表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

263/263

第四防衛隊と仲間たちのその後

王都グラディアやグラント王国の人々のその後……


・エドガー

 王都で鍛冶屋の経営を続けていたが、ポロンがウッドランド村へ帰還すると、店を人に譲り彼女を追いかけていった。

 ウッドランド村で鍛冶屋を開き後にポロンと結婚し三人の男児の父となる。防衛隊の隊長で忙しい彼女に代わり、鍛冶屋の仕事をしながらエドガーが子育てをした。息子達は長男が冒険者、次男は兵士となり、三男は鍛冶屋となった。次男の兵士は第四防衛隊の配属になり、母と同様にリックのチームの一員として数々の戦歴を残した。


・ナオミ

 樫の木の従業員として働き新しい家族とも仲良く過ごす。エドガーがポロンを追ってウッドランドに行った際は三日三晩泣き続けた。

 その後、自身が生まれた村に興味を持ち、メリッサの反対を押し切って、グラント王国から旅立った。彼女は魔王城の近くに残されていた生まれ故郷の廃村を見つけ復旧を決意した。村は彼女の尽力で復旧され初代村長となり、復興に協力してくれた青年と結婚し三姉妹の母親となった。遠く離れたが、メリッサとの交流は続き、ナオミは幸せに生まれ故郷で過ごした。

 村が復興してから二十年ほどして、再度魔王軍に村は襲われたが、老兵となったリックが駆けつけ魔王軍を戦わずに降伏させ退けた。


・ブリジット

 ローズガーデンの町長を精力的にこなし名物の王都進出に成功する。

 砂漠の反乱でゴーンライトが、戦死後は独り身となり町長を六十歳まで勤め引退した。引退後は故郷に戻り静かに余生を過ごした。

 娘のキャロラインは父の意思をつぎ、十六歳で兵士になるため王都に向かい、第四防衛隊へと配属されるが、自らが名乗りでるまで、リックはゴーンライトの娘だという気づかず、彼はキャロラインから母親譲りの鞭の洗礼を受けた。


------------------------------------------------------------------


騎士達のその後……


・アナスタシア(エルザ)

 エルザとして第一次魔王討伐戦に参戦し、多大な戦火をあげ事実上グラント王国の全権を把握した。その後はグランド王国平定に力を注ぎ、反アナスタシア派を完全に駆逐後は国力の回復に努め、現国王が引退後に即位し女王となった。

 女王となったアナスタシアは、他国へ無暗に侵攻はせずに、領土の保全と文化の発展に尽力した。特に街道と水路の整備に力を入れ物流が劇的に発展した。(決して趣味の小説やカードゲームを普及させるために行った政策ではない)また、レティーナの出身国ローザリア帝国との関係改善に努め、女帝エスカテリーナとは長年の敵対関係が嘘のような特別な友情で結ばれた。ローザリア帝国の記録によると、二人の間に特殊な共通点があり、側近たちも二人のかわす言葉は理解できなかったという。アナスタシアの治世でグラント王国は最盛期を迎え、後の歴史家からは”絶対女王”と呼ばれた。

 なお、趣味にのめり込みすぎて婚期を逃していたが、二十代の最後に自分のことをよく知っているという理由でロバートと結婚した。


・ロバート

 アナスタシアの腹心として彼女とグランド王国の発展に貢献した。アナスタシアとは主従関係だったが、彼女の強引な、口説きによって結婚し王配となり、二人の男子をもうける。ちなみにアナスタシアからのプロポーズは、”このまま放って置いて他から婿を取ったら王国の恥が世に流出するけど良いの?”だったと言われている。

 趣味の小説を子供の目にふれる場所に放置する妻と、尋問のやり方を息子に教えようとしている夫で日々の夫婦喧嘩が絶えない賑やかな日々を送る。宮廷魔術師に復帰したイーノフと、アナスタシアに隠れて飲み交わすのが唯一の癒し。


・リーナ

 影武者としてアナスタシアを支え、彼女が即位後に影武者の任を解かれた。自由の身となった彼女だったが、アナスタシアの側から離れず、アナスタシアの元で彼女の副官の一人として働き、内政や外交などでその手腕を発揮した。また、その美貌から求婚が絶えなかったが、命令があれがいつでも、影武者に戻れるように全て断り、生涯独身を貫いた。

