表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
傭兵と戦場と学園生活(新)  作者: 腐乱死体
0章始まりの戦い
3/53

地上最強のスナイパー

チート回

「うーん」

 SDVについたスコープを除きながら、俺は軽く唸り声を出す。

「防衛網突破したせいで、警備が頑丈になっとるなぁ」

 これじゃぁ強化外骨格を着ての潜入は無理かなぁ…

 俺は大きな川が街に入っているのが見えたので、かるくバイザーにここら辺の地理を映す。

「あの川から侵入できるか…強化外骨格の生体維持はざっと見積もって2時間…泳いで中心部まで行くのに2時間か…」

 ふむ…できないことではない、いざとなったらメットはずして強制換気すればいいだけだし。

 俺は川に飛び込むと、換気システムを切り潜水体制に入る。

 バイザーに生命維持時間が表示され、俺はその数字を確認しながら潜行する。

 水は少し濁っているので、多分ばれないだろう。

 GPSで位置確認と、ソナーで前方の状況がどんな感じになっているか知らないといけないが…


 私は、ホームステイにきた国で、クーデターに巻き込まれこの国の首都にいまだ縛り付けられている。

「はぁ…どうしてこうなったんだろ」

 短くそうつぶやくと、夜の川を眺めていた。

「へい、嬢ちゃん俺たちと一緒にあそばねぇか?」

 下種な言葉を吐きながら、声をかけてきたのはクーデター軍の兵士だった。

 私は黙ってやり過ごそうとすると、いきなり腕をつかまれる。

「冷たいなぁ、ちょっとぐらいいいじゃん。」

 下種な笑い声が耳をくすぐり、私はその兵士をにらみつける。

「やめてください」

 私の腕をつかんでいないほうの腕が、服にかかろうとした瞬間、兵士の体がふきとんだ。

「レディを無理やり襲うもんじゃないぜ?とりあえず。目を伏せてろ」

 声の主の姿を確認する前に、私は言われた通り目を閉じる。

 最近聞きなれたサイレンサーから射出される銃弾の音を聞き、何が起こったのかを理解した。

 その後の水に何かが投げ込まれる音は余計だと思ったけど…

「もういいぜ」

 全身真っ黒い、まるで機械のような男性が立っていた。

 男性は、ヘルメットを外すと、綺麗な金髪を風になびかせる。

「ふぅ、災難だったな」

「……」

 PMCのひと?にしては若すぎる…

「皇国の人間か…今すぐ身を隠せる場所に行け、いまから首都は戦場になる」

 銃を取り出し弄っている男性は短くつぶやいた。

「…わかりました」

 私はホームステイ先に帰るために走り出した。

 なぜだか…あの男性とはまた逢えそうな気がする。


「ふぅ…薬莢湿気てないとか…すごいなこの強化外骨格」

 皇国の人間まで巻き込まれてるとか…さっさと終わらさないと国外避難もできないだろ…

 どうやら大使館も大して機能していないみたいだしなぁ…

「さてと…巡回用のAIをどうにか手に入れるか引きずり出せないものかなぁ」

 まぁ考えてもしゃぁないな…

 メットをかぶると、バイザーに情報を表示する。

 バイザーに警告文が現れる。

「ん?警告…心拍数増加…は?」

 激しい運動をしたにはしたが…ここまで心拍数が増加することはないはずだ。

 強化外骨格のサポート機能が生きていれば…

「バッテリー警告も、システム不全の警告も出てないから…原因不明か…」

 まぁいい、前に進もう…

 歩き出す俺の足取りは軽く、まるで疲れが吹き飛んでいるかのようだった。

 俺は敵の中にわざと身をさらす。

「こいよ」

 敵を引き連れながら、夜の街をかける。

 街灯と月明かりに照らし出されながら、ドラム缶に手足をくっつけたような機体が現れる。

「来た!!」

 俺はコックピトに向けて弾を射出する。

 ひゃは敵がなぜか起動停止する寸前後ろに飛び乗り、コックピットを強制的に開き、死体を取り出すと期待を動かす。

 動くたびに振動がえげつないほど体に来るが、許容範囲内だろう。

『警告…ミサイルにロックされています。』

 俺は手早くレバーを引き、移動させながら。

 スイッチを押し、チャフを展開する。

「そう簡単にロックはさせねぇよ…」

 つぶやきはどこか遠いところに消えていく。

 むせる様な硝煙の香りと、火薬の破裂音に乗って…


「なんなの…」

 家に戻った瞬間、外から爆発音が聞こえ始める。

「さっきの人なの?」

 正規軍でも抑えられなかったのに、無茶だと思いだす。

「…何を起こそうと…」


 遠隔操作プログラムは積み込んだ。

 バイザーにはシステムコンソールが映し出される。

「二世代型といっても内部コンピューターは搭載されているのか…というか…」

 二世代型に自立行動も指定できる制御コンピューターを搭載し、駆動系統弄ってるカスタムとか…いくらかかってんだ?

