表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
144/263

第139話 失敗をしても

 鮮やかな赤い鱗に全身を覆われ、瞳を緑にひからせた大蛇が靄の中から現れた。楕円形の頭の両脇には瞳孔の開いた茶色の目が光り、閉じられた口の脇から反り返った鋭い大きな牙が二本出ていて、首の後ろには尖った角のようなものが生えていた。大蛇は口の先端の隙間から舌をチョロチョロと出入りさせながら、頭をもたげてリック達に近づいてくる。


「フフ…… かわいいでしょ。ヴァーミリオンスネークちゃんよ」


 大蛇を見て微笑むジャイル、大蛇はこの地の守り神ヴァーミリオンスネークだった。ヴァーミリオンスネークが頭を下にしてリック達に向かって大きく口を開いた。リック達が身構える。


「うわ!?」


 ヴァーミリオンスネークから、ぼわっという紫の煙のようなものが吐き出される。紫の煙はリックとミャンミャンとタンタンとポロンの周りと囲み始めた。紫の煙はこの谷をつつむ瘴気だった。


「おっお姉ちゃん?! なにこれ? 苦しい」

「わっわたしも……」


 瘴気に囲まれたリック達の中で、ミャンミャンとタンタンが苦しそうな表情を浮かべる。二人は瘴気の対策をしてないからダメージを受けているのだ。


「守り神のヴァーミリオンスネークが瘴気を出した…… こいつもジャイルの瘴気に侵されているのか?」

「違うわよ。この子が瘴気を出してるのよ。もっと見せてあげなさい!」

「キシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!」


 ジャイルはにやりと笑いながらリック達を指して叫ぶ、ヴァーミリオンスネークは鳴き声をあげながら口から瘴気を吐き出した。リック達の周りのどんどんと瘴気の紫色の煙が濃くなっていく。


「まずい」


 リックは腰のベルトにつけている、道具袋の中から聖水をだし、ポロンに声を掛けた。


「ポロン! タンタンに聖水をかけて」

「わかったのだ!」

 

 指示を受けたポロンは、リックと同じように道具袋から、状態保護の聖水を出して、タンタンに振りかけた。リックはミャンミャンに聖水をかける。


「これでなんとか…… 後はこの煙を払ってソフィアと合流しないと…… うわ!? なんだ!?」


 上空で何かが破裂する音が響いた。白い光の矢が瘴気の煙を破って降り注ぐ。一部の紫色の煙が消えて薄くなり視界が開く。その薄くなった瘴気をかき分けて、ハクハクとソフィアとシーリカがリック達に駆け寄ってくる。


「リック、ポロン。大丈夫ですか?」

「ありがとう。俺とポロンは平気だよ。ミャンミャン達が少し瘴気にやられた」

「じゃあすぐに回復しますね」


 ソフィアがミャンミャン達に、手をかざして回復魔法を唱える。


「フフッ。そんなことしてる余裕あるのかしら? ヴァーミリオンスネークちゃんもっとやってやりなさい」


 ジャイルの合図でヴァーミリオンスネークが瘴気を再び吐き出した。リック達の周りに濃い色の紫の煙が立ち込めてくる。治療を受けてるミャンミャン達が少し苦しそうな表情をした。慌てた様子のソフィアがリックに向かって叫ぶ。


「リック! これ以上、瘴気が濃くなると聖水でも防げなくなりますよ」

「わかった!」


 リックはポロンに顔を向けた。二人でヴァーミリオンスネークの注意を引くつもりのようだ。


「うん!?」


 シーリカが思いつめた表情でリックの横を通って、ヴァーミリオンスネークへと向かって行く。慌ててリックは彼女を追いかけて声をかける。


「シーリカ! どこへ行くんだ?」

「あゎゎゎ。皆さんはミャンミャン達を連れて逃げてください。私がこの瘴気を何とかします」

「なんとかって…… 一人じゃ危ないよ」

「あゎゎ。お願いです。私が皆さんにご迷惑をかけたんですから」

「シーリカ…… わかったよ。ただし君のことは俺が守る。だから一緒に行く」

「あゎゎ。リック様…… ありがとうございます。」


 笑顔で頷いたシーリかとリックは一緒に歩いていく。ヴァーミリオンスネークの前でシーリカは立ち止まった。膝をつき真剣な表情で、両手を胸の前に組んでシーリカは祈り始めた。緑色の光が彼女の体を包み込んでいく。


