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第246話 王国の最終兵器再び

 大地の裂け目の底を目指すリック達。彼らの耳にぶぉーという聞きなれない音が届く。リックはふと空を見上げた。


「うわぁ。やっぱり深いところまできたんだな」


 声をあげるリック、見上げた先には小さく狭い隙間にわずかに明るい空が見えて、亀裂の中ほどまで明るく照らしていた。大きな隙間なのに下からみると狭く見え、空や雲がはるか遠くてすごい離れて見える気がした。


「どうしたんですか? リック」

「うん。ちょっと上をみたら空が遠くにみえたから面白いなって思ってさ」

「ほんとだ。お空が遠いですね」


 リックの顔を覗き込んできた、ソフィアに彼は空を指しながら説明した。すると彼女もリックと一緒になって上を見上げる。一生懸命に空を見上げるソフィアはかわいくリックの頬が思わずほころぶ。

 大地の切れ目の底に到着し、静かにふんわり布が着地する。亀裂の底は日の光があまり届かず、薄暗い谷底のような場所だ。亀裂の幅は広く数十メートルはある。ココとミャンミャンの先導で、リック達は底を歩いて、彼女らが見つけた魔物の場所までむかう。


「うん!?」


 リックの隣を歩くソフィアが、興味深げに周りを気にしていた。彼女の綺麗な赤い瞳がよりいっそうキラキラと輝いている。すごくソフィアが楽しそうでリックは首を傾げた。ローズガーデンの橋の上での、彼女とのやり取りをリックは思い出し微笑む。


「ソフィアはここの底が見たがってたよね。よかったね」

「はい」


 声をかけると嬉しそうにソフィアが頷く。歩きながらソフィアは、笑顔で亀裂の底を眺めていた。リックは同じ景色ばかりが続き少し飽きてきていた。大地の切れ目の底は、小さい岩が転がっている白っぽい砂地の地面と、谷の両脇hは茶色の大きな壁がずっと同じように続いていた。


「おっ!? ここは最近くずれたみたいだな……」


 リック達の目の前に砕かれた石が転がっていた。


「いたよぅ! あそこだよぅ」


 ココがリック達の少し前で声をあげて前方を指さした。


「あゎゎゎ?! これが!? 魔獣ゾルデアスですか!?」

「おっきいのだ!」

「グガーーーーーーーーーーー! グガーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」


 前方に黒く家くらいの大きさで、六角形の模様の岩のような丸い形をした、魔物がいびきをかいて寝ていた。ポロンがその大きな黒い岩のような魔物を見上げ声をあげる。シーリカは魔物に近づき、不思議そうな顔して甲羅を触っている。

 甲羅にゴツゴツした六角形の模様、さらに丸い顔にくちばしのような口がつき、鼻の穴が顔の先の目と目の間の少し上についていた。リックは首をかしげた。そう目の前の魔物はどう見ても魔獣じゃなくて大きな……


「あゎゎゎ!? でも、これ亀さんですよね?」

「そうだよぅ。シーリカ、昨日、ギルドで確認したけどこいつは多分、ブラックタートルだよぅ」

「えぇ!? じゃあ、魔獣ゾルデアスをもう一度さがさないといけないのか」

「リックさん、ブラックタートルは魔獣ゾルデアスと一緒に落ちたんですよ。ブラックタートルを起こして魔獣ゾルデアスの場所を聞けばいいじゃないですか」

「ブラックタートルさんはしゃべれるんですかね?」

「ハクハクとエメエメがしゃべってるから大丈夫でしょ」


 ミャンミャンとココが、自信満々な表情をしブラックタートルを指さす。エメエメとハクハクは、ポロンの足元の首をかしげていた。リックは彼女たちの目論見がうまくいかないような気がして不安に思うのだった。


「とにかく起こすよぅ! みんな協力して!」

「わかった」

「じゃあ、まずは私から! みんなどいて!」

 