 可憐な姿とその生涯から後世の人たちから”雪見花の影女王”という名で呼ばれる。

 

・アレク

 レイクフォルトの防衛隊隊長から、後にレイクフォルトの領主となる。領主になっても勤勉さを失わず王国南部の発展に尽力した。

 その後、テナリ砂漠の反乱鎮圧にゴーンライトと共に出征したが最後に味方の裏切りにあい彼と共に命を落とした。アナスタシアはアレクの死に怒り、自ら軍を指揮しテナリ砂漠制圧に乗り出した。アナスタシアの反乱軍への弾圧は激しく多くの血が流れ、テナリ砂漠の全域がグラント王国に編入されるにいたった。後にこの戦いは”砂塵の涙戦(るいせん)”と呼ばれた。

 反乱鎮圧後アナスタシアはレイクフォルトに彼の銅像を作り、その台座にはアナスタシア最愛の弟と記されている。

 

-----------------------------------------------------------------------


冒険者達のその後……


・ミャンミャン

 経験をつみグラント王国で名の知れた冒険者となった。さらに料理の腕はソフィアの教えで、人が食せるレベルに改善された。また、ココの提案により、自身の料理を魔物や目標に毒として、利用することで一定の成果を残した。

 その後、冒険者としてさらなる飛躍を目指し、世界三大秘宝を求めグラント王国から旅立った。世界各地で冒険者として活躍し、鎌を持ち料理という毒を使って魔物を狩るその姿から”青き毒の死神”と呼ばれた。

 高名な冒険者となることはできたが、秘宝を探し始めて十年後、マウンダの北でエンシェントドラゴンを、討伐した記録を最後に彼女の記録はなく消息不明となっている。


・シーリカ

 冒険者と聖女の二足の草鞋を続けていたが、ミャンミャンが秘宝を求めグラント王国を去った際に、冒険者を引退し聖女に専念する。

 光の聖杯の影響がなくなった、彼女の癒しの祈りは本来の力を発揮し、たくさんの人々に癒しを与え、病気や傷を癒す祈りを求めて世界中から、シーリカの元へと民が訪れるようになった。シーリカの祈りに感銘を受けた、十三歳の少年が守護者に志願し、彼女はリックへの未練を断ち彼を守護者に迎えいれ生涯を共にした。七十二歳で死去するまで聖女としてグラント王国に尽くした。

 後世には聖杯を具現化した”奇跡の聖女”として名前が残り全滅聖女の記録はない。


・タンタン

 しばらくミャンミャンとともに冒険者を続けたが、自分の能力に限界を感じ冒険者を引退した。その後、料理が得意なのを活かしてコックとして身を立てる。エドガーがポロンを追いかけていったことに、ショックを受けたナオミに近づこうしたが、見事にフラれ失意のまま故郷へと戻り食堂の経営を始めた。なお、その食堂は獣人のウェイトレスが給仕をするというものだった。後にこのアイデアはエルザによって評価され王室御用達の食堂となり繁盛した。給仕の犬耳獣人と仲良くなりそのまま結婚し四人の子供の父となる。冒険者時代に買ったブレイブキラーは、思い出として生涯大切に持っていた。

 ミャンミャンが消息不明となった時は、自ら捜索に出ようとしたが、ココに止められ家族と従業員のために残った。

 

・ココ

 ミャンミャンが一人前になるのを見届け、王都のギルドマスターと冒険者を引退した。その後は、一人で王都から故郷の村へと戻り村の子供たちに、冒険者としての経験を教え込む日々を送る。ミャンミャンが消息を絶った時は、八十を超えた年齢であったが、現役に復帰し彼女を探しに旅立った。その後の消息を知る者はいない。最後に旅立った際も容姿は変わらず、幼女のようであったと言われている。


・リリィ(ジャイル)

 死刑から終身刑へと刑を軽減された後は、模範囚としてジェーンと共にローズガーデンで暮らす。後に修道院がローズガーデンに建てられ、彼女はブリジッドとシーリカから懇願され、初代院長として就任し囚人の修道女になった。囚人として労役につきながら祈りを捧げるその姿は囚人達の心の支えとなった。

 院長に就任して十年後、食堂で喧嘩に巻き込まれた囚人をかばおうとして、ナイフで背中を刺され死亡した。シーリカはその死を悼みローズガーデンの修道院に、彼女の石像を作り定期的に祈りを捧げている。