「させないわよ!」


 祈るを捧げるシーリカにジャイルが手を向けた。ジャイルの手から氷の槍が発射された。白く湯気のような煙をあげ、青く光る冷たい氷の槍がシーリカを狙う。


「無駄だ!」


 リックはシーリカの前に出て飛た。迫ってくる氷の槍に、タイミングを合わせて剣を振リ抜いた。氷の槍は真っ二つになり地面に落ちた。


「何よ! はぁ…… 野蛮ねぇ。これだから男は嫌なのよ」


 ジャイルはシーリカの方を見つめている。シーリカを仕留めそこなったはずなのに、その表情はうすら笑い余裕があり、リックは首をかしげるのだった。


「ねぇ? シーリカ様。あなたのせいでお友達が苦しんでるのよ? しかもさっきはあんな怖い思いもさせてかわいそうねぇ」

「……」


 黙ってピクッとシーリカの口が動いた。明らかにシーリカ様が動揺していた。


「今だって自分でなんとかするって言ってこの兵士に助けられてさ。あなたの犠牲になろうとしてくれる人が多くていいわねぇ」

「おい。ジャイル! 黙れ!」

「いやよ。でも、そんな聖なる祈りなんて無駄よ。だってあなた全滅聖女でしょ?」

「えっ!? それは……」

「全滅少女デスシーリカ! 防衛隊…… あなたの憧れのリックにそう呼ばれてるじゃない!」


 シーリカが悔しそうな表情でジャイルを睨みつけた。剣を構えて体勢を低くし、リックはジャイルを睨み付けた。直後にシーリカは腕を組んだまま立ち上がった。


「主よ。その聖なる力で邪悪なるものを祓い。迷える子羊をお救いください」


 両手を前にだして広げたシーリカ、緑の光が手に集約されて、どんどん大きくなって瘴気に向かって飛んだ。瘴気と光がぶつかる。激しい爆音と光が辺りを包む。


「やったのか……」


 光がおさまった…… しかし、そこには紫の煙の瘴気がただよい、さらに瘴気の色が黒ずんでより濃くなっていた。


「より強力な瘴気になってます!」

「あゎゎゎゎ、なんで? どうして!?」

「はははっ! ほーらさすが全滅聖女! 本領発揮ね!」


 シーリカがボー然と目の前の瘴気を見て、その様子をみてジャイルは大声で笑っている。全滅聖女の力が存分に発揮されてしまったようだ。


「うわぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん!」


 シーリカの後ろからハクハクが吠えた。ジャイルは耳をふさいだヴァーミリオンスネークは音に驚いたのか、とぐろを巻いて頭を隠した。鳴き声が瘴気にぶつかると一部が払われてトンネルのようになっている。ハクハクが顎でトンネルをさした。


「よし! 今だ! とりあえずここから離れるんだ。タンタンとミャンミャンは? 走れる?」

「リックさん。私は大丈夫です」


 立ち上がってミャンミャンが返事をした。彼女は走れるみたいだな。タンタンはまだ苦しそうにしているが、横に居たポロンが両手をあげた。


「タンタンは任せるのだ!」

「ハクハクさんは私と一緒です」


 ポロンがタンタンをヒョイっと持ち上げて、ハクハクはソフィアが抱えた。みんなで走って瘴気のトンネルへ向かった。リックは静かに振り向いて手を伸ばす。


「ほらシーリカも行くよ」


 リックが手を掴もうと伸ばす手を、シーリカはつかもうとせずに逆に手を引いた。


「どうしたの?」

「あゎゎ。いやです。私は最後です。リックさんが先に行ってください」

「いいから…… 一緒に行くよ」


 もう一度手をのばしたリックは少し強引に、シーリカの手をつかむと彼女は、頬を赤くしてうつむいて話しづらそうに口を開く。


「あゎゎ…… 実は腰が抜けて…… 立てないんです!」

「なんだ…… しょうがないな。よっと!

「あゎ!? リッリック……」


 リックはシーリカの背中と、足を持って抱き上げると、ハクハクが切り開いた瘴気のトンネルに向かって走り出した。走って揺れて怖いのか、シーリカはリックの首に手をかけ、必死にしがみついていた。


「こら! シーリカ! ずるい! リックさん! わたしを抱っこして走ってください」

「私もです」


 ミャンミャンとソフィアが振り返ってシーリカに叫ぶ。


「いや…… 二人とも自力で走れるだろ。危ないから前を向けよ! って!? あぁ…… もう…… ポロン! そんなことしたら危ないよ!」

「わっわっ! 目が回る! 降ろして!」

「まだまだなのだ。もう少し離れないと危ないのだ!」

「もっと、優しくして~!」

「ちょっとあなた! タンタンを大事に扱いなさいよ。私のかわいい弟なのよ」


 先頭を行くポロンが、タンタンを頭の上で、クルクルと回しながら運んでいた。リック達は瘴気のトンネルを抜けると、カルラが心配そうな顔で立っていた。さっきはジャイルに操られていたカルラも正気に戻ったようだ。リックは体勢を立て直そうとポロンに止まるように指示をだす。