 ミャンミャンが背中の鎌をもつと、頭の上まで腕を振り上げた。鎌はぐんぐんと伸びてブラックタートルの甲羅の、てっぺんまで届きそうな長さへと変わる。


「とりゃあああああああああああああーーーーーーーー!!!!!!!!」


 ブラックタートルに向かって、ミャンミャンが鎌を振り下ろした。しかし、ガキーンという大きな音がして、鎌は弾かれミャンミャンは、バランスを崩して尻もちをついた。


「いたーい! しびれた……」


 苦痛に顔を歪め、ミャンミャンは尻もちをついたまま、元の長さに戻った鎌から手を離して、手をプラプラさせている。

 立ち上がらせるためをリックが手をだすと、と嬉しそうな顔で彼の手をつかむ。


「リックさん、手が…… 手が痛いですー。まずは手を撫でてください」

「はい」

「あゎゎゎ、私も!」

「ちょっと!? あなたたちじゃないわよ」

「なっなんだ!?」


 ソフィアとシーリカがリックに両手だし、甘えた声のミャンミャンに駆け寄り、手を二人で撫でている。はたから見ると、三人はすごく仲良くしているように見えるが、ミャンミャンはすごい不満そうに眉間にシワをよせている。ミャンミャンの一撃もむなしく、ブラックタートルは何の反応もしなかった。

 リックはミャンミャンを二人に任せ、腰にさした剣に手をかけ前に出る。


「よし! 次は俺だな」

「リックぅ、傷つけたらダメだからね」

「わかった」


 振り向いてココに笑顔で返事をしリックは剣を抜いた。剣を裏返したリックは飛び上がり、ブラックタートルを剣で叩いた。しかし……


「うわ!? いてて……」


 ミャンミャンの時と同じでガキーンと、大きな音がしてリックの剣が弾かれた。空中で体勢を戻し、着地できたがリックの手は衝撃でしびれ痛みが走る。

 

「こりゃダメだな…… 寝てたら反撃もできないし……」

「グガーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!! グガーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」


 ブラックタートルはリックの攻撃にも、何の反応もなくいびきをかいてよく寝ていた。次にココとタンタンが短剣を投げたり、頭を素手で叩いたりしたが反応なく。シーリカの瓶に光の力を詰めて爆発させる聖光爆弾(ホーリーライトボム)や弱めた、ソフィアの電撃魔法を使ったがどれもブラックタートルを起こせなかった。残るは……


「わたしの出番なのだ」


 最後にポロンがハンマーを出し、得意げに前に出た。危ないのでリック達は少しブラックタートルから離れた。


「いいかいポロン。本気で殴ったらダメだだよぅ」

「わかってるのだ」


 ポロンが本気で叩いたら、ブラックタートルが起きるよりも、周りの壁が崩れるためココが注意をする。ココに向かって笑顔でうなずいたポロンは、どんぐりの形をした大きなハンマーを出して飛び上がった。


「どっかーんなのだ!」


 大きな音がひびいた。ポロンはブラックタートルの甲羅をハンマーでたたいた。衝撃で近くの壁が崩れ小さな石や砂埃が落ちて来て、軽く地面が揺れる。しかし、ブラックタートルはポロンの一撃にも反応なく寝ていた。


「うーん…… 何しても起きないな」

「もう一度、わたしが叩くのだ! 今度は本気なのだ」

「いや…… あまり衝撃を与えたら壁が崩れて危ないよ」

「あゎゎゎ、そうです。内部から刺激を与えれれば……」

「刺激? そうだね…… 食べ物とかか…… うーん」


 何かを思いついたのか、ハッとした顔をしてタンタンがリックの袖を引っ張った。


「ねぇ。リックお兄ちゃん、ブラックタートルを起こすのにお姉ちゃんのまずぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅい料理とかはつかえる?」

