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剣と愛の果てに  作者: 芳賀さこ
第七章 追憶に生きる剣士
89/201

武道大会

都合によりあまり更新が出来ませんでしたが、愛読して下さった皆様に感謝です!! これからもがんばって執筆したいと思いますのでよろしくお願い致します。

 武道大会当日、会場の受付は大勢の腕自慢で剣士でごった返していた。

 息子のスティールとセージは事前に手続きを済ませていたので他の剣士よりもいち早く闘技場へ到着した。

 両者の父親達は会場の中央に設けている主賓席に座って開始を待っていると、やがて開幕の花火が上がった。

 早速、スティールは一回戦の登場となり一歩足を踏み入れると割れんばかりの大歓声で迎えられた。

 経験したことのない雰囲気に慄いた彼が振り向くとアリシアは力強く頷いた。

 シオンの采配とアリシアの指導が講じて、初戦を快勝したスティールはこれを皮切りに次々と勝利を重ねていく。

 カズラの息子も着々と決勝戦へ駒を進めてきていた。

「あの息子、口だけではなかったようだな」

「元々素質があったみたいね。それに指導している師も一流だわ」

 錚々たる顔ぶれの剣士に囲まれているセージはシオン達の視線に気付いて嘲笑しているのが見てとれる。

「俺達を見下すとはいい度胸だ」

 シオンも不敵な笑みで返してやった。


 決勝戦は、セージとスティールの一騎打ちとなった状況に一番驚いているのがカズラである。

 あの軟弱な体で正直ここまで勝ち残ってこれるとは思っていなかったからだ。やはり、シオンとアリシアの存在が大きいのか。

 カズラは、両隣りにいる来賓に闘技場に立っている息子を指差しながら何やら話している。その表情から恐らく自慢でもしているに違いない。

「いよいよご子息の出番ですな」

 隣にいた男がブーゲンに話し掛けた。

「カズラ卿の師の方々も素晴らしいが、スティール殿の後ろに控えている若者も立派な剣士だ」

「『漆黒の剣士』に『美しき死神』。まさに今を代表する二人ではありませんか」

 両名の噂はこの小国でも知れ渡っているだけにブーゲンもこの偶然に感謝していた。

 息子が自身の名誉のためにこの武道大会に参加することは承知している。だが、剣士としての強靭な体がない彼に無駄な争いで傷ついて欲しくなかったのだが、シオンは勝てると異常なまでの自信で説き伏せてきた。

 それはまるで「父親であるあなたが息子を信じないでどうするのだ」と責めているようにも感じた。

 昔、友によく言われてきた台詞が甦る。


 お前は慎重過ぎる。頭だけで考えていると好機を逃すぞ。


 そうしたら、自身の人生も変わっていただろうか。

 闘技場の控室にいるブランデー色のアリシアを見ていると、今となっては結果論だが思わずにはいられなかった。

 

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