「ポロン! そこで止まってくれるかい」

「わかったのだ」

「はぁ…… 助かった」


 止まったポロンがタンタンを下すと、彼は心底安心した表情をした。下をむいてめくれたズボンのすそをなおして、顔を上げるとタンタンは、ポロンの顔を不思議そうに見ている。


「あっありがとう! そういえば君は誰?」

「わたしはポロンなのだ。ちょっと前に第四防衛隊に来たのだ」

「新しい人なんだ…… はっ!? リス耳…… かわいい!!!」


 ニコッとわらったポロンの顔を見て、タンタンは頬を赤くして目をそらした。ミャンミャンは、自分の弟の顔をみて、ニヤニヤと笑って近づく。


「タンタン? どうしたの? なんで顔を赤くしてるの?」

「なっ、なんでもないよ!?」

「ふーん、じゃあ、今のことココに言っても良い?」

「何でよ! やっやめてよ! ココ姉ちゃんには言わないで!」


 タンタンが両手を上げて、ミャンミャンを追い回している。


「ふぅ…… さっきまで人質で怖い思いしてたのに元気だな…… でもいいのか」


 追いかけっこするミャンミャン達にリックは目を細めた。二人とも会うたびに、たくましくなり、少しずつ冒険者として成長していた。


「あゎゎ…… リック…… 私ももう下ります」

「あっ! ごめんね」


 リックは必死に走っていてシーリカを下すのを忘れていた。彼は静かにシーリカを地面に下ろした。


「シーリカ? 大丈夫ですか?」


 地面に下りたシーリカは座ったまま、手で顔を覆い小さく体を震わせていた。彼女は泣いているようだ。心配したソフィアが声をかける。シーリカが泣いてるのに気づいた、ミャンミャンも近づいてきて彼女の肩に手をかけ声をかける。


「シーリカ。どうしたのよ? まさかリックさんにお尻でも触られた?」

「おい! ミャンミャン!」


 リックに向かって舌を出して笑うミャンミャンだった。なお、彼は触ってないような顔をしているが……


「(持ち上げるときにどさくさに紛れてがっつり触ったけどさ…… やわらかかったなぁ。ぐへへ!)」


 にやにやと笑うリックの横に青白い電撃が落ちて来た。リックは青ざめた顔で電撃が通過した方に視線を向けた。


「なっなんで……」

「今! いやらしい顔をしました!」

「してないって!」

「ちょっと! 二人とも何してるんですか! シーリカ泣いてるのに!」


 ミャンミャンがリックとソフィアを叱る。だが、最初にシーリカの尻の話題を振ったのは彼女なので、リックは少し理不尽に感じるのだった。シーリカのそばで、ミャンミャンは膝をつきシーリカを、そっと抱きしめ泣いている彼女に声をかけた。


「よしよし。シーリカ大丈夫? なんで泣いてるの?」

「あゎゎゎ。ミャンミャン…… わたし……」

「そうだ! 助けてくれてありがとうね。でも、どうして私達が捕まってるってわかったの?」

「あゎゎ。それは……」


 シーリカは泣きながら、自分がミャンミャン達を助けるために、冒険者になったことなどや今までのことを話していた。


「そっか。ありがとうね。私たちの為にいろいろしてくれたんだね」

「あゎゎゎ。でも、私が…… 未熟なばっかりに……」

「そんなことないよ。だって、シーリカは私達を助けようとしてくれたんでしょ?」

「あゎゎ。でも…… 私がちゃんとしていれば、みんな危険な目に遭わずに……」

「冒険者に危険はつきものよ。私もタンタンも自分たちが甘かっただけだよ。シーリカのせいじゃない。むしろ巻き込んでごめんね。私達のことなんか見捨ててもよかったのに……」