「なっ!? ちょっとタンタン!」

「おぉ! いいアイデアだ。確かにミャンミャンの料理なら中からブラックタートルに刺激を与えられるけど……」

「刺激というか……」

「ただげろまずなだけなのだ」

「もう! みんなひどい! それに今日はお料理持ってきてないですーー!」


 ミャンミャンが怒った顔でリック達を睨み付ける。タンタンのアイデアは良かったが、肝心のミャンミャンの料理がなければ意味はない。しかし、ミャンミャンを見た、タンタンがうすら笑いをうかべ、腰にぶら下げている道具袋に手をいれた。


「はい、リックお兄ちゃん!」

「ちょっと!? タンタン何で持ってるのよ? 昨日、確かわたしがゴミ箱に……」

「へへ! こんな強力な武器を置いてくるなんて冒険者の恥だからね。僕が拾っといたよ」

「なっなによ!? 武器って!? 返しなさい!」

「お姉ちゃんが、ゴミ箱に捨てたものを僕がどう使おうが僕の勝手ですー!」

「この!」


 取り上げようとした、ミャンミャンをかわして、道具袋からタンタンが取り出した、黒箱を得意げにリックに渡した。黒い箱を開けたリック。中には茶色六角形の菓子のようなものが整列してならんでいた。ミャンミャンに追われて逃げるタンタンにリックが尋ねる。


「何だこれ?」

「それは月餅っていうんだよ。これも僕達の田舎のお菓子だよ。本当なら美味しいけど、これはお姉ちゃん味だからね……」

「うっ…… 前に食べた肉まんとシュウマイの味を思い出した…… やめよう」


 逃げながらタンタンはリックに答えていた。ミャンミャンの味と聞いたリックは、以前の彼女の料理を思い出し、胃からすっぱいものが沸き上がる感覚に襲われ思わず口に手をあてる。


「うわ!」

「捕まえた…… タンタン、もう怒ったからね」

「ごっごめんなさい。お姉ちゃん……」

「今日はもうダメ! 許しません! お尻を出しなさい」

「わっわ! やめて!」

「やめるのだ。いじめちゃダメなのだ」

「違うのよ。ポロンちゃん。これは躾け…… そう。弟を躾けるためよ!!!」

「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」


 逃げていたタンタンが、ミャンミャンに捕まり尻を叩かれていた。乾いた良い音が世界の裂け目に響く。ポロンは見かねて、ミャンミャンを止めるが、彼女は止まることはなかった。


「(ふぅ…… ミャンミャンには悪いけどタンタンありがとう。これ以上ない強力な武器だよ)」


 リックはブラックタートルに月餅を食べさせようと、黒い箱を持ってブラックタートルの頭の近くまで向かって歩く。


「待て! リック、いくら何でも守り神にミャンミャンのしかもゴミ箱から拾ったものをくわせるのか?」

「そうにゃ! もう少し敬意をもてにゃ!」


 エメエメとハクハクがリックに向かって怒りだした。


「言いたいことはわかるが他に手はなんだ? それとも何かいい手はあるのか?」

「うっ…… それは……」

「なっないにゃん?」

「だろう。それに万が一にも味は美味しいかもしれなじゃん…… 美味しい可能性はほぼないけど」

「リックさん!」


 ミャンミャンに睨まれ、舌を出して笑うリックだった。ハクハクとエメエメの言う通り、守り神にゴミ箱に一回捨てた菓子を食わせるのはリックもさすがに気が引けたが他に手はない。


「さて…… 口に放り込むだけの隙間を開けないとな…… かた!!!」


 リックは片手で、ブラックタートルの口をあけようと手をかけた。しかし、ブラックタートルの口は、堅く閉じられて片手では開けられない。


「ポロン、手伝ってブラックタートルの口を開けてくれるかな?」

「わかったのだ」

「あぅ…… ポロンちゃん…… いたい! ごめんなさい」


 尻を叩かれているタンタンが、泣きそうな声でポロンを引き留めていたが、ポロンはリックの足元へとやってきた。ポロンがブラックタートルの口に乗り手を入れてヒョイっと持ち上げた。


