第152話 彼は無頓着
リブルランドから帰還して数日後、リックとソフィアとポロンは休日に、第七区画にある食堂アリアの泉に来ていた。アリアの泉名物の青魚の塩焼きオリーブオイルかけや、トマトとエビのパスタなどを満喫した後、今は食後の生クリームのせココアを堪能していた。
「美味しかったです!」
「うまかったのだー!」
「あっ! こら! ポロン! ほっぺにパンがついてるよ」
「くすぐったいのだ!」
ポロンのほっぺたについた、パンの食べかすをリックがつまんで口に入れる。
「うん!? なになに? どうしたの?」
リックの袖をソフィアが引っ張ってきた。彼は隣に座るソフィアに視線を向けた。
「ソッソフィア…… もう……」
「だって……」
ソフィアを見るとわざと鼻にココアに乗っていた、生クリームを付けリックに顔をつきだしていた。リックは呆れながらも、ソフィアの鼻についたクリームを指で拭うと口に運ぶのだった。
「リックがそれを食べるのは、ちょっと恥ずかしいです」
「何を言ってるの? 自分からしといて!」
「ふぇぇぇ…… 違いますもん……」
恥ずかしそうにうつむいているソフィア、リックが頭を軽くポンポンと叩くと、恥ずかしそうに頬を赤くするのだった。耳まで赤くなったソフィアがかわいくてリックは思わず顔がにやけるのだった。
「うん!?」
背後に気配がしてリックが振り返った。彼の目に見たことのある青い服が飛び込んで来た。顔をあげると頬を膨らまし、腰に手を当てたアイリスが立っていた。
「おぉ! アイリス!」
嬉しそうにアイリスに声をかけるリック、だが彼は怒っているようで、椅子に座るリックを見下ろし睨みつけている。
「ちょっと! リック!」
「なんだよ。怒ってるのかお前? どうしたんだよ?」
「どうしたじゃないわよ! ここは私とリックの思い出の場所でしょ? なんでポロンちゃんとソフィアと仲良くご飯食べてるのよ」
「思い出って? ここは別に普通の食堂だろ?」
「違うの! 違うのよ! もう!」
それからアイリスはずっと文句を言っていて、なぜかソフィアが話を聞いてアイリスに同情していた。
「どうしたの? えっ!? 俺なんか悪いことしたの?」
「もういいから黙ってください!」
ソフィアに叱られたリックはシュンとし、ポロンが彼の頭を優しくなでるのだった。