表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
207/263

第202話 歌が勇者を導く

「はぁぁぁ…… もう…… まったく…… 幼馴染の方が良いのに……」


 腕を組んで不機嫌そうにブツブツというアイリス。リック達は構わずに洞窟の奥へと歩き出していた。


「アイリス! 置いていくずらよー」

「えっ!? ちょっと待ってよ!」


 リック達を慌てて追いかけるアイリスだった。リック達はさらに洞窟の奥へと向かう。アイリスが先頭に立ち、すぐ後ろにベンディとスラムンとキラ君、リックとソフィアとポロンは最後尾でベンディを囲むように歩く。


「うん!? どうした?」


 アイリスが手招きをしてリックを呼んだ。リックは歩くスピードをあげ、アイリスの横にやってくると、アイリスは嬉しそうに笑う。


「ねぇ…… リック来てくれてありがとうね。嬉しかった」

「気にするなよ。俺達は友達だろ。それに…… お前にはいつも世話になってるからな」


 アイリスがリックの方を向き恥ずかしそうに話しかけ、リックが笑顔で答えると彼はほほを赤くし、リックの顔を見つめていてる。


「リックー! うれしい。さすが私の王子様!」

「腕を組むな! まったく……」


 強引にリックと腕を組んだアイリス。リックが振り払おうとしても、必死にしがみつき彼は、なぜか勝ち誇った顔して振り返った。勝ち誇るアイリスを見た、ソフィアは見慣れないアイリスに微妙な顔をしていた。アイリスはソフィアを見て、自分とリックが腕を、組んでるのを悔しがってると勘違いし、いやらしく笑みを浮かべてソフィアに声をかける。


「あら!? ソフィアなんか言いたそうね。どう? いいでしょ? リックも私と腕を組んで嬉しそうだしねぇ」

「リックは明らかに嫌がってますからなんとも思わないですよ」

「ムカアアア!! リック! もっと私達の愛を見せつけてやるわよ」

「おい。俺とアイリスの間には愛なんてものはないだろ」

「リック! 嫌い!」

「あっ!? おい!? 待てよ…… はぁ、もういいや」


 プクッと顔膨らませたアイリスは、そっぽとむいて早足で歩きだした。リックは歩く速度を落として、ソフィアとポロンのところへと戻った。キラ君がリックを抜かすときに、キラ君の頭の上でスラムンが、はぁと呆れたようにため息をついていた。

 風車の洞窟を先へと進む、洞窟は整備されておらず、壁がとこどころ崩れていたり足場には石が転がっている。光も少なくソフィアが魔法で照らしてくれないとほとんど見えない状態だった。

 強風山には、動物も植物もほとんど生息してないため、登山する人はおらず。観光客はいるが外側に風が舞っている光景を見て山には上ることなく帰る。

 洞窟はドンバル国ができる、はるか昔に作られたもので、詳細は不明だ。利用する人間はほとんどいないが、何年かに一度山頂へ修行へ行くための教会に神官が利用するという。

 リック達は何度も階段を上りったり降りたり、道が行きどまり引き返したりして、洞窟の進み強風山の山頂を目指す。途中で数回ほど魔物に襲われたが、さほど強い魔物はおらず順調に彼らは進んでいた。


「ふぅ…… けっこう上まで登ってきたはずだけど…… まだなのか……」


 道の先を見てつぶやくリック、洞窟内の景色は代わり映えせず、自分達がどこまで登ったがわかずにしんどいのだ。なかなか山頂につかないからか、アイリスも少し焦った様子で首を動かして周囲をうかがっている。


「はぁ…… まだ山頂に着かないのかしらね」

「はぁはぁ…… アイリスさん、通路の奥に明るくなってるのが見えますよ」

「ほんとズラ! 山頂への入り口かも知れないズラよ」

「よし行くわよみんな」

「おい! 走ると罠とかあるかもしれないぞ」


 リックとソフィアとポロンの前を歩いていたアイリス達が、通路の先に見えた微かな明るい光に喜んで駆けだしていった。息が上がっていたベンディも、太った体をゆらして一生懸命に走る。

