ボスを突破
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38階層目に辿り着いた時、違和感を感じた。……風が強い。今まで以上に風がある。何というか、突風って感じの風だ。何かに掴まっていないと、吹き飛ばされそうな風だ。山だからそういう事もあるかもなとは思ったんだけど、一瞬で切り替えた。
「ボス部屋か! ティル・ナ・ノーグ展開! 風に気を付けろ! 敵は風を操る可能性がある!」
「飛んでる奴らは踏ん張るのさ! まだ敵は見えてないのさ!」
「一気に来るかもしれん! 周囲を警戒!」
そして、現れたのは、白い大鷲だった。……何の魔物だろうか。とりあえず、出来ることはする。
「コカトリス隊上がれ! キャバリシーもそれに続け! まずは地上に落とすぞ! 石化のブレス用意!」
「こっちでもデバフを掛けるのさ! オベロンとティターニアの召喚もするのさ!」
「ティル・ナ・ノーグ! キャバリシーも出せ! 出し惜しみなく30体全部だ! オベロンとティターニアも眷属召喚を頼む!」
空中戦から始まる。デバフを入れないと、かなりの移動速度だ。コカトリスやキャバリシーが全然追いつけない。風が向こうの味方をしているのが大きい。こっちは近づけない。
「先回りしようにも、風がな……。何とかデバフを入れて欲しい所ではあるが」
「デバフは入っているのさ。戦闘力も下げているし、移動速度にもデバフを入れてあるのさ。石化も試してはいるけど、効いてないのさ」
「なら、魔石をぶっこんでいけ。魔石はまだまだあるんだからな」
「了解なのさ! さっさと叩き落としてやるのさ!」
デバフが入ってあの速度かよ。マジでやばいな。風を味方に付けているだけあって、向こうの移動速度が早い。……まあ、キャバリシーもコカトリスも、飛ぶのが早い訳ではないからな。追いつけないのは、ある意味では仕方がない。
そして、何度目かのデバフ魔法で、石化が入った。どんどんと高度を落とすボスだが、急に巨大化しだした。
「巨大化!? そんなスキルもあるのか!」
「巨大化すると戦闘力が上がるのさ! 気を付けさせるのさ!」
「キャバリシー! 引け! コカトリスはありったけのブレスを叩き込んでやれ!」
「巨大化の弱点は状態異常に弱くなることさ! 魔石はいくら使っても良いのさ!?」
「幾らでも持っていけ! 倒せたらそれだけで儲けものだ!」
「巨大化した敵には、魅了が一番よく効くのさ! 食らうが良いのさ!」
巨体がぐらりとする。……そのまま倒れろ。魅了の怖い所は、行動不能になる所だ。動けなくなるんだよなあ。それで、もっと魅了を叩き込まれると、同士討ちを始める。行動不能、同士討ち、自死となっていく。まあ、普通に自死まで持っていくには、デバフにデバフを重ねないといけないから、厳しいんだけどな。ティターニアも魅了を使えるので、その辺は仕様の確認はしてある。
……もっとも、自死まで魅了をかけるには、相当な魅了魔法を叩き込まないといけないんだけどな。コカトリス相手にも、相当な魔石を要求されたと思えば、どれだけ難易度が高いのかが解るだろう。
しかし、貧乏神が言うのに、巨大化の弱点は状態異常と。まあ、自分の得意条件は知っているか。今まではそんな事をしてくる連中が居なかっただけで。……戦闘力が上がるってのは脅威でしかないんだよなあ。ただまあ、こっちにはデバフ特化の貧乏神が居るから、悪手ではあるんだけど。
行動不能になったボスに、コカトリスの石化のブレスが入る。普通に石化するんだな。そこからキャバリシーとコカトリスとレッドキャップが猛攻を仕掛ける。……倒すのは時間の問題だなと思っていたんだけど、思ったよりも倒すのに時間がかかった。何というか、戦闘力も上がるんだろうが、生命力も上がるんだろうな。何とも使い勝手が良いスキルなんだ。デバフにさえ弱くならなければ、って感じか。
「思ったよりも楽勝だったのさ」
