第4話 名乗りと新たな冒険の予感 アキラ編
村に到着すると、エイラは村人にアキラを紹介しながら練り歩いた。
最初はよそ者に対する警戒心が見えていたその顔も、彼女の笑顔につられるようにほころんでいく。
村の皆に愛されているのだろう。
エイラを助けたことに例を言う村人は、心からの感謝に彩られた笑顔を浮かべていた。
その笑顔にまた、アキラは居心地の悪さを感じる。
「ここ、うちのお店なの!」
そうして、借りてきた猫のような状態で村内を歩くこと数分。
軒先に色とりどりの花が飾られた、いかにもファンタジー然とした店先に到着した。
カギを開き、店の扉を抜ける。
出迎えの声はない、どうやら今は店の中に誰もいないようだ。
「なあ、親とかはいないのか?」
背中を向けて荷を卸すエイラに、アキラは声をかける。
「いないよ」
背を向けたまま、エイラは言葉を返す。
その言葉に、何の感情も乗ってはいない。
「え?」
「一人で住んでるよ。この家にいるのは、あたしだけ」
そういって振り返った少女の顔には、最初に出会ったときに浮かべていた商人の笑顔が浮かんでいる。
再び気圧されたアキラを前に、エイラは言葉を続ける。
「ね、そういえばさ。名前を聞いてなかったよね。お兄ちゃんはなんて名前なの?」
その質問に、アキラはしばし逡巡し・・・口を開いた。
「ラキアだ」
それは現実世界において、最強と言われるプレイヤーネーム。
「ハンターのラキア、それが俺の名前だ」
アキラはこの場所、そしてこの出会いが、彼にとって新たな冒険の始まりだと感じた。
それはギガントハンターズのゲームとは異なる、異世界の冒険だ。