 すぐにリック達三人もアイリス達の後を追う。薄暗い通路を抜けて見えていた明るい場所へとでた。


「なんだここは?」


 出た場所は円形のドーム型の空間で、天上か高く数十メートルはあろうかという高さがあり、壁も地面も先程までの岩がむき出しの状態と違って、何者かによってつくられた石の床と壁になっていた。明るかったのは陽の光が差し込んでいたのではなく、この部屋だけ複数のランプが、置かれ明るくなっているからだった。


「あの真ん中にはあるのは石像か?」


 空間の中央に鎧を着て、右手に剣、左手に盾もった石像が、三つあり背中合わせに並べられて顔が三方向にむいていた。


「広いとこにでました」

「何かしらね。ここは、まぁいいわ。先を急ぎましょう」

「うん!?」


 リックが何かに気付いた。石像の手前の少し離れた床の一部が四角くなって色がついていたのだ。しかも、色のついた床は少しだけ盛り上がっていて、乗って押してくださいといわんばかりだった。

 乗って押してみたい衝動にかられるリックだったが、なにかわからないのに押したらだめと自制する。全員でドームの状の空間を横切りさらに奥へと向かう。


「ポロン、勝手に触ったらだめだよ。絶対に床の四角くもりあがってるとこ踏んだらダメだよ!」

「ぶぅのだ……」

「ダメだよ。ソフィアと手をつないでね」

「わたしはそんなことしないのだ!」


 必死に首を振るポロンだったが、リックが注意しなければ、盛り上がった床に足をつこうとしてたのは明らかだった。不満そうにポロンはソフィアの隣で手をつなぐ。

 石像を見ながら回っていくリック達、入り口の向こう側の壁が見えてきた。石像の向こう側には何もなく、石がつまれた壁があるだけだった。しかも、なぜか入り口の反対側にも四角い盛り上がった床があった。

 よく確認してみると、盛り上がったスイッチのような四角い床は、ドーム状の入り口の石像の少し前に一つ、さらに石像を挟んで反対側に一つ、後はドーム状空間の入り口から見て、左右にこれまた石像を挟んで一つずつで計四か所あった。床に何かの意味がありそうだがわからず首をかしげるリックだった。

 

「先へ扉がありせんね」

「どういうことかしら? ここは入り口しかない行き止まりみたいね。道を間違えたのかしら?」

「おかしいズラよ。この階は分かれ道なかったズラよ」

「そうよね…… じゃあ、一旦下の階に戻って別の階段かしら……」

「ふぅふぅ…… どうします? 戻りますか? アイリスさん?」


 ドーム状の空間の入り口から、一番奥の壁の前でアイリス達が相談をしている。スラムンの言う通りに、この階への階段を上がってから、一本道だったから、ここで行き止まりだとまた下の階まで戻らないといけない。

 リックが何か気づいてハッとして慌てて口を開く。

 

「ダメだよポロン! 今、床の盛り上がってるところ押そうとしたでしょ!?」

「しっしてないのだ!」


 ポロンが目を離したすきにスイッチのような床を押そうとしていた。


「(最近、俺とソフィアが見てないところで、勝手に何かやろうとするんだよな…… 誰の影響だろう。ナオミちゃんかな…… あれ!?)」


 ポロンが押そうとした床を見た、リックが何かに気付いた。


「こっちの床の色は青色なんだ? 確かさっきは赤い色だったよな……」


 しっかりとポロンの手を握ったリックは彼女をつれ確認する。入り口の前には赤、石像を挟んで反対側は緑、ドーム状の空間の入り口から石像に向かって、右が青で左が黄色とスイッチのような床は色違いになっていた。

 ポロンは床の色が違うのに興味を持って、盛り上がった床を見てうずうずをしている。


「リック! やっぱりこれ気になるのだ! 踏んで押してみるのだ!」

「えぇ!? ダメだよ。何が起こるかわからないんだから」

「いや、いいわポロンちゃん床のを押してみて」

「えっ!? アイリス!?」


 アイリスがリック達の会話を聞いていたみたいで、突然、ポロンに床を押すように伝えた。


「やったのだ!」

「あっ! これ気をつけろって……」


 ポロンは喜んで床が四角く盛り上がった場所を勢いよく踏んだ。やはり何かのスイッチなのか、カチッと音がして青色の床が下がった。


「なっなんだ!?」


 地鳴りがして石像の足元の部分が回転して、石像の一体が青い床の方をむく。先ほどのオークの槍のように石像の剣から、竜巻が発生して、盛り上がった青い床にいたポロンをさらってしまった。