「あゎゎゎ。だってミャンミャンは私の大事なお友達ですもん。見捨てるなんて!」

「でも、冒険者は自分の利益を追求するものよ。まぁココは人の為になることが、自分の利益になるって言ってるけどね」


 ミャンミャンは笑顔でシーリカの話を聞いている。シーリカの言葉を否定することなく、優しい笑顔で話す姿に少しだけココの面影が見える。


「あゎゎ、さっきも私がちゃんと聖なる祈りを成功させていれば……」

「大丈夫よ。失敗なんか私はしょっちゅうしてるし」

「そうだよ。料理も掃除も苦手なのに、冒険者としても失敗するんだよお姉ちゃんは!」

「なんですって?! タンタン! それは言っちゃダメでしょ!」


 ミャンミャンがタンタンを睨み付け、すぐに立ち上がり追いかけまわしてる。シーリカはそれを見て少し笑顔になっていた。


「よかった。シーリカはそうやって優しく微笑んでるのが似合うよ」

「ありがとう。ミャンミャン」


 何か思いついたような顔して、ミャンミャンがシーリカの顔を覗き込んでいる。


「ねぇシーリカ。この件が終わったら冒険者やめるの?」

「そういえば考えてなかったです。私は二人を助けるのに必死で……」

「じゃあ私達と冒険者を続けようよ。聖女の職務に影響ない範囲でいいからさ」

「そうだよ! シーリカお姉ちゃんも一緒に冒険者しようよ」

「あゎゎゎ!? いいんですか?」

「私ね。巡礼した時に楽しかったからもっとシーリカと冒険したかったの!」

「僕も! これから、僕とお姉ちゃんとシーリカお姉ちゃんがパーティだよ!」


 タンタンが笑顔でシーリカに手を出す。シーリカがタンタンと握手をして、さらにミャンミャンが二人の手の上から握る。ミャンミャンがシーリカにちょっと先輩ぶって話しかける。


「言っておきますけど、冒険者って大変よ! わたしなんかパーティ組んで最初のクエストでパーティが壊滅して解散して…… しかも次のパーティのやつなんか私を置いてにげたのよ」

「あゎゎ。そんなことが!?」


 シーリカがミャンミャンの話に驚いている。リックはそんなことあったなと懐かしむのだった。ミャンミャンはその後も愚痴を言い続けていた。


「さっきの失敗の話もなんかも冒険者は気にしないでいいのよ。いっぱい失敗しても、どうせ尻拭いは兵士がするんだからさ」

「そうそう。ココ姉ちゃんが言ってたよ。そのためにいっぱい王国には寄付して、危険な仕事を引き受けてるんだから、多少の迷惑はいいってさ」


 威勢よく話してミャンミャンとタンタンの姉弟。その後ろでは兵士である、リックとソフィアが顔を見合せ苦笑いをするのだった。その後、なんかミャンミャンは、最近兵士がいちゃついて目、障りだとか大きな声で言っていた。シーリカはなぜかそこだけは、ものすごい同意して頷くのだった。

 盛り上がる三人の横で、ソフィアが瘴気の方を見て厳しい顔をした。リックはソフィアの様子に気付き持っていた剣に力を込めた。


「来ます」

「わかった。三人ともおしゃべりはそこまでだよ」


 瘴気の煙をかき分けながら、ヴァーミリオンスネークが、リック達の前にゆっくりと姿を現した。


「ポロン、ソフィア、行くよ。三人はカルラさんをお願いね」

「わかりました」

「あっそうだ! あとハクハクもお願いね」

「大丈夫だよ。僕がちゃんと面倒みるよ」


 ミャンミャン達がカルラを連れて行く。だが、シーリカが一人だけ振り返り、リック達に向かって駆けてきた、ハクハクもタンタンから飛び下りるとシーリカの足元で一緒に歩いてくる。


「あっ! ダメだよハクハク!」

「あゎゎゎ…… ハクハク……」

「クゥーン」


 シーリカが足元のハクハクに視線を送ると、ハクハクは鳴いて足にすりよっている。


「一緒に来てくれるんですね。ありがとう。タンタンさん…… ハクハクは大丈夫です」

「シーリカお姉ちゃん…… わかったよ」


 ハクハクを抱き上げ、シーリカはリックの前へと駆けて来た。


「リックさん、私も行きます」

「シーリカ!? でも、君は……」

「あゎゎ。今度は大丈夫です!」


 シーリカがまっすぐにリックの目を見て真剣な表情をしていた。力強い瞳を見てリックは確信した彼女は、断っても無理矢理についてくるだろうと。強引について来る気なら目の届くところに置いた方が安全だ。リックは小さくうなずいた。


「わかったよ。一緒に行こう。俺から離れないんだよ」

「あゎゎ。わかりました」


 ハクハクを抱きかかえたシーリカとリック達はヴァーミリオンスネークの前へ向かった。ヴァーミリオンスネークは頭をあげて、大きな口から舌をチョロチョロ出してリック達を見下ろしていた。

 ジャイルは、ヴァーミリオンスネークの傍らに、笑顔で立っていた。


「あらぁ? よく逃げないで残ってたわねぇ。まっいいわ。さぁ、ヴァーミリオンスネークちゃんやってしまいなさい」


 ヴァーミリオンスネークが大きく口を開いた。


「キシャーーーーーーー」


 鳴き声が谷に響き渡る。大きな音に驚きシーリカは、不安そうな顔してジャイルは勝ち誇った顔をしてる。リックは左手を伸ばし、横にいるシーリカの背中を軽く叩く。


「シーリカ…… 大丈夫だ。もう負けない。俺がついてる」

「リックさん…… はい」


 目に涙を溜めシーリカは笑ってうなずく。リックは前を向いていつものように剣先を下に向け構えるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