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一兵卒だけど無双する ~ 最強の王国兵士、勇者も姫騎士も冒険者もみんな俺が守る! ~  作者: ネコ軍団
騎士団編 エピソード3

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第77話 夢の続き

 スノーウォール砦から帰還して二週間後。

 第四防衛隊の詰め所に手紙がいくつか届いた。いつものようにソフィアが受け取り、念のため宛先を見ながらカルロスの席に置いている。詰め所にくる手紙はほとんどが隊長のカルロス宛だ。


「どうしたんだ?」


 ソフィアが一通の手紙を見てすごい驚いた顔していた。ソフィアは手紙を隠すようにリックから背を向けたぞ。


「なんだろう…… まさか?! また傷薬の数を間違えてへんな請求書きたとかか!?」


 リックはソフィアの動きが気になり彼女に声をかける。


「どうしたの? ソフィア」

「フフフ…… リック! これを見て下さい」


 振り返ったソフィアは、嬉しそうに笑っていた。得意げリックの前に、両手で持った手紙を差し出した。リックはまじまじと手紙を見つめるが、特に異変のないどうみても普通の封筒に入った手紙だった。


「えっ!? なに? それ普通の手紙だよね?」

「これ私宛なんです。私がお手紙もらったんですよ。やったです」


 嬉しそうにソフィアは手紙を抱きしめるように抱える。リックは自分以外がソフィアに手紙を出した聞いて驚く。同時に少し嫉妬していた。


「しかも男の人です」

「はぁ!? ちょっと! なにそれ?!」

「読みますねぇ」


 ソフィアが嬉しそうに手紙の封を開けて読み始めた。男からの手紙をリックの前で嬉しそうにソフィアが読もうとする。リックの心に激しく嫉妬の感情が沸き上がりまともにソフィアの手紙の内容を聞けそうになかった。


「ソフィア! あっあの! やっぱり……」

「腕はすっかりよくなってお客さんに花を渡したり、花を摘んだりと兵士時代と変わらず充実した毎日を送っています。リックさん、ソフィアさん本当にありがとう。二人ともお体に気を付けて頑張ってください。村の近くで摘んだ花を贈ります」

「えっ? これって…… スノーウォール砦のゲルプさんからの手紙か…… おっと! 今は花屋のゲルプさんか……」


 手紙を送ったのはゲルプだった。ソフィアの治療はうまくいき、彼は無事に防衛隊を辞め花屋になったのだ。


「ゲルプさん。お花屋さんになって元気みたいですよ。よかったですね」


 顔をあげて俺に向かってソフィアが微笑む。ゲルプが元気にしていると聞いてリックも微笑む。


「リック! 見てください! お花ですよ」


 封筒の奥に入っていた。ピンクの小さな花を取り出し、ソフィアは見つめていた。嬉しそうにするソフィアにリックは自分もうれしくなった。


「ソフィアがいっぱい頑張ってくれたから手紙をもらえたんだよ」

「ありがとうございます。リックも頑張ったですよ」


 ソフィアは嬉しそうに、手紙へ視線を戻して静かに続きを読む。すごい明るい表情をして手紙を見るソフィア。


「リック。お手紙にはまだ続きがありました。追伸…… リックさん、ソフィアさん、お二人の結婚式にはぜひ当店のお花を送らせてくださいね…… ふぇ!?」

「はぁ?! けっ結婚って!? えっ!? 俺とソフィアが!?」


 慌てるソフィアとリック。詰め所に居た他の三人も急に動き出した。カルロスは書類を見ながら、飲んでいた飲み物をこぼし、机を拭きだした。カルロスの視線は机じゃなくリック達に向く。頭の後ろに手を置いて深く腰変えていた、メリッサが急に椅子からおりて前のめりになった。イーノフは静かに読書を辞めてリック達に視線を送る。


「あれ!? なんですか? みんな!」


 三人の視線に気づいたリックが叫び声をあげる。三人はその様子をにやにやと見つめている。すぐにカルロスが口を開く。


「なに? お前さん達は結婚するのか? いいよ。結婚式には僕とかみさんと娘達で出席するからね」

「なんだ!? まだ結婚してなかったのかい? あたしはとっくにしてると思ってたよ。でもナオミが確か結婚式を見てみたいって言ってたね。よし! やりな! さぁ早く!」

「リック…… ソフィアとお幸せに! シーリカ様には僕から言っとくよ」

「ちょっと! 違いますって…… もうからかわないでください!」


 必死になるリックに三人は笑顔を向けている。先ほどまで手紙に、まったく興味をしめさなかった三人が、食いついて来てリックは少し不満だった。ソフィアは恥ずかしいのかしゃがみこんでいた。リックはソフィアの背中をさすって声をかける。


「ソフィア? 大丈夫? 気にしないでいいからね。きっとゲルプさんは冗談で……」

「ふぇ! リックと私が結婚…… フフッ…… フフフ…… ふひひひひひひ」

「ソッソフィア!?」


 肩を震わせて目じりが下がっていやらしく笑うソフィアだった。彼女の頭の中ではもうすでにリックと結婚する妄想が膨らんでいるようだった……


「やめてよ。その笑い方不気味だよ。ほらしっかりして! いつものかわいいソフィアに戻って!」


 ソフィアの肩を少し揺さぶるリック、ハッと気づいた顔をした彼女は少し恥ずかしそうに頬を赤くする。リックは落ち着いたソフィアに声をかける。


「もうこの手紙はゲルプさんの冗談だよ」

「えっ!? 冗談ですか?」

「そうだよ! まったく…… あの人……」

「残念です。せっかく……」

「えっ!?」


 リックに優しく微笑むとソフィアは自分の席に行ってしまった。ちょっと残念と思うリックだったがソフィアが喜んだので自分も少しうれしかった。


「ニヤニヤしないでください!」


 席に戻ろうとしたリックに、カルロス、メリッサ、イーノフの笑顔が贈られるのだった。その後、しばらくリックとソフィアはみんなから早く結婚しろととからかわれることになった。二人が結婚し、幸せな生活を送るのは、まだ少し先の話だった。

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