00 「その3 神との別れ。異世界へ立つ」
《…ということです。》
俺は髪無禿気流からいずれ暮らす異世界の情報やその他必要な情報、知っていて損をしない情報を教わった。…いや、直接頭にインプットされた感じだ。
この髪無禿気流だが、寝ている間は意識が本当の時間から外れさせる効果があるそうだ。なので俺の肉体はとっくにできているらしい。
なぜ知っているかというと、寝ている間にこの意識の中に見習い神様からの質問や報告が届けられたからだ。
体感時間およそ2時間前に肉体が完成し、起こすか星が完成してから起こすかを尋ねられた。俺は星が完成してから、と答えた。次にどのくらい星が発展してから起こせばよいかを聞かれた。俺はある程度の文明が発展してから、そう答えた。
情報のインプットは思いの外早いので髪無と雑談をしていた。地球で神川龍二として生きていた時の話。太っていた話。高校生として生きていた話。いや、死んでないけどな。
学校でのスクールカーストの話。嫌な思い出だ。俺は直接的な被害を受けてはいなかったが、あの空気は嫌なものがある。しかし、楽しかった友人との思い出もあり、複雑な心境になった。
《地球の友人とお会いしたいのですか?》
髪無はそう聞く。俺はフッとこう答えた。
「まぁ…いいやつもいたし。楽しくないこともなかった。できることならもう一度会いたいかな。」
《わかりました。報告しておきます。》
俺は首をかしげた。
「え?」
しばらくの沈黙。それを打ち消したのはあの声だ。
『終わったよ。これより君の肉体を入れ替えてもいいかい?』
心残りはない。それに新しい肉体も俺の面影残る肉体だそうだ。怖がることはない。楽しめ! この非日常を楽しまなければ!
「よろしくお願いしますッ!」
目を覚ます。…いや違う。目は覚める。目の前には見覚えのある青年が。あれ? 確かここに来たときはまだ見習い神様は少年の見た目だった気がする。
「思いの外時間がかかったよ。参ったね。」
見習い神覚ますはそう言う。
「あ! もう見習いじゃないからね。正真正銘、創造神さ。」
ここで一つの疑問が。
「前の創造神様ってどうなさったんですか?」
「え? 今も現役だよ」
俺は大きな勘違いをしていたらしい。創造神は一人なんて決まりはない。創造神は100人を超えるほどいるのだッ!
「じゃあ新しい肉体の確認をしてくれ。まずは外見。」
そう言って鏡が出現した。その瞬間俺は目を見開いた。痩せていて、それでいてまさしく見慣れた俺に限りなく近いイケメンがそこにいた。
「太って…ない。太ってないぞォォォオオオ! それに顔も俺らしさを全面に出した上でカッコいいッ! いィィイやァァアッッッフーィ!」
柄にもなく俺は声を張り上げた。神様もやれやれだぜ、とでも言いたそうな顔をした。
「次は内面。ゲームで言うステータスや能力の確認をしてもらおうか。しかしここは神界なんでね、ステータスの概念がある世界じゃないんだ、残念ながら。」
そ~なのか。ガッカリ…
「しかしッ!」
え? 俺の目に希望の光が灯った。
「このリングッ! これをつけてくれッ! このリングは作る異世界を体験できるリングだッ!」
「うおーッ!」
俺は叫んだ。神様の手からリングを受け取りすぐさま自分の手に装着した。
「そしてステータスオープンって叫んでッ!」
神様も興奮して叫ぶ。
「ステータスオープンッ!」
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俺は新しい肉体の素晴らしさを体験した。
「新しい肉体を堪能したかい? ではそろそろ僕の作った世界に行ってもらう。」
髪無からインプットされた情報を思い出した。今から行く世界には異世界人召喚の秘術がある世界だそうだ。そこに召喚される形で行くらしい。
また、その世界に召喚された異世界人は神様から一冊の本と何らかのアイテムや装備、お金などが送られるという設定…じゃなかった。危ない危ない。まぁ、それらが送られる世界らしい。
楽しみだ。これから行く世界が。これから歩む人生がッ!
「では送るよッ!」
俺の意識は暗転した。
小説書くの楽しいですね。
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