「さすがポロン! ありがとう」


 ブラックタートルの口から、いびきをかくたびに息が吐かれ、リック髪がゆれる。しかも吐き出される息が臭くリックは顔をしかめた。


「じゃあ、ポロン行くよ。これを俺が投げ入れたらすぐに手を離して逃げるんだよ。みんなもブラックタートルから距離を取って!」

「わかったのだ」


 リックは月餅を適当に三個掴んで、ブラックタートルの口に放り込んだ。月餅が口の中に入った直後に、ポロンはブラックタートルの口から手を離して飛び下りた。ポロンとリックは手をつないで走ってブラックタートルから離れた。ソフィアやミャンミャン達も皆ブラックタートルから距離を取った。

 走って距離を取ったリック達は振り返って様子を見る。


「グヒヤ!?」


 普通にいびきをかいていた、ブラックタートルが変な声をだしていびきがとまった。効果があったようだ。そしてみるみるうちにブラックタートルの顔が青くなっていく。


「うぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」


 息が激しくなってカッとブラックタートルは目を大きく開いて起きて叫び出した。叫び終わると、前脚を自分の口に持ってきいき、苦しそうな顔をした。


「げほげほ! 何だこれ!? 苦いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい! 辛いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい! あついいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい! 口の中が死ぬうううううううううううううううううううううううううううう! しかもまずい苦い…… からいまずい…… まずから苦いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!! まずいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!」


 手をバタバタとして暴れだすブラックタートル、巨体が暴れまわるため、地面が揺れ、近くの壁に当たって崩れてほこりや小さな石が上から落ちて来る。


「あぶないな。何とかしないと。辛いから水って叫んでるから水を…… でも、俺達の水筒じゃ足りないだろうし…… そうだ! ソフィアなら!」


 ミャンミャンの殺人料理(キラーフード)に苦しむブラックタートルに、リックは水を差し入れうとするが、水筒一つではとても足りないと判断した彼はソフィアに指示をだす。


「ソフィア! 水魔法であいつに水を!」

「わかりました」


 ブラックタートルに手の平をむけて、ソフィアが水の魔法をはなった。彼女の手から放たれた水がブラックタートルの口の中へ。


「うぎゃああ!? あれ……」


 最初は急に湧いた水に、驚いた様子だったが、水で口の中を洗われて徐々に、ブラックタートルは落ち着きを取り戻していった。


「ふぅ…… ありがとう。君たちは?」


 顔が穏やかになって、水が出てきた方へ顔を向けた、ブラックタートルはリック達に気づくと礼を言ってきた。暴れた原因の料理を放り込んだ、リックは少し気まずそうに笑った。


「俺達はあなたに……」

「はっ!? クンクン! このにおい…… お前達か!? 僕にまずくて辛いもん食べさせたのは!?」

「えっ!? しまった!!!!」


 持っていた黒い箱のにおいを嗅いだ、ブラックタートルがリック達を睨み付けた。


「あゎゎゎ!? エメエメ、ハクハク、ブラックタートルさんを説得してください」

「わらわは知らんぞ!? だから止めたではないか!?」

「そうニャ! 僕もやめろっていったニャ」


 シーリカが足元にいたハクハクとエメエメに、ブラックタートルの説得を頼んだが二匹とも拒否する。優しく微笑んだシーリカが、袋から何かを出してる。


「あゎゎゎ、後であなた達の大好きなこの干肉をあげますよ!」

「行くにゃ! ハクハク」

「おぅ。エメエメ!」


 二匹の目の前に袋から出した干し肉をぶら下げるシーリカ。先ほどまで拒否していた二匹はやる気満々で、ブラックタートルに向かって駆けていくのだった。


「やめるのじゃ、わらわは白銀狼ホワイトシルバーファング

「そうニャ、僕は翠球山猫(エメラルドキャット)ニャ!」

「うるさい。僕はお前みたいな白い子犬しらないぞ! そっちの猫も! しかも白銀狼ホワイトシルバーファング翠球山猫(エメラルドキャット)ももっと威厳があるはずだ!」


 威厳があると言われ、エメエメとハクハクがしょんぼりした。ブラックタートルの言う通りで、二匹は守り神かもしれないが、今はどうみてのただの子犬と猫だった。

 

