさんがいる。王冠はしておらず、身なりも先程の女性に比べると随分と劣って見える。おそらく一貴族だろう。
その貴族の前には大きなとんがり帽子を被り胸にはバッチをつけ、歪に曲がった形の杖を持っている老人がいる。おそらく俺たちを召喚した魔道士とかだ。
そしてその周りにも杖を掲げ、胸にバッチをつけた若者がいた。お弟子さんか、老人とともに宮廷魔道士とかやっているのか、どっちかだろうな。
今回声を発したのは王女(らしき人)だ。
「おお! よくぞいらしてくださいました! 未来の勇者様方」
どんだけ練習したんだってほどスラスラと話した。普通なら勇者なんて恥ずかしくて言えない。…いや、異世界だったわ。
「私はヴァニーヴァ王国第一王女のヘスティ。ヘスティ・ヴァ・ニーヴァです。」
変な区切り方するのね。ヴァとニーヴァを分けるんだね。へー。
「うおー! あのネーチャンやっべぇぞ!」
「おぅ! 今までの女よりはるかにでっけぇな!」
そう言っているのはクラスで有名なカースト上位の男の不良組の内の二人である。確かに王女の魅力はすごいと思う。太陽を思わせるような明るい黄金の髪に晴れ渡った空色の瞳はダイヤモンドのよう。肌は透き通るように白く、美味しそうで大きな果実を二つ実らせている。それでいてお腹周りはキュッと引きしまり、スラッとした脚も素晴らしい。 …俺は何を言っているんだ。
どうせ罠だ。裏になんかある。
「今回お呼びしたのは他でもありません。魔族との戦争にご協力してほしいのですッ!」
ほら来た。嫌だね。神様も皆仲良く暮らす世界作れば良かったのに…と思ったけど神様はRPGを参考にこの世界を作ったんだな。そりゃこうなるわな。
だんだんと異世界に来たを理解してきたのかまたしてもカースト上位のギャルが叫ぶ。
「なんでそんなことせなアカンねん! はよ家に返せや! このブスッ!」
「ブースッ! ブースッ! ブースッ!」
「失せろこのババアッ! ホンマ迷惑」
すごいと思います。一国の王女にブス呼ばわりって。それを聞いていてぷるぷる震えている騎士がいる。
「ヘスティ王女に何たる言い草ッ! 不敬罪だッ! ぶっ殺して城門にその首を並べてやるッ!」
小物感半端ない青年が顔を真っ赤にして声を上げた。それを止めたのは意外な人物だ。
「まぁまぁ。私は気にしてませんから。」
そう言ったのは王女だ。
「皆さん協力していただけませんか?」
「ハイッ!協力させてただきますッ!」
やはりさっきの不良は素早くそう言った。それに続いてその取り巻きたちも
「俺たちも手伝うわ」
速攻で5人が決まった。
それに続いて一部の女子たちも
「剛輔君がそうするなら私も」
「私もね」
「じゃ、じゃあ私…も」
剛輔とは不良グループのリーダーである。弱い者をイジメたりパシらせたり女をとっかえひっかえとするクズ野郎だが顔だけはよいのである。何人かの女子も協力することになった。
次に声を上げたのは優等生の
「この知憲ッ!困っている人をほおってはいけませんッ! 是非協力させていただきますッ!」
「では俺もいくよ」
「私も協力させていただきます。」
「仕方ないよなぁ助けないとなぁ」
また何人か協力する方向性できまった。知憲はそこそこ顔も良いのだが、性格と頭の良さからとにかく人望がすごかった。コレでクラスの三分の一は協力することとなった。
「龍二くん…なんか痩せたね。」
そう言ってきたのは気弱な玉城だ。過去にイジメの対象になっていたが、最近ではなくなり、俺もよく話していた。
「そうか?」
「うん…なんか強そうだしね。」
「で、どうするよ? 龍二。」
訪ねてきたのは鬼瓦だ。家が近く昔からよく話す奴だ。
「協力しようと思う。」
「そうか? 意外だな。お前なら断ると思っていたよ。」
いや。これには理由がある。王国にいればおそらくはじめはこの世界について学んだり、戦闘について教えられたりするのだろう。つまりその期間内の生活費をタダにすることができる。最高である。
「龍二君が協力するなら…私もそうする」
そう言ったのは雫である。クラスのアイドルと言われる。容姿のよさ、良い性格、頭のよさ。どこをとっても最高クラスである。時折…さっきみたいな勘違いするようなことを口にするが、きっと俺が好きとかではないだろう。好かれてると思うなんて、そこまで自惚れてない。
「雫ちゃんが協力するなら俺も」
「僕…もそうするよ。」
「絶対協力で」
「協力待ったなし グフフ…」
男子はほぼ…いや、全員が協力の方向性に決定した。女子もしばらくかかったが、協力することになったらしい。最後まで拒否していたのはギャルたちだという。