「ポロンが飛んでいっちゃいましたよ?」

「うわ! ポロン!」

「ほぇぇー高いのだ!」


 ポロンは竜巻に乗って高い、ドーム状の天井に向かっていった。天井にポロンが届きそうになると、竜巻は消えてポロンは落下する。


「えっ!?」


 いくらポロンが兵士で日ごろの訓練で、鍛錬を積んでいるとはいえ、数十メートルの上空から落ちたら危ない。リックはポロンを受け止めようと駆けだした。


「リック、オラにまかせるズラ!」

「スラムン!?」


 キラ君の頭の上から、飛び上がったスラムンが、体を広げムササビののように上空まで上がっていき、落下するポロンに取りついた。やわらかいスラムンの体が変化してポロンを包み、彼女は緑の柔らかいスラムンの体に包まれた状態で、床に落下して軽くポヨンはねる。

 ポロンはスラムンの中ではねるのが楽しいのか笑顔になっていた。何度かはねてとまると、スラムンは元の大きさになり、ポロンの足元にいて声をかける。


「ポロン、大丈夫ズラか?」

「スラムン。ありがとうなのだ! プニプニで柔らかくて気持ちよかったのだ」

「そうか。無事でよかったズラ」


 笑っているポロンの足元で、スラムンが嬉しそうにはねていた。リックたちもポロンの元へと駆け寄っていく、真っ先に駆けだしたアイリスが申し訳なさそうにポロンに声をかけた。


「ごめんね。ポロンちゃん。まさかあんな仕掛けが……」

「そうズラよ。気を付けるズラ!」

「いいのだ。ポロンも押したかったのだ。それにわかったこともあるのだ。この部屋の上に扉があるのだ。飛ばされて上をみたらあったのだ」

「うっ上!? あっ! ほんとだ!」


 ポロンが指さしたさきには、ドーム型の丸い天井の中央で、彼女の言う通り古そうな木の扉が見えた。


「なるほど、ありがとうポロンちゃんきっとあそこが出口ね……」

「どうにかあそこまで行かないといけないのか…… イーノフさんみたいに浮遊魔法を使えればな」

「でも、修行で訪れる神官がみんな浮遊魔法使えるわけじゃないし…… きっとなにか仕掛けがあるはずよ」


 中央の扉を見ながらリック達は、どうすれば天井の扉の先へ行けるか考えていた。


「はーい!」


 なんかアイデアを思いついたのか、勢いよくソフィアが手をあげて話しを始めた。


「アイリスが天上の兜を使えばいいんですよ」

「そうか。確かに天上の兜なら飛べるようになるからな。アイリスどう?」

「わかった。ちょっとやってみるわね!」


 アイリスが天上の兜を装着する、白い耳の部分に翼の装飾がされた兜をつけると、両脇についている羽根が大きくなってアイリスの背中に移動する。天上を向くとアイリスは浮かび上がって一直線に扉に向かっていく……


「わっわ!? ちょっと何よこれ!」


 三体の石像の剣から、竜巻が発生してアイリスに向かっていき、アイリスが巻き込んでさらってしまった。何とか体勢を立て直して、竜巻から抜けたアイリスだったが、扉の周りを竜巻が守って近づけない。すぐにアイリスは諦めてリック達のとこに降りてきた。


「ダメね。なんかの封印の魔法でもかかってるわ。この部屋の仕掛けを解かないと先に行けないでしょうね」

「そうか……」


 アイリスが地上に戻るとそれを察知したかのように、すぐに風がおさまり、アイリスを邪魔していた竜巻は消えた。キラ君の横でアイリスは悔しそうな顔で消えていく竜巻を見つめている。リック達はまた皆でドーム状の空間を調べながら考える。


「妖しいのはやっぱりこの床の盛り上がったところよねぇ……」

「床の色が四色あるんで、もしかしたら押した場所によって違いがあるかもですよ」

「そうね…… 順番に押してみましょうか」

「やめるズラよ。何があるかわからないズラよ。竜巻だけじゃなくて毒の罠とか発動したらまずいズラよ」


 押してみようというアイリスに、スラムンが飛びはねて反対する。確かにスラムンの言う通りだな。リック達には回復が使えるソフィアがいるとは何が発動するかわかず危険である。


