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電脳サバイブ  作者: りとます氏。
フリーターと真夏日
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フリーターと真夏日(非日常編)

クソッ!なんで僕がこんな目に遭わなきゃいけないんだよ!


僕は誰もいない町の中を必死で走った。頭の中では危険を察知して警報が鳴り響いている。後ろからは山村千鶴と名乗るさっきの女がナイフを片手に僕を追ってきていた。僕は大通りを必死で走り続けた。


正直この状況は僕にとっておそらく不利だろう。たぶん彼女がこの町から人や車を消したのだろう。そんな人なら追いかけるのにも何かしらの細工はしているのだろう。たぶん逃げても無駄なのだ。


そんなことを僕は冷静に考えていた。あまりに現実離れした状況でなんだか冷静に客観的に自分が見えてしまっていた。


しばらく走るとやはり疲れてくる。息が切れる。足が千切れそうになる。しかし客観的であっても僕の中の防衛本能が激しく警鐘をならし続けていた。捕まったら…分かっているな?…と。


だが体力の限界は意外とあっけない。もう走れない。限界だ。足に全く力が入らない。僕はそこに立ち止り、膝に手をついて肩で息をしていた。たぶん1,2分程度しか走っていないだろう。しかし、仕事の時も家にいる時もパソコンをいじってばかりで、運動とはかけ離れた生活をしている僕はもう動きたくないほど疲れてしまった。


後ろを振り返ると女は僕に向かって走ってきていた。ダメだ、早く逃げないと。僕は足に力を込めてまた走りだした。大通りを走っていたら埒が明かない。そう思い、僕は一本の路地に逃げることにした。




自分の住んでいる町といえど、ふだん通る道と大通り以外はさっぱり道が分からない。路地に入ったのはいいものの、すっかり迷ってしまっていた。

今、女は追ってきていない。路地に入ってしばらくしたところで撒くことができた。しかし依然として町が元通りになる様子はなさそうだ。時間がないとか言っていたからおそらくこのまま逃げ切れれば僕の勝ちだ。さっさと時間とやらがきてこの悪夢が終わってほしかった。


僕はあたりを窺いながら慎重に狭い路地を歩いた。曲がり角に来るたびに、顔をだして女がいないか確認して歩いていた。FPSのゲームの登場人物になったような感じだ。うまく言葉で表現できないようなドキドキ感だった。この時間違いなく僕は恐怖よりも好奇心が先行していた。


路地に入りこんでから10分ほどたった。依然として女と遭遇する気配はない。だがここで気を抜いたら間違いなくぼろが出てしまう。僕は心の中で気合いを入れなおした。そこで曲がり角があった。僕は今までと同じように慎重に顔だけを出して様子を確認しようとした……


その瞬間、突然モノトーンだった路地裏が真っ赤に染まった。同時に、体中に激痛が走った。


熱い、熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い!


体中が焼けるように熱かった。


僕はやっぱり死ぬのか……


こんな暑い日に…

体中こんなに熱い状態で死ななきゃいけないなんて…

やっぱ、夏なんてろくな季節じゃないな……


そして僕の意識は徐々に消えていった。


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