「よくもこんなくそまずいものを食べさせたな! 怒ったぞ!」

「えっ!? ちょっと? ひどくない? 美味しいでしょ?」

「はぁ!? これはすごいまずいぞ! げろまずだ!!!」

「そりゃあな。まずいのを期待してお前に…… うわ!」


 リックがまずいと言った瞬間に、ミャンミャンの鎌が振り下ろされ、リックの鼻先をかすた。


「ミャンミャン! 何するんだ! あぶねえだろ!!」

「まずいまずいって…… もう全部リックさんが悪いんです! 頭きた! どうせ怒って暴れるなら私が相手になるわ。私もちょっと怒ってるんだから」

「えっ!? 一人じゃ無理だよ」

「あっ! 二人ともまつんだよぅ!」


 怒ったでミャンミャンは鎌を両手で持って、ブラックタートルにむかって駆けだした。慌ててリックはミャンミャンの後を追いかけていく。リックの後ろからさらにココも走って二人を追いかける。

 ミャンミャンの鎌が伸びて、ブラックタートルの頭を狙い、振り下ろされた。


「危ない!」


 ブラックタートルは前足でミャンミャンの鎌をはじくと、ミャンミャンは鎌から手を離し、後ろにのけぞって倒れそうになる。地面に鎌は転がって元の長さに戻る。


「大丈夫!?」

「リックさん…… ありがとう」


 リックはミャンミャンの背後にまわって受け止めた、彼女はリックの方を向き、驚いた表情をして恥ずかしそうにうつむいていた。


「二人とも! 来るよぅ!」


 ココが二人に叫ぶ。リックは反応して視線をブラックタートルに向けた。


「チッ!」

「キャッ!」


 リック達にむかって、ブラックタートルはひれのような右前足を振りかざしていた。二人に右の前足を叩きつけるつもりのようだ。とっさにリックはミャンミャンを抱きかかえて横に飛んだ。

 大きな音がし、リック達がいた場所に、ブラックタートルのヒレのような前脚が叩きつけられた。ミャンミャンと一緒にリックは地面を転がっていった。止まるとリックはすぐに上体を起こし、ブラックタートルの方を向いた。


「げっ!? またかよ!?」


 体の向きをゆっくりと変えたブラックタートルは、リック達を今度は逆の前脚で叩こうと振りかざす。


「こっちだよぅ!」


 叩きつけた前脚に向かって短剣を投げてココがブラックタートルの気を引く。ブラックタートルはココの方に向きなおし、ココに前脚を叩きつけた。すばやいココはなんなく攻撃をかわす。


「今のうちだ…… ミャンミャン大丈夫? 起きれる?」

「はい」

「よし…… えっ!?」


 リックはミャンミャンの手を引っぱって起き上がらせると彼女は駆け出していってしまった。リックはミャンミャンを追いかける。彼女は地面に転がった鎌まで駆けて行き鎌を拾うとっもう一度構えた。


「ミャンミャン、まだやるの?」

「はい! もちろんです。リックさん手伝ってください」

「はぁ、わかったよ。危なくなったら下がるんだよ!?」

「わかりました」


 笑顔でミャンミャンは答えた。うなずいたリックは剣を抜きソフィアとポロンに叫ぶ。


「ソフィア、ポロン! シーリカ達をお願いね」

「ふぇぇぇ、わかりました」

「わかったのだ」


 二人が返事すると、ミャンミャンとリックは顔を見合わせて頷き、ブラックタートルに向かって駆けだすのだった。

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