--------------------------------------------------------------------


勇者達のその後……

 

・アイリス

 第一次魔王討伐戦でプトラルドを討った後、仲間と共に魔界の奥地へと進む。大魔王ライデンにより、新設された魔王軍の激しい抵抗を受けたが、持ち前の前向きさと類まれな才能に加え、反省した魔物を許すスタイルで順調に旅を進める。しかし、魔界奥にある大魔王の巣窟で行われた、第二次魔王討伐戦において、魔族の王子ロイデルとともに行方不明となり以後の消息は不明。なお、大魔王ライデンはグランド王国の第四防衛隊のリックによって討伐された。

 第二次魔王討伐戦の結果、魔界は完全に人間の統治下となった。戦後、第一次魔王討伐戦と同様に主力を担ったグラント王国は、行方不明前のアイリスの言葉に従い、元魔王ブッシャーとともに魔族と人間の融和を進めた。

 後世の歴史学者から、魔王討伐の実績と、魔物との融和の象徴として”太陽の勇者”と呼ばれる。

 

・スラムン

 魔界への旅で案内役とパーティのリーダーとして引き続き活躍した。第二次魔王討伐戦時に、アイリスと共に行方不明となる。後世の人間から魔物と人間の最初の融和を達成した偉大なスライムとして名を残し、人間が統治するようになった魔大陸の各町にはスラムンを乗せたアイリスの銅像が作られた。


・シャルロッテ(旧キラ君)

 魔界に進むアイリスに初の人間の仲間として同行する。右手に斧と左手と背中に盾を持った、二枚盾と斧を使う屈強な戦士として活躍し、魔王軍に”勇者の二枚盾”と呼ばれ恐れられる。第二次魔王討伐戦後は、行方不明なったアイリスを探し魔界を旅し続けている。


・タカクラ君

 アイリスが魔界の奥地に向かう際にブッシャーに預けられ、リブルランドで幸せに過ごす。アイリスが行方不明になった後、満月の夜に船を引っ張りシャルロッテと共に遠出する姿が目撃されるようになる。


・ジェーン

 ジャイルと同様に、刑の軽減を受け終身刑となり、囚人としてローズガーデンで暮らす。人間の身でありながら、魔王軍の将軍まで上り詰めた能力を生かし、ローズガーデンで自警団を結成し、ローズガーデンの治安維持に協力した。テナリ砂漠での反乱では、アレクとゴーンライトを失い総崩れになり、敗走する王国軍を自警団と共に立て直し反乱軍に抵抗した。反乱軍との戦闘で左腕を失いながらも彼女はローズガーデンを守り切った。その後、その功績を認められ釈放されることになったが、一転して修道女となりジャイルと共にローズガーデンの修道院で過ごす。ジャイルが亡き後は院長に就任しその意思を引き継ぎ生涯を神と祖国に捧げた。


--------------------------------------------------

 

 第四防衛隊のその後。


・カルロス

 魔王プトラルド討伐に多大な貢献をした、第四防衛隊の隊長として、アナスタシアから勲章を授与された。その後は第四防衛隊の隊長を六十歳まで務め上げ引退した。引退後は妻ノノと共に孫と娘に囲まれ、王都で幸せな余生を過ごす。なお、勲章授与の際に部下達から、後方部隊にいて何もしていないのにずるいと指摘をされ、勲章授与を祝う会を自腹で行わされた。その会で一か月分の食費を一日で消費し、ノノから大目玉を食らった。


・イーノフ

 結婚したソフィアとリックに刺激され、二人の結婚から半年後にメリッサにプロポーズし結婚した。彼女との間に息子を一人もうけた。その後、一度は固辞したが、盟友ロバートの懇願により宮廷魔術師と復帰し、第四防衛隊から離れた。宮廷魔術師に復帰後は、亡き師匠ジックザイルの研究を次々に成功させ、グラント王国の魔法文化発展に尽力し、後にエルザから勲章を授与され王国の歴史に、偉大なる魔法使いととして名前を残した。