 四世代型買えよと思うのだけど。

 敵を適当に巻いたところで、脱出装置で脱出し適当にAIを走らせる。

 さてと…立ち込める銃撃の音を聞きながら首都にある議会へと向かう。

 おそらくそこに中将がいるはずだから。


「逃げるからしたくしなさい」

 ホームステイ先の家族が、避難準備を始める。

 私はそれについて外に出た。

 外に出ると、兵隊がうろうろしておりロボット兵器が外に出ている。

「正規軍に、ここまで押し返す余裕はないはずなのに…なんで今このタイミングでくるかねぇ」

 受け入れ先のおばさんが、つぶやく。

 たぶん、彼は…正規軍じゃぁない。

「きゃ…」

 気づいた時には機動兵器が目の前に立っていた。

「おっとあぶねぇ」

 そんな声が聞こえたと思うと、真っ黒な男性が再び私の前に現れる。

「このまままっすぐ走れ、間違っても議会には近づくなよ」

 その声は、どこかため息を含んでいた。

 彼は機動兵器に持っていた銃を向けると四発きれいに関節にあてる。

 効いた様子もないのに起動停止したロボットを見て、私は驚く。

「んじゃ…無事に逃げろよ」

 そういって彼は立ち去っていく、議会の会議場に向けて。


「まさかなぁ」

 今日のうちに彼女に再会するとは、思わなかった…

 俺の目の前には、議会の会場が見えてくる。

「警備はざっと見て、20人…新兵じゃなくPMCからの派遣人員か…」

 なるほど、確かに新兵よりかは役に立つ。

 戦場慣れしていない駒か、慣れている駒どちらを知覚に置くかをわかっている。

「全員始末してもいいんだけど…」

「おい…」

 俺は振り返ると、そこには一人の兵隊がいた。

「ゆっくり銃を起きヘルメットをとれ。」

 俺は言われた通りSDVを置き、ヘルメットを取る。

「へ…っげ、お前…」

 俺は軽く男の顔を蹴りあげ、マウントしている拳銃を男の頭に押さえつける。

「よぅ、アルフサンドル・L・ロストマン。」

 屈強な男は、おびえた目で俺の顔を見つめている。

「アリストアルト防衛線の時以来か?なぁアルフ…」

「な…なんで『夜明けの狼』が正規軍に加担してやがる…」

 俺はため息をつく。

「そういうのは、社内特秘事項名の知ってるだろ?まぁいいや、どうやらクーデター軍の上層部がうちの上層部相手に、何かやらかしたらしい」

「…なぁここで見逃すから、俺のこと見逃してくれね?」

 メリットがないと切ろうとしたが、一応は旧知の仲である。

「まぁお前とは古い仲だし…殺しとくか。」

「おい、古い仲とか言いながら殺しにかかるな」

「昨日の友は今日の敵がこの業界じゃなかった?」

 しかもこいつは…まぁいい…

「じゃぁとっておきのネタをばらす。実は…」

 俺はにやりと笑う、生に執着した傭兵など所詮こんなものだ。

 傭兵でも、忠誠心の強いものもいるがこいつはゴミ屑タイプだからなぁ…

 さて話を聞くとしますか…


 俺は目を細めながら、目の前を駆け抜けていく第四世代型AI、フレイア4機をにらみつける。

「どうすっかねぇ…」

 第四世代型は、生身での破壊報告がない。

 しかもこっちは、AIなんて特殊な装備がないため生身での戦闘にならざるおえない。

「正司、これからどうする。」

 同僚に言われ、俺は軽く片目を閉じる。

 背中に担いでいた試作ライフルを軽く見た。

 こいつは、第四世代型相手に歩兵が戦う事を念頭に入れ開発されたものだ。

 たぶん…この銃ならいける…いけないといやだ。

「…いったん部隊を引かせろ、第四世代型AIの相手はむりだろ。」

 試作品のライフル…弾は20発しかないから、ミスしたら死ねるねぇ。

 AIすべてに言えることなのだが、関節部分が一番装甲が弱い。

 第四世代は一応アンチマテリアルライフルでないと、貫けない装甲の厚さにはなってはいるが…

「…正司…それでどうするつもりだ?」

「はたして、生身は第四世代に勝てるのか…ってやってみたくない?」

 撤退命令の信号弾が打ち出される。

 スコープ越しに、タイミングを合わせる。

「おら!!」

 トリガーを引くと衝撃と共に、鉄の巨人が片足を引きずるようにこちらに向かってくる。

 反動で、しびれた手を無理して、巨人が武器を持っている方の腕を打ち抜く。

 俺は大将みたいに、前線に突入して暴れる才能はないけど…こうやって動いているものを打ち抜く才能はある。

「ビンゴ…」

