真実の目
前回、投稿した時はテンションがおかしかったことが分かりましたが、このままつっきっります!
ギルド 真実の目は他の大手ギルドと大きく異なる独特の存在感を持つ組織だ。
一応、冒険者ギルドや傭兵ギルドや船舶ギルドと同様、世界規模の組織だが、本部、支部といったものはない。いや、厳密には本部だけはあるはずなのだが、誰もその場所を知らないのだ。ではどうやってギルドメンバーを募集するのか、それは実績が現役メンバーに認められると入団が許可されるのだ。ちなみにヒエンは未踏破の遺跡を3つの踏破、1つの未盗掘の遺跡の発見、それが認められてギルドに入ることができた。それほどの功績をあげて初めて入団が認められるギルド、そしてその幹部ともなるとどれほどの実績を積み上げてきたか想像することも難しい。
その雲上の人といえる幹部がヒエンの目の前にいるエルフ アンリ、その人でなのである。
「まったく、ただでさえこのエリアの団員は少ないのに・・・その団員がまさか裸族とは・・」
若干、あきれながら当たり前のように領主の館のいちばん上等な椅子に腰かけ頬杖をつきお茶を飲みながら完全武装の兵士に囲まれるというというシュールな光景を繰り広げていた。ちなみに部屋、屋敷の外にも何人もの兵士が控えている。
「あなたが真実の目の幹部だとは理解しましたが、いったい何の用でこんな辺境に?失礼ですが貴女はエルフだ。エルフ族はあまり領域外に出ないことで有名ではっきりいいますと我々は森林国からの侵攻を疑っているのですが?」
席を取られてヒカルがそれでも恐れずにズバッと聞いた。
「ああ~、なるほど・・この対応はそういうわけか・・いやいや、そんなつもりはなかったわ。私は報告にあった遺跡について興味があったんで調査に出てきただけよ」
携行がほぼ義務化されている真実の目の紋章の入った木札はもちろんただの木札ではない。様々な魔法の意匠が凝らされて逸品なのである。周辺の状況や装着者のコンディションを確認し、1分おきに周囲を撮影、さらに様々な情報を記録、配信するなどちょっとした性能を持っていたりする逸品なのだ。
「報告にあった遺跡の外観なんかが私の研究しているものとかなり似通っていてね。気になったからこうして出向いてきたわけよ」
そういって一気に茶を飲み干すアンリ。
「・・・・まさか、あの?」
そういうヒエンとマイの顔色は悪い。
「そう!報告は概要しかわからないようになっているし」
真実の目の目的は広く知識の共有である。とはいえそういった研究や発掘には資金が必要なのも明白。ただですべての情報を共有するのではなく、概要のみを共有し、さらに詳しく知りたい場合は金を出して買う。真実の目はその仲介を行っている組織でもあるのだ。
「というわけであの遺跡の調査報告の認証コードを売って!」
本来なら本部を通じて要請があるのだが、この人は幹部のくせにそんな手間すら惜しむほど早く知りたかったらしい。真実の目の木札は本部にあるという巨大情報記録装置に常時リンクしているらしく、認証コードさえ知ることができればどの木札でもその情報を取り出すことができる。基本的に情報の売買は認証コードの売り買いなのだ。
「・・・申し出はありがたいのですが・・」
と言葉を濁すヒエン。そして自分の腕をそっと撫でた。
「?何か都合が悪いわけ?私に少しでも恩を売っておくといろいろ有利よ」
挙動不審なヒエンの様子に気づかないのかまったく変わらない調子で押してくるアンリ。空気を読まない子だ。
「まだ、十分調査も済んでいませんし・・・」
逃げ道を必死で探すヒエンであったが、次のアンリの一言でその逃げ道を完全に失ってしまった。
「・・・・・・・頼み込んでいるのはそれが礼儀だからよ。真実の目 最高幹部である12使徒には情報の無限アクセスが認められているわ。どうしても情報を渡せないというんだったらその理由を教えなさい」
さきほどまで確かにあった温和な響きは失われ、冷徹に事実だけを求めてくる声。その声にヒエンは何も返すことができない。危険だから?いや一騎当千の魔法戦士といわれるエルフ族がガーディアンとはいえ高々、ワイバーンに後れを取るとは思えない。何もないから?石ころ一つでも盛り上がることのできる発掘家、研究者にいうセリフではない。いくつもの言葉はせり上がってくるが、それが空気を震わすことはできない。ヒエンが愚かではないことの証明にはなるかもしれないが、それは何の慰めにもならない。
一瞬ではあるが無限に思えるような深い葛藤の末、ヒエンの口から出たのは
ありのままの真実 であった。
そしてそれがすべての問題に原因に近づく第一歩となることにこの時点で気づけるものは誰もいない。
同時刻 旧氷原国
「ここまでやられているとは・・・・」
そうつぶやく男の傍らにはいつの間にか2匹の大きな猫類が寄り添うように従っていた。
「・・・・・すまないね、ソーエ。ここの修復に君を使うよ・・・・・・今までありがとう・・」
男はそうつぶやくと一匹の頭を念入りに撫でた。大きな猫は気持ちよさそうに喉をならすと、そのまま粉になって消えてしまった。
「・・・2000年間もありがとう・・・」
その声は届いたのだろう。地面から力強い脈動が始まった。
空き時間に打つと大分テンションが違うようで自分でもビックリします。いっそ完結まで書いてから投稿したほうが良いんでしょうか・・・・ご意見ください。




