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EVOLVE〜エヴォルブ〜 Season6 ― 氷の輪郭 ―  作者: 柊梟環
EVOLVE〜エヴォルブ〜 Season6 ― 氷の輪郭 ―
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第1章 侵入 ― 失われた信頼 ―

夜の静寂は、ときに真実を暴く。

ほんの小さな判断が、

信頼という名のシステムを揺るがすこともある。


――AM 3:42。

ブルームトラベル本社、情報システム部。

夜のオフィスに光っているのは、モニターだけだった。

人工灯の白が、まるで冷たい月光のように床を照らしている。


その中で、成田理沙なりたりさの指が震えていた。

画面に走るコード。

何度も確認したアクセスルート。

――ほんの少しの修正なら、大丈夫。

誰にも気づかれない。

完璧なシステムに、少し“都合のいい補正”をかけるだけ。


けれど、わずかなタイピングミスが、

その夜の運命を狂わせる。


――アクセス拒否。

――再試行。

――エラー。


理沙の瞳が、一瞬、光を失った。


次の瞬間、モニターの一部が赤く点滅する。

警告音が静寂を切り裂くように鳴り響いた。


「……嘘……」

呟きは、誰にも届かない。


赤い警告が連鎖していく。

データベースへの不正侵入。

セキュリティ壁突破。

全ログ自動転送――。


画面の奥で、何かが確実に“入り込んでいた”。



◇◇◇



そして、朝。


エレベーターのドアが開き、ヒールの音が静かに響く。

青葉澪あおばみお

紺色のスーツ、淡いピンクベージュの口紅。

すれ違う社員たちは自然と背筋を伸ばす。


――カルバンクラインのエタニティ。

その香りが、冷たい空気の中を切り裂くように漂う。


「報告を。」


ただそれだけで、室内の温度が下がる。

成田理沙は青ざめた顔で立ち上がり、

手にしていた報告書を震える手で差し出した。


「……青葉さん。システムが、何者かに侵入されました。」


青葉は一瞬だけ目を閉じる。

深呼吸をして、静かに口を開いた。


「……完璧な防御システムに、侵入されたというの?」


その声は、まるで氷の刃。

そして、淡い香りだけが、かすかに優しさを残していた。

崩れたのは、システムだけではなかった。

誰かの「認めてほしい」という想いも、

その夜、静かに露わになる。


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