「四色!? そういえば…… 神の道に迷いった者よ。四つの色が未来を決める。正しい道はこの大陸の大地のキラキラ輝く砂浜にある」


 ベンディがハッとした表情でなにやら一人事つぶやいた。アイリスがベンディの言葉を聞いて彼に声をかける。


「ベンディさん? 何ですかそれは?」

「えっと…… アイリスさん。この歌は古くからこの地にある歌なんですよ。教会でも最初に教えるみたいですよ。なんかここの事みたいじゃないですか?」


 リックはベンディの言葉を聞いてうなずく。彼が行った歌詞は確かにここのことを言ってるように聞こえる。アイリスが顎にてを当てて、ゆっくりと考え込んでいた。


「どうしたんだ?」

「うん。多分ベンディさんの歌がここを解くガキのような気がするわ」

「本当か?」

「うん。教会の歌がヒントの可能性は高いは。だってここは神官の修行の場だしね」

「そうか! なら、アイリスは何色だと思う?」

「そうねぇ。この大陸の大地…… キラキラ輝く砂浜にある…… じゃあ、黄色かしらね。黄色の床を押してみましょう!」

「黄色? なんで? アイリス、星の砂浜なら星は赤とか青く輝くんじゃないか? それにあそこの砂は白っぽかったし……」

「でも、白はないし、砂浜は海から見ると黄色っぽい色してたわよ。どう? スラムン、黄色の床を押してみましょうよ」

「わかったズラ…… やってみるズラね」


 リック達は皆で、黄色の盛り上がった床の前にやってきた。ポロンが一歩前にでる。

 

「ポロンが押すのだ」

「ダメ、またポロンちゃんが危ない目にあったらやだから。私が押すわ!」

「いや…… 僕がアイリスさんにアイシャとの結婚で協力してもらってるんだから僕が」

「いいの。私が勇者なんだし、もし竜巻が起きても天上の兜で私は飛べるしね。それに…… ベンディさんだと誰も受け止められないわ」

「えぇ……」


 ベンディはうつむいて落ち込む。確かにベンディは体大きく、太っているので落下したら、誰も受け止めらない可能性が高い。体重が重く背の高いリックとベンディは選択しから外した方が良いだろう。


「じゃあ、行くわよ」


 アイリスが黄色い盛り上がった床の上に乗った。ポロンの時と同じように地鳴りがし、石像の足元の部分が回転して、石像の一体が黄色い床の方に向けられた。

 黄色いスイッチの方をむいた、石像の剣先から竜巻が発生してアイリスをさらう。アイリスはどんどんとドーム状の空間の天井まで上がっていく。


「よし! やった!」


 風に乗ったアイリスは扉を手であけて、天井の中へ消えて行った。すぐに壁のふちから、アイリスが顔を覗かせて、リック達に手を振りながら声をかける。


「やったわ。みんなも続いてー!」


 リック達はアイリスの言葉に従い、順番に黄色の盛り上がった床を押して、天井の扉の中へと向かった。扉の中は小さい部屋になっていた、四段ほどの階段の先に、さらに扉がありて木の扉の隙間から、木漏れ日のような光がさしこんでいた。

 どうやらリック達は頂上の手前にいるようで、アイリスは光を見て少し安心した表情をする。


「でも、アイリスよくあの仕掛けのことわかったな」

「へへ、私も勇者で色んなところで冒険して、色んな仕掛け解除してるからね」

「だいたいは失敗して、オラかキラが解除するスラ」

「スラムン! シーでしょ!」


 恥ずかしそうに口に手を当てるアイリス、その様子をみてみんな笑っていた。

 

「さぁ、行こうぜ! 強風山の山頂へ!」

「はい」

「いくのだ」

「うん、行きましょう!」

 

 アイリスが先頭で扉を開けると、陽の光が差し込んできてとてもまぶしい。強風山の山頂は、風が吹く周囲と違いのどかで、町の小さい広場くらいの広さに、草の生えた地面と小さい池とおそらく修行する神官用の小屋があるだけだった。だが、目的のそよ風のベールが見当たらない。リックはアイリスに尋ねる。


