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交渉中

再び舞台は東部辺境領に戻る。


「いや、やっぱりありえないわね。おほほほほ」

「?確かにそれは分かりますが・・同姓同名の別人、あるいは騙った他にエルフがいるのでは?」

動揺するロゼッタにマイが疑問を差し挟む。

「バカなこと言わないで!!」

いきなり大声を上げたロゼッタにその場にいた全員がビックと体を揺らした。

「急に・・・・ビックリするじゃないか・・」

いち早く立ち直ったヒカルが耳の穴をこすりながらそう文句を言った。

「・・・すまなかったですね。でも始祖精霊の名前を騙っるなんてエルフ族なら考えもしないことなのよ。冗談でもいわないで!!」

「お、おお・・・」

あまりの剣幕にドン引きなヒカル。どうやら彼女たちエルフ族にとって始祖精霊は特別な存在らしい。

「ん?待ってくれ」

今度はヒエンが何かに気付いたように深刻な顔をして手を挙げていた。

「何かな?ヒエン君」

落着きを取り戻したロゼッタは余裕ぶって返事をした。

「ええっと・・・エルフは始祖精霊の名を使わないんだよな?」

「ええ、そうよ」

「でも、遺跡に新たに物を置いたり、こんな場所を提供できたり、まあ、うちの母親があったのは間違いなくエルフだろうし・・」

「まあ、状況からそれは間違いないでしょうね」

「・・・じゃあ、本人なんじゃ・・・」

「・・・・・・・・いや、でも、まさか・・・」

再び思考のループに落ちいたロゼッタはまたぶつぶつとつぶやき始めた。

「ハイハイ!!」

ヒカルが手を大きく2,3度鳴らし、全員の視線を集めた。

「まあ、そんなことはどうせここじゃ答えは出ないんだろ?そんなことをここで気にしても仕方がないじゃないさ。問題はこれからどうするか?だろう」

さすが年長者。うまく人をコントロールする。まあ、実際はロゼッタの方が圧倒的に年上ではあるのだが

「そ、そうだったわ。まあ、レイン様が本物かどうかは置いといて、遺跡の調査は必須よ。何者かは不明ですが遺跡に手を加える者がいる以上、早く行うことにこしたことないわ」

「「・・・・・そうですね」」

しぶしぶヒエン、マイの二人は同意した。

「同意も得られたことですし、さっそく・・」

「ちょっといいですか」

「むっ」

今度はロゼッタが割り込んできた。

「たしかアンリさんは森林国の高官でもあるんですよね」

「へえ、よく知っているわね。そうよ。私はあなた方でいうところの国務次官、かしらね」

あっけらかんとした様子でさらりと答えるアンリ。

「「「な、なにいいいいいいい!!大丈夫か!?森林国~~~~」」」

辺境領の面々は絶叫した。

「どういう意味よ!!それ!!」

「だって、それってヤバイでしょう」「フットワーク軽すぎです」「ていうか仕事は?私、ここの仕事でも死にそうなんだけど」

「はいはい!!ストップストップ!同時に喋らないで。さすがに私でもわからないわよ」

やれやれといった感じであきれるアンリ。

「ぶっちゃけ、森林国の高官なんて下っ端の役職でね。私もやらされているってわけ」

自嘲気味にいうアンリの顔には影がある。

「でも、そんなお偉いさんがこんなところうろついていいわけ!?」

ヒカルのごく当たり前の疑問が浴びせられる。

「ああ、うちらって意外と気が長いから・・・数年くらい仕事しなくっても大丈夫だって!!」

自信満々と言っているように見えるが若干、顔色が悪い。

「・・・まあ。それは信じましょう。ですが我が国での発掘、調査を認める代わりに・・」

「あら、遺跡調査権は真実の目それ自体に与えられている権利よ。貴女の、特に実権のないあなたにそんな権利はないと思うけど?」

互いに目を細めあって火花を散らす二人。

「・・・あら?私は現在、こちらの高野ヒカル辺境伯爵の後見を得ています。この辺境領では私の権威は確立していますのよ」

「どちらにしても、ギルドに与えられた権利を侵害するようなことができるはずがないわ」

「ギルドの規約では遺跡の調査はその国の人間に与えられるもので森林国の高官であるあなたにそんな権利はない、と記憶しておりますが」

「確かに、でも、それは初めての遺跡調査の場合でしょ。私は最高幹部として遺跡の再調査に同行するだけよ」

「あら、最高幹部だったら我が国にもボルト教授という第一人者がいますよ?わざわざ貴女がいらっしゃることもないと思いますが」

なんだか、物理的に火花が出ている気がする。それほど辺りには柄も入れぬ緊迫感がおおている。

「ちょ!!私があの陰険くそ野郎劣るっていうの!!あの野郎!!まさかこっちとかぶる研究を始めるなんて!!あの恩知らずがああああ!!!!!」

想像以上の反応に思わずロゼッタの下が凍りつく。そして ギン という擬音が聞こえてきそうな眼光をアンリはロゼッタに向ける。

「それともあんたもあいつの肩を持つっていうの?」

打って変わって落ち着いた感じで言うアンリ。その威圧感は半端ではない。しかし、そこでロゼッタ帝国皇女は値千金のセリフを吐いた。

「ボルト教授の研究はその対象エリアの広大さがウリです。ですが、この東部辺境領の影響力が強まればこちら側の研究エリアは順次拡大していくでしょうね」

ロゼッタのセリフにびくっと面白いくらい反応するアンリ。

「・・・・ほお・・・どういうことかしら?」

「なにも難しいことではありませんよ。ここと森林国は隣国同士、仲良くしましょうってことです」

「・・・・・・・なるほど・・・帝国じゃなくて東部辺境領、つまりそこの高野ヒカルさんと仲良くすれエバいいのかしら?」

「ええ。彼女の力が増すことは私にとって悪いことではありませんし」

「でも・・・・あなたには余り利益がないと思うんだけ?」

「ふふふっ、そんなことはないですよ。で、どうします?悪い話ではないと思いますよ。貴女にとっても・・森林国にとっても・・・ね」

「・・・まあ、とりあえず誰かこちらによこすようにするわ。・・・それくらいしかこの場では返事をしかねるわね」

「それでかまいませんよ」

満面の笑みで答えるロゼッタ。

「・・・・とりあえず、遺跡の調査は進めさせてもらうからね」

そういうと一時間後に出発だと言い残してアンリは去って行った。


「いったい何を考えているんだい?ひやひやもんだったよ」

ヒカルが言うようにこの時代、エルフ族の技術は驚異的だった。この東部辺境領ができたきっかけであるゴーレム戦争は今でも語り草だ。もし、彼女が機嫌をそこねて開戦となったら間違いなく全員、この世から永遠の別れと告げることになっただろう。

「大丈夫ですよ。こちらから仕掛けない限り森林国が攻めてくることはありませんよ」

そういって帝国皇女は優雅にほほ笑むのであった。


一時間後

「出発!!」

装備を整えたアンリ、ヒエン、マイの3人は馬に荷物を満載して出発していった。

「ヒエン・・・襲うなよ」

ヒカルに何を言われたかわからなかったようにぽかんとしていたが

「お、おそわねーよ!!」

急に顔を赤くし叫んだ。確かにはたから見えば両手に花の状態だ。

「だ、第一、一人は年・・・」

「何かな?」

「な、なんでも!!」

やはり眼光が半端ではないアンリが視線だけで黙らせた。マイはその様子を見てやれやれといった感じで首を振っていた。


短めです。多分暑さのせいです。この暑さに参ります。こういう風にした方がいいという意見とかあったらどんどんお寄せください。

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