表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/43

第二幕は静かに上がる

なんとか投稿。

帝国暦294年7月8日 スルムン河


「現在、河川用貨物船3隻、橋渡し船18隻、小型船32隻、徴用しました」

ここには現在、船の徴用に向かっていた兵士がスルムン河流域各地からかき集めた船とともに雑然と集まっていた。大小さまざまな船が一堂に会している姿は意外と壮観というよりは大きな事故があったようでなんとなく落ち着かないものだ。

「順調ですね。何人くらい運べそうですか?」

ヒエンはここ数日で急速に集まってきた船に帝国南部、いや皇女領領民の皇女軍に対する支持が意外と高いことにヒエンは安堵しつつ、実務的な質問を徴収部隊の兵士に尋ねた。まあ、徴用といっても後で大きさに応じて賃金を出すといったことが大きいのかもしれないが。

「そうですね・・貨物船に30名、橋渡し船に15名、小型船が5名ほどですから・・・合計で・・・ええっと・・」

「520名ほどですね・・」

やはり計算ができる人材が少なかったことに苦笑しつつ、ヒエンは素早く暗算し自身で答えた。

「ええ、大体そのくらいかと」

「無理すれば600は行けますかね?」

「・・・・なんとか大丈夫ではないかと・・」

すでに各地に徴用部隊を派遣して2日が経過している。派遣した部隊の実に8割がすでに帰還しており、これ以上、船が集まることに期待はできない。

「・・・わかりました。選抜しておいた800名のうち600名を乗せてください。200名は第2便とともに向かってください。指揮はマイに任せます」

「・・・いえ、私は若と」

「だめです。この部隊には指揮できる人間は貴重なのです。無駄使いはできませんよ」

「アンリ様がいらっしゃるじゃありませんか!」

「・・・・・彼女は基本的にオブザーバです。しかも彼女の目的は私の観察ですから基本的に別行動は不可能だと思いますよ。・・・この間も能力が発動したのを知ってからが大変だったのですよ・・」

どこか疲れたようにヒエンが笑う。実際、能力切れで倒れた後、つきっきりで看病という名のデータ測定は気を失っていたヒエンが飛び起きたほど過酷なものだった。時代が時代なら彼女はマッドサイエンティストと呼ばれたことだろう。

「・・・わかりました。今回だけですよ!」

しぶしぶ納得したように引き下がるマイ。しかし、その眼は恨み節全開だ。

「では、予定より少ないですが、一時間後に出発します。目的地はアッツです」



ここで状況を整理しよう。聖十字騎士団は宿場町での奇襲を受け戦力を2600まで減らしていた。野戦での十分な勝利が難しいと考えた指揮官はさらに皇女領を南下する。目標はリンドブルムであった。この動きを察知したヒエンたちはリンドブルム南東20キロにあるアッツに、さらに皇女軍主力部隊はリンドブルム北方40キロにあるノートルにそれぞれ向かっている。土地勘がない我々にはわかりにくい事実だが実は宿場町からリンドブルムに向かうには最短コースの旧道を進むより大きな遠回りに見えるスルムン河からアッツ経由で向かった方が早いのだ。これは旧道が荒れている、細い道なのでスピードが出しにくいということもあるが、河を下る方向なのでスピードが速い、さらにスルムン河が重要な水路として整備が進んでいるという事情もある。ノートルは先ほども少しだけでたが主要街道に近く交通の便が良い。おそらくあと3日ほどで皇女軍主力部隊が街に入ることができるだろう。


つまり

聖十字騎士団 リンドブルム北西20キロ付近に進軍中、あと2日で到着予定

ヒエン軍 現在、スルムン河を南下中、半日ほどで先行部隊がアッツに入城。リンドブルムには通常さらにあと2日かかる。

皇女軍主力部隊 あと3日でノートルに入城予定。


と、こうなっている。やや聖十字騎士団が有利にも見える状況でカギを握るヒエンはいかなる行動を起こすのか、様々な思惑が絡み合う中、船上の人となっているヒエン以外、それを正確に知る者はいない。


そして


帝国暦294年7月10日 リンドブルム


聖十字騎士団がその姿を現した。


短いです。すいませんでした><次回は長くなる予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