 敵が武器を落としたのを見計らって敵の足関節にもう一発いれる。

「全員無事に撤退しました」

「ありったけの火薬を準備…俺はこのまま殿を続ける。準備が整っていなくても、一時間後に進軍を開始しろ」

 モシンナガンを片手に持ち、ライフルを肩に担ぐと歩き出す。

「さぁて、あと残り四機…さっさと片付けるぞ。」


「ほぅ…フレイアが4機導入されているのか。お前んとこのPMCはよっぽど豪気だな」

 俺は煙草をもらい一服突きながらそうつぶやく。

 まったくいくら金を積んだんだ、クーデター軍も…

「あぁ…それだけまじなんだろうさ。クーデター軍も」

 二本の紫煙が立ち上がり空へと消えていく。

「…つうか普通にタバコ吸ってるけどこの国16歳からじゃなかったっけ?」

 俺はマウントしている銃を取り出し、アルフのこめかみギリギリのところに弾丸を通過させる。

「あぁ?こまけぇことはいいんだよ。どうせ警察機関は機能していないしな」

 アルフは震えながら、俺を見つめてくる。

「なぁ俺みたいにあそこを離れる気はないか?」

 友と笑いあい、戦場で安心して背中を合わせれる場所を思い浮かべ軽くため息をつく。

「ないな…あの場所は居心地がいい…」

 目を細めながら、これから潜入する建物を見る。

「防衛網で暴れてる間に、侵入…なかなかいいあんだ。しかもAIを奪って街中で暴れさせている。お前がここまで来ていることがわかる兵士はいないだろう。だけど、これ以上進むなら…いくらお前であっても死ぬぞ?この先にいるのは、うちのエースたちだ」

 だからどうしたというのだ…行くなとでもいうつもりか?

「うちのエースね…俺がそれで止まるとでも?俺を止めたかったら、超能力者もってこい。物理法則捻じ曲げるタイプの」

 この世界には多少の超能力者も存在している。

 銃で撃ち殺せないタイプの能力者は俺は嫌いなのだ。

「…いるぞ、一人だけだが…」

 うへぇと俺は声を上げ、ヘルメットをかぶる。

「まぁとりあえずはサンキューな。対策はとれる」

 SDVをつかむ手に熱がこもる。


「あと三体」

 強化外骨格を身にまとっていないため、こいつをとまってでしか打てないのが、口惜しい。

 走っていたがつまずいてしまい、対AI用のまるで戦車砲のような銃口が俺に向く。

「はは…俺も死んだか?」

 まったく、短かったが…いい人生だったぜ。なぁおい!!

 あの時、手を差し伸べてくれた大将の姿がフラッシュバックする。

 第二世代型AIフォルテッシモが、フレイアを殴り飛ばす。

「なっ!!首都警備に回されてたはずの機体がどうして…いやそれより誰が!!」

 そんなことよりと、俺は正気に返り銃を構える。

 戦える…俺はまだ戦えるんだ。

『後方排気ダクト…その銃だったら打てるはずだ。第四世代型の弱点はそこだ』

「お前今!!」

 言われた通り、ダクトに狙いをつけて撃ち放つ。

『ただの遠隔動作だ。俺は議会場に乗り込んだところだな……エースクラスがいるから、此奴の運転が適当だがな』

 潜入して、そのうえ遠隔操作までするなんてな。

 俺はスコープを覗き込み、フォルテッシモに向かうフレイアのダクトを撃ち貫く。

「流石は大将だぜ。」

 俺はわくわくしながら狙いを定める。

 背中を預けることのできる人間がいてくれることが、うれしいのだ。

「狙撃能力だけが高くてもダメだ。」

 必ずと言っていいほどど、狙撃を抜けられる。

 AIという兵器が出てきてから特にだ。

「仲間がいる…俺には仲間が居るんだ!!」

 たった二人…でも、最高のコンビは鉄のきしむ音と叫び声を上げる。

「はっは、これだ…」

最後の一台を撃破すると、フォルテッシモが起動停止する。

『こいつはすきに使ってくれ。これから俺は『アホウドリ』の連中とデートしてくるから』

 …あぁ…あのPMCも一枚かんでたのね。

「おうがんばれ」

 ほどなくして、軍靴の音が聞こえてくる。

「さぁて、第二幕はじめようか!!」

 撃破されたフレイアから立ち込める炎が辺りを照らす。

 俺はライフルを背中に担ぐと、モシンナガンを構えゆっくりと歩きだした。

「全軍、突撃!!」

 高らかに宣言するセリフは、風に乗ってどこか遠くに飛んでいく。

 まるで、別の場所にいる大将に届けるかのように。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