「アイリス、それでそよ風のベールはどこにあるんだ?」

「えっとね。小屋の裏手に開かない宝箱があるのよ。それを銅の鍵で開けるのよ」

「なるほど、わかった。」


 さっそく小屋の裏側に向かうと、アイリスの言った通り宝箱があった。銅の鍵を使いアイリスが宝箱を開けると、頭のせる白い飾りに薄い緑の透けた布のついたベールが出てくる。これがそよ風のベールである。アイリスは大事に、両手でそよ風のベールを取り出し袋へしまう。


「あっ! おい! 何している!」

「うん!?」


 リック達が小屋の裏側から戻ってくると怒鳴り声がした。声の方を見ると広場の入り口の近くに誰か立っていた。


「あっあれは…… ワニか……」


 足元に赤色の尻尾が長く、腹這いの細長い口をした二メートルくらいのワニをしたがえた、浅黒く白色の布を頭にグルグルまいて、ひげを生やした男が立っていた。


「あっあんたは!? ブローソン・ダバディ!」

「ほう…… お前はバーランドの家で会った勇者と…… ヘタレ歌手か。おい!? お前ら一体何をしてる。」

「へへ! 残念でした。私達が先にそよ風のベールをもらったからね」


 勝ち誇った様子でアイリスが、そよ風のベールを持ってブローソンに見せる。ブローソンは驚いた表情をして、すぐにアイリスを見下したようにいやらしく笑う。


「はっ! バーカ! やつら怒ってるのにのんきだな。じゃあな!」


 アイリスに手を挙げて挨拶すると、振り返ったブローソンはワニと共に扉の中に戻っていった。


「えっ!? キャッ!」

「危ないズラ。キラ行くズラよ」


 アイリスに向かってどこからか、飛んできた真空の刃が襲いかかる。だが、すぐにスラムンが乗ったキラ君が、アイリスの前にでてきて両手に盾を構えて真空刃を防いだ。キラ君はゴーンライトと同じ両手盾使いで、ゴーンライトさんのおさがりの盾に、リンガード王国の塔で手に入れて鎧を着けてる。


「アイリス大丈夫か?」

「うっうん。平気よ。でも何よあいつら!?」

「さぁ、味方じゃないことは確かだな。ソフィア、ポロン、いくよ」


 リックとソフィアとポロンが、アイリス達の前にでて武器を構えた。緑の羽根の着いた帽子に、緑色の服、木でできた胸当てと木製の剣を持った人型の魔物が三体が池の上に浮いていた。


「あれはズラね!? あれは風ハンターという魔物ズラね」

「へぇ、スラムンよく知ってるな」

「はっ!? リック知らないズラ!? メリッサに言うズラな」

「ちょっとなんでスラムンがメリッサさんに……」

「メリッサによく一緒に旅をしてるから、ちゃんと兵士をしてるか報告をくれって頼まれたズラよ」

「くそ! スラムンの裏切者」

「うるさいズラ! だったらちゃんと魔物生息図を見て調べておくズラよ」

「なんでメリッサさんはスラムンにまで…… まったく。俺のことをまったく信用してないのか!?」


 リックは悔しそうにスラムンを見る。リックは監視を頼むなら、ソフィアやポロンにしてくれればいいのにとと思うだった。なぜかというと、この二人なら菓子を使えば、うまくごまかせるからだ。スラムンは真面目で、やや融通が利かないので、おそらく買収は無理だろう。

 アイリスが不満そうな顔でスラムンに声をかける。


「あのさ。スラムンそういうの普通は勇者の私が頼まれるもんじゃない?」

「そんなの無理ズラよ」

「はぁ!? 何でよ!?」

「当たり前ズラ! アイリスは信用ならんズラからな!」

「ひっひどい」

「あからさまにリックをひいきして、ソフィアを批判するに決まってるズラよ」

「チッ……」

「ははっ信用ねえな。お前も!」

「うるさいわよ! もとはと言えば不勉強なリックが悪いんでしょ! もう……」


 リックとアイリスは互いに笑い、風ハンターに向け武器を構える。敵の正体は判明した、後はこの敵を片付け下山するだけだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