・メリッサ

 リック達の結婚から半年後に、イーノフにプロポーズされ結婚した。再婚となるため生活を共にするだけで、結婚式はあげなかったが、ナオミが中心となりサプライズでドンバルへの旅行をプレゼントされ号泣した。結婚後、すぐに懐妊し一時兵士を引退し静かに暮らしていたが性に合わずに二年後に第四防衛隊へ復帰した。以後はリックの実働部隊にてリックの後輩という扱いになったが、不満をもらしながらも彼が成長できるように静かに見守っていた。また、第二次魔王討伐戦において、リックが行方不明となった際は彼の代役をつとめた。また、最愛の夫を失うという同じ経験をしたリックの妻であるソフィアを支えた。

 養女であるナオミとイーノフとの間の子を育てた後、老兵となっても孫に囲まれながら、リックと共に”王国の一番槍”として生涯を国民と祖国へ捧げた。


・ゴーンライト

 ローズガーデンに異動後は囚人監視の任につき静かに過ごす。しかし、南のテオリ砂漠での反乱軍がテナルポリスへと迫った際に、アレクと共に防衛戦に参戦し、民間人を逃がすために自ら盾となり死亡した。民間人のために殉職した彼は、”砂漠の盾”という名を与えられ、グラント王国の英雄の一人として記録されている。


・ポロン

 二十歳まで王都第四防衛隊に所属し、その後ウッドランド村へと帰還した。プッコマの後継者として防衛隊の隊長となり、王国の西側の発展と防衛に貢献した。隊長となっても天真爛漫で、素直な性格は変わらず村人に慕われた。後に王都から追いかけ来た、エドガーと結婚し男三人兄弟の母となった。よく三人の息子達を、両手と背中に乗せながら走る姿を、村人に目撃されている。地方の防衛隊の隊長としては、珍しく定期的に王城に招かれて、女王のアナスタシアの寝室で朝まで会談する姿が度々見られる。なお、これは二人で、真面目に会談をしているのではなく、朝までカードゲームで遊んでいるだけだった模様。

 リックが六十歳の時に魔界で反乱が起きた際は、一番に駆けつけリックとソフィアとの再会を喜んだ。


・ソフィア

 リックと結婚し二人の子供を授かった。出産前後に一時防衛隊を離れるが、すぐに復帰しリックの相棒として変わらず実力を発揮する。第二次魔王討伐戦において、リックが行方不明となった際も、彼の生存を信じ第四防衛隊を支えた。

 長命種であるエルフの宿命で、リックは彼女がまだ若いうちに没した。その後は子供や孫に囲まれ幸せに過ごすが、どうしてもリックに会いたくなり、秘術”黄泉渡り”を会得し、黄泉の国までリックを追いかけていった。


・リック

 第一次魔王討伐戦後に、ソフィアと結婚し二人の子供を授かる。メリッサがイーノフと結婚し一時的に引退した後は、第四防衛隊の実働部隊リーダーとなり活躍する。アイリスと共に参戦した、第二次魔王討伐戦にて、行方不明になったアイリスに代わり魔王ライデンを討伐、その際に自身も一時行方不明となるが後に無事に帰国した。帰国後は妻ソフィアとともに、グラント王国のために剣を振り続けた。

 異世界の勇者、伝説の魔獣、魔王に大魔王などを倒し、数々の武功をあげたが、生涯一兵卒として出世とは無縁の生活を送った。彼が一人の兵士という立場にこだわったのは、幼馴染との帰って来る場所を守るいう約束があったからだと言われている。

 あまりの強さに他国では脚色された伝説がでまわり、地獄の悪魔であっても彼をみただけで恐怖で漏らし、さらには彼の名前を聞いただけでわがままな子が、素直に言うことを聞くようになるとまで言われた。

 また、リックが六十歳で兵士を引退した際は、それを聞きつけた魔族が魔界で反乱を起こした。リックは反乱の報を受けると、即座に兵士に復帰し孫と共に鎮圧に出向いた。しかし、鎮圧軍にリックが居るのがわかると、反乱軍は混乱しリックとは戦わずしてあっさりと降伏した。反乱発生から降伏までわずか一週間ほどだった。この反乱は”魔族の七日間反抗期”と呼ばれる。

 没する直前に、その功績とグラント王国への多大なる貢献が認められ、優秀な兵士を選出する”ナイトウォーカー賞”が創設された。リックは初代受賞者としてメリッサと共にその名を刻んでいる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