「まあ、巨大化するスキルがあったからって感じだな。デバフ要員が居なければ、普通に苦戦するとは思うぞ。あそこまで大きくなると、石化のブレス1発ではどうしようもない」
「相性が良かったのさ。状態異常はこっちの得意とするところなのさ。……ただまあ、カードは落ちなかったのさ」
「それは仕方がないだろう? 何周かしてみないとな。……また登山をすることになるのか。グリフォンでショートカットしてもいいか?」
「2周目からは効率よくいくのさ。ショートカットを認めるのさ」
「周回する回数を増やさないといけないからな。……このダンジョンは1日で1周って感じになりそうだけど。コカトリスがなあ。突破するにはある程度の実力が必要になってくるだろうし。コカトリスとグリフォンのカードも粘りたいしな」
「戦力は多い方が良いのさ。粘るならどんどんと粘る方が良いのさ」
「だよな。がっつりと粘るって事で考えておかないと。何といっても、石化は強すぎる。大抵の奴には勝てるようになるだろ」
状態異常の中でも、ぶっちぎりで強いのが魅了。その次が石化だ。貧乏神はデバフのスペシャリスト。両方とも使えるが、石化のブレスは範囲デバフでもあるし、タンク殺しでもある。使えれば、もの凄く有益だとは思うんだよな。病院の防衛にも使えるだろうし、言う事なしである。
「さて、どんどんと周回しないといけないな。ボスもカード化させたいし。あれもカードとしては強そうだからな。間違いなくCランクではあるだろうし、下手すれば、貧乏神よりも格上かもしれないしな。……相性的な問題は、どうしても付きまとうとは思うけど」
「戦闘力だけでは、相性は計れないのさ。ちょっとあのボスには可哀そうかとは思ったのさ。こっちとの相性が最悪だったのさ。多分だけど、あたしが居なかったら、どうしようもなくて、撤退まであり得たのさ」
「だろうな。石化のブレスでは止められなかっただろうし。ティターニアの魅了攻撃も入ったかどうか。入っていれば、勝ち確だったんだろうけど。所詮は眷属の魅了攻撃だからな」
「その辺はカードと眷属の違いさ。カードが眷属に負けていたら、カードの価値が無いのさ」
「まあ、それはそうか。さて、周回をするのは確定なんだけど、どうする? 弱いのはスルーでいいか?」
「良いと思うのさ。ボスがCランクなら、何枚か欲しいのさ。巨大化のスキル持ちなら、戦闘力はカードに書かれているよりもあるという事になるのさ」
「巨大化って、どのくらいまでカードの戦闘力が上がるんだ?」
「巨大化の場合は、戦闘力が2倍に、生命力が5倍になるのさ。アタッカーとしても強いし、タンクとしても強いのさ。欠点は、デバフ耐性が半分になるのさ。あたしみたいなデバフ特化のカードが居れば、楽勝とまではいかないまでも、有利に戦えるのさ」
「貧乏神様様だって事だな。まあ、何周かしていれば、カードも落ちるだろう。出来れば、推定Cランクのカードだからな。3枚は欲しい。タンクとしてもアタッカーとしても使えるのであれば、そのくらいは欲しい所だな」
「さあ、頑張って周回をするのさ。どんどんと周回をして、カードを稼ぐのさ」
そうだな。カードを稼がないといけない。カードはどれだけあっても良いからな。戦力としても欲しいけど、グリフォンなんて移動用にも何枚か欲しいだろうし。日下部病院の守りもしっかりとしたものにしないといけないしな。
……確か、人間の集団が、野盗みたいな事をしているんだろう? そんなのまで居るんだから、防衛力を高めておくのは必須だとは思う。なんで人間同士で争っているんだよって感じではあるんだけどな。普通に協力しろよとは思う。
共産主義者なのか、若者の跳ねっかえりなのか。その辺は解らないが、何にしても迷惑な話である。何とか、その勢力も叩いておきたい所ではあるよな。野盗なんて必要ないというか、生き残っても仕方がないだろう? 潰しておく方が良いよな。……殺すのはどうなんだとは思うけど、殺さないと、カードは復活するしな。どうしたものか。終身刑なんて意味がないとは思うんだよな。




